受身の物流からの脱却 物流を是正する必要性(その1)

 
  
 
 物流は今までどちらかというと弱い立場にありました。それは物流が従来言われたとおりに仕事をするという、受身であったことも要因の一つです。部品等を納入するために着荷主に行った際に、荷降ろしのついでに「棚入れ」して欲しいと言われればそれに従う、出発時に荷が揃わなければ「待機」を余儀なくされるなどのおかしな現象が多々発生しています。
 
 いずれも「コスト」ですから、ビジネス上は無償で請け負うことはあり得ません。しかし半ば強引に受けざるを得ない状況にあるのかもしれません。
 
 これは輸送の事例ですが、倉庫でも似たような事例があります。元々の契約にない仕事を無償でやらされるケースがあります。
 
 たとえば毎日の在庫報告について荷主から要請があったとします。この要請が荷主と倉庫会社の現場同士で話し合われると簡単に請け負ってしまう場合があります。現場サイドにするともしかしたら微々たる業務なので安請け負いしてしまうのかもしれません。しかしそれが積み重なると無視できない存在となります。
 
 物流事業者にとってみると、コストだけが大きくなり利益を圧迫することにつながります。これが物流業界の利益率の低さの一つの要因であることは事実でしょう。このような状況は荷主と物流事業者の間だけの話ではありません。工場の中の物流も同様です。資材を買いすぎたので指定場所に置ききれなくなった場合、場所を探せ、と言われれば探す。
 
 生産工程がつくり過ぎたとしても、その在庫保管や容器不足に対応するのは物流です。これもどちらかというといわれるがままに行動しています。このような物流の存在ですが、今後のサプライチェーンの複雑化を考慮すると改革していかなければならないことは間違いありません。もっと自らが主体的に動き、関係部署に勝手な動きをさせないようにすることも...
物流の役割だと言えます。
 
 このような牽制を行うことで、関係部署が改善し、会社全体がよくなることにつながるからです。ですから、少なくとも「受身の物流」からは脱却しなければなりません。まずは現時点で「おかしい」と思われる部分から是正していくことが重要です。先に記したような無償で契約外の仕事は無くしていく。無くせない場合は最低でも「有償化」することが求められます。
 
 次回に続きます。
 

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