【物流BCPについて考える 連載目次】
前回のその1に続いて解説します。
(1) BCP作成のポイント2:中断時間の許容範囲
BCP作成に当たってのポイントとして、第1に「優先して取り組むべき事業、業務は何か」を前回、解説しました。今回の2項目目として「中断時間の許容範囲」について解説します。
有事の際には通常の業務が停止するわけですが、工場が被災して生産ができなくなった、感染症が蔓延し従業員が出勤できなくなった、燃料が調達できずにトラックを動かせなくなった、などの大きな問題が発生したとしてもいつまでも仕事を停止させ続ける訳にはいきません。
そこでどこまでなら停止を許せるのかについて常に基準を持っておく必要がありそうです。これは顧客との約束事として話し合っておくことも必要です。
ある工場では被害状況に応じて2週間以内に生産を再開する、1ヶ月以内に再開するなどといった基準を設けています。
この工場を顧客に持つ会社であれば、この基準が自社のBCP作成時の目安になるはずです。この基準を下回る内容では顧客に迷惑をかけてしまいますので注意が必要です。
BCPではいかに短期間で復旧できるかが大きなポイントになります。つまり優先業務を定め、その業務をできるだけ短期間で復旧させることが重要になってくるのです。
(2) BCP作成のポイント3:経営資源の優先投下
第3のポイントは「経営資源」です。前回もお話しましたとおり、有事には限られた資源をどこに優先的に投下していくか、ということになります。
物流業にあってはお金は当然として、物流機器と人材はなくてはならない経営資源となります。人材については優先業務に投入することになりますが、その業務ができないという状態は避けなければなりません。
(3) BCP作成のポイント4:対策案の立案
限られた人材を優先業務に投入するので、BCPの中に人材のスキル向上に...
ついて謳っておく必要があります。これが第4のポイントである
「対策案の立案」になります。
想定されるリスクに対し、優先的に取り組む業務を定め、それに資源を投下する。そしてそれによって復旧を短期間で行うために、あるいは何としても業務を途絶えさせずに続けていくためにどのような方策が求められるか、ということになるのです。
次回に続きます。