物流における作業と管理とは 管理業務に精力的に取り組む(その1)

 
  
 

1. 物流の「作業」と「管理」を学ぶ

 物流の仕事には実際にモノを運んだり梱包したりといった実作業と出荷管理や在庫管理などの管理業務があります。実作業に長けていても管理業務はさっぱり、という会社もあるのではないでしょうか。しかしこの管理業務にこそ物流のバリューがあるともいえるのです。逆から見ると「管理業務をしっかりとやってくれる会社」は魅力的に感じるものです。
 
 自社内物流でも同様のことがいえると思います。たとえば構内物流の担当者は運搬業務ばかりやっていればよいということではありません。運搬の傍ら在庫管理を行う、出庫管理を行うといったことは当然に行われていなければならないのです。顧客が安心して荷物を預けることができる会社はしっかりとした管理ができる会社です。倉庫業は単なる荷物の一次預かりではなく、数量管理や品質管理ができることが基本だといえます。
 
 そこでどうしても必要になってくるのが「管理業務」に対する技能向上でしょう。新入社員が入ってくるとフォークリフトの扱い方や製品番号の読み方などは教えるものの、在庫チェックの仕方やトラックの回転率の管理などを教えることは稀であると考えられます。社内の技能向上の方策には必ず「作業」に関するものと「管理」に関するものとをセットで入れておかなければなりません。これは仕事ランクごとに設定しておくことが望まれます。よく一定のレベルに達したところで初めて「管理業務」をやらせるといったケースがあります。
 
 しかし新人でも在庫を管理するといった基本業務は担当することが多いので、仕事の難易度に応じて必ず「作業」と「管理」の両方を学ばせることが大切になってくるのです。
 

2. 在庫管理と現品管理

 在庫管理のポイントは帳簿上の在庫数と現物の在庫数を一致させることにあります。すべてのアイテムで両者が一致することが望ましい姿であるといえます。そこで在庫管理については新人からしっかりと教育していく必要があります。できれば作業者単位にアイテムまたはゾーンを受け持たせ、受け持ち在庫の一致度合いを評価するようなしかけも必要かもしれません。たとえばAゾーンとBゾーンがあったとします。Aゾーンの担当者は甲さん、Bゾーンの担当者は乙さんだとしましょう。
 
 甲さんは標準作業に定められた作業だけをやることで95%の一致率でした。一方乙さんは標準作業に加え、納入制度の悪いサプライヤーに電話連絡するなどの作業を加えることで98%の一致率を確保しました。この場合、乙さんを特に褒めるような行為が必要だと思います。そして在庫精度を向上するために「サプライヤーへの声かけ」を新たに標準作業の中に加えることも忘れてはなりません。
 
 在庫管理の一環として在庫精度を向上させる活動が大変重要になってきます。そこで「現品管理」を新人には教育していくことが求められます。「現品管理」とは日々製品ごとに帳簿在庫と現物在庫に差がないか...
を調べ、もし差があれば帳簿の数を現物の数に修正していく活動です。日々棚卸を実施しているイメージです。ただし全アイテムを同日に行うことは困難なので、今日はこのアイテムを、明日は別のアイテムをと10点程度選択して行っていくとよいでしょう。
 
 また、在庫差異の要因つぶしも行う必要があります。たとえばサプライヤーからの納入数に差異がある場合には、サプライヤーに出向き出荷場や製品を格納する工程を観察し問題点をつぶすようにします。工場では不良を作ってしまった場合、その処理が漏れていると在庫差異につながります。そこで不良品の処理ルールを明確化し、それを製造工程に遵守させるような働きかけも有効だと思います。
 
 次回に続きます。
 

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