◆ ウイルス対策をテーマとした製品開発事例
数年前、抗ウイルス対策の商品企画を支援したのですが今回は、あるメーカーで行った技術と顧客要望を融合した抗ウイルス製品開発事例についてお伝えします。ノロウイルスやインフルエンザが蔓延(まんえん)していた時期で、今ほどではありませんが、ウイルス感染に敏感な時期でした。
このメーカーではウイルス対策の技術は保有していましたが、それをどのように製品化すればよいか悩んでいました。この場合、一般的に技術先行で製品開発を行いますが、今回「ウイルス対策」をテーマに、商品企画七つ道具を活用しながら技術展開することになりました。
事前想定として、家の中でウイルスに対し安心安全が保証されていないことに着目しました。社内開発チームで、各個人宅の家庭調査を行ったところ、見えないウイルスに対して次の要望が出てきました。上位項目だけ挙げます。
- 感染症にかからない
- 感染症をうつさない
- 肺炎にならない
- 家にウイルスを入れたくない
これら顧客の要望から、開発担当者がアイデア出しを行いました。その対策案の一例です。
◆ ウイルス対策案
- 蔓延しているウイルスを見えるようにする
歯科の歯石染色液からのヒント - 付着したウイルスが消える
体内に入れたくない - 抗ウイルスとして玄関にエアシャワーを設置
家の中に入れない - 自動換気、現在の温度(室温)を変えずに換気する
ビルの24時間換気、換気がウイルス対策に効果あり - エアコンに空気清浄機能を付加する
空気をきれいにするが、室温は保ちたい - 不在時にルンバのような掃除機が除菌してくれる
不在時に抗菌してくれる - クローゼットに除菌ボックスがある
花粉症対策からのヒント - 窓やカーテン、網戸、床、壁に防ウイルス効果がある
室内のウイルスを除去してくれる
…などなど、多数のアイデアが出てきました。
これらの対策は、家庭内での感染の広がりに敏感な女性向けのアイデアです。男性は、これらの悩みに気付いていません。「何とかウイルスを室内に入れたくない」という、女性ならではの悩みでした。この後、アイデアを徹底的に顧客向けにコト視点(解決策)を具体化し、企画案にまとめ、社内評価を行ってから企画案を絞り込みました。
また、顧客価値検証として、特定顧客層と数百人にインター...