物流量・到着時刻・貨物損傷 物流サービス契約の締結(その3)

 

物流SLA記載事項のポイント

 物流契約にあたり、最もキーとなる物流量の記載について考えてみましょう。

 ◉日当たり物流量は〇〇トンとする。この量が2倍を超えて上回るか、2分の1を超えて下回った場合は価格について見直すものとする。

 このように物流量の変動は物流事業者に大きな影響を及ぼすため、一定の制約を設けておくことが望ましいと思われます。

 これを日当たりで定義するのか、月当たりで決めるのかは当事者間で定めればよいでしょう。また物流量に応じた価格をあらかじめ定め、それをマトリックスにして表示しておくことも一つではないでしょうか。

 

 次に、到着時刻についてはどうでしょうか。

 ◉あらかじめ定めておいた時刻を30分以上遅れ、あるいは早まった場合は○○する。

 このように物流の命であるデリバリーについては、きちんとした定めが必要だと思います。この「○○」の部分ですが、当事者間で取り決めをしておきましょう。指定した貨物が届かずに顧客に影響を与えてしまった場合は、賠償を求められることもあり得ます。その時のルールはあらかじめ決定しておくべきでしょう。高額の賠償を求められた場合には会社の存続にも影響しますので、場合によっては上限金額などを定めることも一つです。

 

 では、貨物損傷について考えてみましょう。

 ◉トラックに積載した時点から到着後荷降ろしする時点までの間で、貨物に損傷を与えた場合にはそれが物流事業者の責任である場合には○○する。

 貨物損傷はあってはならないことですが、100%ないとは言い切れません。そこでこのような定めを設け、対応を決めておきます。また物流事業者が倉庫で顧客の貨物を保管することもありますので、その時の責任についてもお互い合意しておく必要があります。

 

 いくつか事例を挙げましたがいかがでしょうか。契約ごとですから「あいまい」が一番よくありません。考えられうる事象を極力洗い出し、それらについて、一つひとつ取り決めをしていきましょう。独占禁止法で優越的地位の濫用ということが定められており、下請法でも下請事業者を保護する項目が明記されています。しかし一般的に現場同士では何となく理不尽とは感じつつも、買い側に有利になるようなことが行われていることがあります。

 契約書に書かれていないとこのようなことが起こり得ますので、それを避けるためにも契約書(SLA)の重要性を認識し、必ず漏れの無いように作成していきましょう。


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