◆ 文書、データ、口頭情報にも秘密は含まれる
物流に限らず、すべての事業を行う際に重要になってくるのが「契約」です。当たり前のことと思われがちですが、意外としっかりとした契約書を取り交わしている会社は多くないかもしれません。そこで今一度、物流ビジネスの契約について考えてみたいと思います。
契約を開始する際、真っ先に結ぶと思われるのが「機密保持契約」ではないでしょうか。当事者間で取り交わすさまざまな情報について、外部に漏らさない約束をするのがこの契約の目的です。では、どこまでの情報が機密に当たるのでしょうか。一般的に契約を結んだ際、すでに公知のものとなっている情報は機密情報とは扱われません。
基本的に相手側に開示した情報はすべて機密情報と考えたいところでしょうが、何でもかんでもとなると、実際にその情報管理上の課題があるでしょうから、一定の線引きをした方がよいと思われます。お互いに「機密情報」と明示したものだけを特別の管理とした方が効率的です。そして文書であれ電子データであれ、そのどこかに「秘密」という表示をすることです。
当然のことですが、会話の中にも機密情報が含まれていることがあります。つまり、その場で消えてなくなってしまう口頭情報にも「秘密」は含まれているのです。ではその扱いはどうしたらよいでしょうか。会話をする際に「この話は秘密だけど」と、前置きしてから話を始める必要があります。
「『秘密』と明示した文書およびデータ、会話の際に『秘密』と前置きされた情報については特別な管理を行う」といった主旨の文言を機密保持契約書に記せばよいのです。そしてこれらの情報は、当事者どちらかから返還要請があった場合は、速やかに返還する旨を取り決めておくことが大切です。
また機密保持の期間ですが、仕事をしている期間は当然とし...
次回に続きます。