◆品質管理-中国工場の品質がよくないのはなぜか(その3)
前回は、定着率が悪化したために、従来型作業からの転換ができなかった日系工場の事例を紹介しました。今回は、作業者を定着させるために何が必要かを考えます。
1、定着させる-そのために何が必要か
中国人は会社への帰属意識が薄いといわれています。これはその通りでしょう。そんな中国人に、少しでも自分の会社、自分の工場と思ってもらいたいものです。それが定着につながり、ひいては品質にも良い影響を与えることになります。今回は、作業者の定着に有効な2つの方法を紹介します。
(1) 方法:自分の仕事に誇りを持たせる
・内容:自分の作業の重要性を認識させる → やりがいにつながる
香港・台湾・中国系の工場でこのようなことを見掛けることがあります。どのようなことかというと、作業者が自分は何を作っているのかを知らない、自分のやっている作業が一体何なのか分からないまま作業をしていることです。自分が何をやっているのか分からないのは、人間としてとても悲しいことですし、当然品質にも影響があります。
この対応としては、作業者に自分の作業の重要性を認識してもらうことが重要です。工場の作業には一つとしていい加減に行っていいものはなく、どれも品質を確保するために必要な作業であるため、自分の作業も重要であることを分かってもらうのです。そうすることで、自分のやっている作業に責任を持ってもらう、それが仕事のやりがいにつながります。
(2) 方法:満足度を高める
- 給与
- 福利厚生の充実:食事、宿舎の設備、学習の機会
従業員(作業者)の会社に対する満足度を高めることも必要です。満足度は、給料に加えて福利厚生を充実させることがポイントです。以前の中国では、作業者が求めていたのはお金(給料)でした。しかし、最近は給料が他社と同等以上なのは当たり前で、それに加えて福利厚生も充実させないと、定着はおろか応募も来ないような状況です。
福利厚生の内容は、宿舎の設備や食事などです。会社で提供する食事は予算の制約があるのですが、可能な範囲でおいしいものを出すようにしたいものです。もう一つ筆者お薦めの福利厚生があります。それは、学習機会を与えることです。作業者の中にも向学心旺盛な人は少なくあり...
このようにがんばって定着を図るのですが、100%定着させるのは無理です。中国においては、一定の離職率があることを前提に体制や仕組をつくることが必要です。
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中国工場の品質がよくないのはなぜか、今回まで作業者について事例を交えて解説しました。次回からは、管理者や経営層について考えます。