赴任者のために 中国工場管理の基本事例(その8)

1、赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その6)

 前回の赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その5)に続いて解説します。

◆ 労務管理・リスクマネジメント(その2)

 人事労務管理全般に関していうと、人事労務に関する管理や規則全てに日本人が関与し決めるのは無理と言わざるを得ません。中国人のことは中国人が良く分かっているので、管理は中国人に任せることも必要です。それで上手くいっている日系工場も多くあります。

 日本人の感覚と中国人は異なるため、日本人の感覚で決まりを作っても上手くいかないことは多々あります。

 例えば、日本の工場の決まりをそのまま使って失敗しているケース、逆に日本人の感覚では無理と思ったことも中国人に任せるとあっさりとルール化しまうことなどもあります。

 

 ある日系工場に関わった時のことですが、ある現場で昼食をとっている作業者がいることに気が付きました。その工場に食堂はないので、ほとんどの作業者は工業区内の食堂で食べていました。もちろん会社から食費補助が出ています。残りのごく少数の作業者が工場内(作業現場)で食事していたのです。

 現場ですと、当然ながら食べ物が製品に付着・混入する危険性が出てきますので、すぐに現場での食事を止めてもらわなくてはなりません。状況を日本人の総経理に報告し対応をお願いしました。ところが、工場内に食事をとれる場所を確保してからでないと禁止にできないと言って、対応を保留しました。

 食事できる場所を工場内に確保することが難しかったこともあり、1ヶ月経っても何の対応もされていませんでした。そのままにしておく訳にもいかないので、総経理に中国人スタッフの考えを聞いてみましょうと打合せを行いました。中国人の総務部経理は「すぐに現場での食事を禁止する」と言い、30分後には各班長を通じて作業者に通知されました。

 

 ちょっとしたことですが、日本人が下手にあれこれ考えるより、中国人に任せた方がドラスティックやるという事...

例でした。

 ただし、中国人に任せたとしてもチェックを怠ってはいけません。人事にしても会社規則にしても必ず総経理の決済は必要なはずですから、そこでチェックしてください。ポイントは、好き勝手にやらせない、暴走させないことです。中国人は身内を優遇するような恣意(しい)的な人事を平気でやります。中国人スタッフを信頼するのはいいことですが、チェックは忘れないでください。

 

 次回に続きます。

 

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