仕様書で決まる価格:物流の適正価格とは(その3)

 

◆仕様書で決まる価格

物流事業者は仕様書に沿って価格を提示します。物流業務をアウトソースする際に完成度の高い「仕様書」をどこまで提示できていますでしょうか。この仕様書は発注側が委託したい内容をきちんと伝えるために存在します。

 

この仕様書に曖昧なところがあると正確な料金を提示することができません。もし仕様書に曖昧な点があったならどのような料金となる可能性があるでしょうか。仕様書に書かれていない業務については当然のことながら価格は出てきません。その業務自体が存在しないわけですから当たり前です。

 

一方で仕様書の書き方が微妙であった場合はどうでしょうか。たとえば輸送業務を委託する場合、積み込み・荷降ろしに関する記述が無かったとしましょう。そうすると事業者側は、次のようないくつかの作業パターンを想定するかもしれません。

 

 

本来であれば疑問点は発注者に確認することが必要です。しかしすべてクリアにでききれなかった場合、事業者側は「安全サイド」で価格を設定することがあります。今までの経験値から、「積み降ろしで各1時間の待ちが発生」、「手積み・手降ろしで2時間の荷役」など、リスクを織り込むことが考えられます。そうなると価格は相対的に高めとなり、果たして適正価格かどうかは疑問となります。

 

つまり適正価格とするためには、荷主側も事業者側も最初の取引条件を明確にすることが必要だ、ということになるわけです。事業者としてはどうしても仕事を取りたいために「ハネムーン価格」を提示することがあるかもしれません。それは意識して行うことですから、あえて適正価格ではないものをわかって提示することになります。しかしお互いの認識違いによって発生する「不適正価格」はそれぞれの責任です。自社にも責任があることをわかったうえで相手側に是正を申し入れるべきでしょう。

 

いかがでしょうか。価格は自由競争の下、原則として市場の状況で決まります。過当競争の下では安く、需要過剰の下では高くなります。運送のようなレッドオーシャンではなかなか利益率の高い価格設定は難しく、流通加工のような特殊技術を要する業務では利益を確保しやすいかもしれません。

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