物流が生む付加価値とは パッケージングエンジニアリング(その2)

 

◆ パッケージング設計

 メーカーではパッケージング専門の部署を設けている会社もあります。欧米では一般的のようですが、日本ではそこまで行っている会社は少数派のようです。

 その原因の一つとして、まだまだ物流に対する関心度が低いことが挙げられます。例えば、容器を工夫することで物流効率がまったく違ってくるのですが、容器を改善して物流を効率化しようという発想にいたらないのです。仕事としてパッケージング設計が必要となることは分かってはいるものの、その仕事に会社の中のスーパーエリートをつけないということも、パッケージングエンジニアリング(技術)が進歩しない要因と考えられます。

 これも当たり前のことですが「製品設計」そのものに、優秀な人材を充てる会社がほとんどで物流は二の次です。ここが欧米企業と異なるところです。

 しかし近年、食料品容器などは明らかに変わってきています。ビール瓶(びん)や缶の容器の肉厚を薄くし軽量化することで、物流効率を圧倒的に向上させている会社もあります。消費者の使いやすさとコストを両立させるような調味料用容器も開発されています。つまりすでに包装機能の重要性に気づき、注力している会社もあるのです。ここまで来れば物流業務に対する人材の充て方も変わってくることでしょう。その会社の容器そのものがバリュー(価値)になっているからです。

 

 一般的に物流はコストと認識されます。しかし物流が付加価値を生むこともあり得るのです。その典型が包装機能で、それを支えるのがパッケージングエンジニアリングなのです。物流事業者にもこの包装機能の大切さについて、もっと認識してほしいと思います。物流事業者はパッケージングを「荷主の仕事だ」と言い切ることがありますが、これは物流のプロとしてはいかがなものかと思い...

ます。

 「いかに保管効率が良くなるために包装をどの様にしたらよいのか」、「輸送効率を向上させるためにはどうしたらよいのか」など、このような観点でアドバイスできない物流事業者であれば、物流のプロとはいえません。顧客から頼られ、事業を拡大していく物流事業者はこの包装機能に着目し、的確な方策を立案して実現していかなければならないのです。

 

 次回に続きます。

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