広い視野で先駆者利益を獲得 サプライチェーンを俯瞰する(その3)

 

◆ 顧客への貢献方法

 物流としてサプライチェーン(SC)全体を俯瞰(ふかん)し、その効率化に貢献できる方法は他にもあります。それは常日頃実施している倉庫の入出庫管理業務から生まれます。

 SCの重要な要素に「お客様の望むものを超短納期でお届けする」ことが挙げられます。つまりSCのステークホルダー(株主、取引先、消費者など利害関係者)は皆「お客様の望むもの」を知っていなければならないということになります。

 物流に携わっている会社やスタッフは日々の入出庫業務、特に「出荷」からこのニーズをつかむことができます。何が良く売れているのか、急に売れ出したものや、逆に鈍りつつあるものがよく分かるのです。

 この情報を顧客に逐次フィードバックすることが物流の使命であるといえそうです。
 いつもより当日の出荷が30%以上前後したら、その情報を顧客に伝えるような積極的取り組みが求められます。そうすることで顧客の在庫マネジメントが有効となり、お客様に欠品を起こしたり不要在庫を抱えたりすることが極小化されるのです。さらに購入者の属性も分析し、顧客にフィードバックしてあげましょう。これは「販売分析」の一部です。顧客の営業の貴重な情報となることでしょう。要はPOSデータ[1]を有効に活用できている業者ばかりではないということに気づく必要があるのです。

 

 SCでは、リードタイムを短縮して顧客満足を高めることが重要な要素になりますので、最小限の在庫で運営することが求められるのです。そのために、さまざまな貴重な情報を物流側が把握し、ステークホルダーにフィードバックしていくことが物流価値を高めることにつながるでしょう。

 自社のことしか考えていない物流会社は「在庫が減ると倉庫収入が減る」ということを平気で言い、在庫削減について否定的です。一方で上記のような情報源になる会社や在庫管理のできる会社は顧客に大変喜ばれ、評判が上がる物流会社だと言えます。

 あく...

までも物流を狭い視点でとらえるのではなく、SCという広い視野で仕事をしていきましょう。特にここまで広く貢献できている物流会社は少数派だと思いますので、今取り組むことが先駆者利益を得られるかもしれません。


 【用語解説】

[1]POSデータ:販売時点データ、Point of Sales、POSデータには、いつ、どの店で、どの商品が、いくらで、何個、売れたのかという情報です。誰がという情報は含まれません。

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