◆ 法令違反は取引対象外
企業にとって重要なアイテムとしてコンプライアンスがあります。コンプライアンス(法令順守)は当然のことで、さらに社内ルールを守ることや倫理的な活動を行っていくことが求められるのです。物流業界でコンプライアンスというと真っ先に思いつくのが、トラックドライバーの労働時間規制ではないでしょうか。
トラックドライバーの労働時間は月間293時間と決められています。この時間には休息期間や待ち時間も含まれます。この時間が守られていない業者が多々あることも事実です。待ち時間は荷主の構内で待たされる時間、そして難敵としての渋滞時間があります。このように自社だけではすぐに解決ができない難題があることが物流の特徴です。
こういった難しい立場にいる物流事業者から「法律を守っていたら会社はやっていられない」という嘆きの声が聞こえてくることがあります。気持ちは分からないではありませんが、こういった発言は許されるものではないと思います。各社ともに「決められたルール」の下で競争しているのです。
ビジネスはスポーツと同じでルールを守りながらプレーしていくことが当たり前のことなのです。残念ながらルールを守れない会社は市場から退場するしかありません。物流の顧客もコンプライアンスには敏感になってきているため、コンプライアンス違反を行っている事業者とは、取り引きしない傾向にあります。これはある意味妥当な判断であると思われます。
従業員を社会保険に加入させずコストを下げ、低価格で商品を提供する業者はあってはなりません。厳しいようですが法令順守はすべての人の義務ですから、これを守れないようでは取り引き対象にはなり得ないと考えるべきでしょう。
荷主側も取り引きに関する法律を知らなければなりません。物流事業者に対して発注書も発行せずに仕事をやらせたり...
よく「関係する法令を知らなかった」という話を耳にしますが、コンプライアンス違反は「知らなかった」では済まされません。知っていて法を犯すことは論外ですが、知らずに犯すこともまた問題だからです。
次回に続きます。