5Sの進め方-日系工場の事例(その1) 中国企業の壁(その44)
2019-01-09
今回は、ある日系中国工場の取組みを事例として紹介したと思います。日系工場ではありますが、5Sの取組みの中心になっていたのは、1人の中国人幹部でした。
この工場も以前から5Sの取組みはやっていましたが根付くには至っていませんでした。そこで前述の中国人幹部が1年ほど前に5S活動を仕切り直して再スタートさせました。目指したのは、5Sの習慣化です。
上からやらされている活動ではなく、5Sの活動が従業員の習慣として根付くことを目指した活動として取り組みました。
過去の反省からいきなり全社活動とすることはせず、対象を生産工程と倉庫に絞りました。次に通常の5S活動と同じように推進メンバーを対象部門の管理職から選びました。
習慣化が目的なので、従業員に5S活動を受け入れてもらうことが重要になります。
そのために1年間はたとえダメなところがあっても決して「責めない、怒らない」と決めました。逆に良いところは褒めるように心がけたそうです。今回取り入れたひとつの方法が、自分たちで改善した内容を報告させ、それを点数化して表彰する制度を設けたことです。
生産現場で乱れていることに気が付いたら、それを自分たちで直す(改善)ことを奨めたのです。報告には直す前後の写真を添付してもらい、改善結果がわかるようにさせていました。これは簡単なようで実は意外と難しいことです。
改善点を報告するということは、自分たちの悪かったところも報告する訳です。普通であれば、言いたくないし隠したくなる...
ことだからです。
また、報告を受ける方も改善前の状態に対して、どうしてそのような状態になったのかと言いたくなるものです。そこをぐっと堪えて、褒めるようにするのですから5S推進メンバーに我慢強さが求められます。
5Sの進め方にもいろいろな方法があると思いますが、少しでも参考になればとの思いです。
次回に続きます。