ポストコロナDX『賢い』社長の戦略<未来>からのアプローチ(その4)

 

はじめに

これまで<未来>からのアプローチとして<科学の目>、<経営の目>、<DXの光>を紹介しました。また前稿では、真のDX(革新)を如何に効果的に実行に移すかについてSTANDARD社の‟これぞ!”という著書「DX人材の教科書」に触れました。この稿では、究極の目的である「持続可能な発展」を実現する取り組みについて、STANDARD社の「DX人材の教科書」を紹介するとともに、私どもDr. Practiceマネジメント研究所の永年の実践知の集大成「IPI® 両利きの経営」について紹介いたします。

 

次いで、「Dr. Practice®のサロンDX(持続的発展に関して何でもフリートーキングの場)」について紹介し、この連載の締め括りと致します。

 

Ⅰ.「DX人材の教科書」(石井大智/鶴岡友也著)の紹介

はじめに、から。デジタル技術によるビジネス変革は、いまやすべての日本企業の経営戦略の中核をなしています。・・・これまでにない付加価値を生み出すこと、業務の生産性を高めることが、経営の最重要テーマです。・・・私たち㈱STANDARDが日本の大手企業を中心に600社以上のお客様のDX推進支援をするなかで、その原因のすべてが「DX人材の不足」に起因することが明らかになってきました。・・・本書は、DX人材の育成を通して、すべての日本企業に「ヒト起点」のデジタル変革を起すことを最終的な目的にしています。・・・

 

 

・・・「DXを進めたい」という漠然とした相談をいただくこともたびたびあります。「では、どんな課題があって、どう解決したいんですか?」と尋ねると、そもそもAIを使うまでもなく、既存のツールやシステムを利用・変更すれば済む話だったりします。企画・組織・開発の要点*1は

 

① 企画;本当に解決すべき価値ある課題を見付けること。
② 組織;初期段階で関係する現場の人達にデジタル技術について丁寧に説明し、プロジェクトの優先度をたかくして取り組んで貰うようにすること。
③ 開発;PoC(Proof of Concept=概念実証)や保守運用に関わる技術のコアな部分は自社で出来るよう、その知見を内製化していくこと。

*1;①②③は筆者が著書の内容を咀嚼して要約したものです。

 

DXプロジェクトのスタートとなるアイデア企画フェーズ・・・この初期段階で最終的な成果の60%が決まるといっても過言ではありません*2。DXプロジェクトの企画は「解決すべき課題」と「解決策」がセットになっています。

 

1. 課題発見のフェーズの進め方*2
① 課題の洗い出し
② 課題の絞込み

2. 解決策フェーズの進め方
① 解決策の洗い出し
 Step 1; ITを使わずに解決*2
 Step 2; ITツールやSaaSなどで解決
 Step 3; 独自システム開発で解決
② 解決策の絞込み*2
 Q(品質) C(コスト) D(納期)で考える

*2;ITを使わない課題発見・解決はDr. Practiceマネジメント研究所が国内外の多くの業種の多くの企業で50年以上の実績をもつ得意分野です。その経験から企画フェーズの重要性は極めて大きいことを痛感しております。次頁 Ⅱ.「IPI® 両利きの経営」を参照下さい。

 

PoCは企画したプロジェクトを(本開発に進む前に)最小のコストで検証すること。
PoCの成功率は20%程度と低いので、多産多死スタイルで一つ成功すれば大きな成果が得られるプロジェクトを企画すること。・・・ビジネスサイドにデジタルの技術面に詳しい人がいてエンジニアサイドときちんと実務的なコミュニケーション出来ること。

 

不確実性の多さを前提に、次々に現れる予期せぬ出来事を1つずつつぶしていく。

マインドセット1=顧客の意向を直接確かめる、2=スピード感を持った仮説検証

経営者・管理者の意識改革;モノづくり企業的な「完璧な商品を出さないといけない主義」から脱却しないと、今日のソフトウエア型ビジネスで勝つことはできない。

 

要点が要領よく紹介されていて、参考URLもあり詳細を知ることも出来ます。

 

  おわりに、から

・・・設立間もない会社、創業者は20代。このような会社が、多くの企業のDXをご支援させていただいています。それは「変革は若者からはじまる」ということを、日本の大企業が感じているからだと思っています。私たちは、その期待に120%答えられるようにする義務があります。

 

コロナによるDXの加速は、千載一遇のチャンスです。・・・日本という国は外圧によって変革するという特徴を持った国なのです。・・・今回は、コロナという外圧によって、DXが一気に加速する兆しが見えはじめました。・・・本当の勝負はこれからです。・・・と、

 

新進気鋭の情熱が感じられます。ぜひ原書をお読み下さるようお勧めいたします。

 

Ⅱ.「IPI® 両利きの経営」(Dr. Practiceマネジメント研究所)の紹介

IPI®はDr. Practice®によるIntegrated Process Innovationの略で ‟ものづくり.com”の「キーワード解説」に、‟ものづくりとビジネスのプロセスを「マクロの目」と「ミクロの目」の両方からアプローチして革新を実現する法”として2015年に公開したものです。

 

また「両利きの経営」については「DXの思考法–日本経済復活への最強の戦略」(西山圭太著・冨山和彦解説 2021年)の中で、 ‟「両利きの経営」はチャールズ・オライリーとマイケル・タッシュマン両教授のコンセプト*3である。イノベーションを起すことだけを考えれば、組織の壁を乗り越えてオープンイノベーションを起す能力が必要だが、スタートアップではない既存の企業は、そのイノベーションを起すための稼ぎを手持ちの事業から着実に生み出さねばならない。そうすると、一方で ‟① 既存事業を「深化」して収益力・競争力を高める経営を行いながら、②イノベーションによる新たな成長機会を「探索」しビジネスとしてものにしていく経営の両方” *4が必要になる。・・・としています。

 

*3;「主力事業の絶え間ない改善(知の深化)」と「新規事業に向けた実験と行動(知の探索)」を両立させることの重要性を唱える経営論のことで、成功を収めた大企業が新興企業に敗れ低迷する「イノベーションのジレンマ」の処方箋として近年注目を集めている理論です。

出典;オライリー教授「変化の時代、両利きの経営を」:日経ビジネス電子版 (nikkei.com)

*4;①②および ‟ ”は筆者が入れたものです。

 

新型コロナ禍によるDXの加速的進行に伴って日本のDXへの取り組みの問題が明らかになり多くの提言がされている中で、①と②を合せて進める「両利きの経営」、特に前項の第4章:DXプロジェクトの「企画力」・・・に述べられているように、ややもすると②に目が行きがちですが、①既存事業を「深化」して収益力・競争力を高める経営の重要性を良く認識することが真のDX(革新)を成功させるカギになるということです。

 

私どものIPI®では「マクロの目」(<空>からのアプローチ<タカの目>)による経営分析で経営上の課題を見付けて解決し、「ミクロの目」(<地>からのアプローチ<アリの目>)による観察で現場の課題を見付けて解決することにより既存事業の「深化」*5を実践しますので、オライリー教授のいう「両利きの経営」と同じ内容になっています。以下に「IPI® 両利きの経営」を図表にしたものを提示いたします。

 

これまでの話から、Dr. Practiceマネジメント研究所が永年の経験を集大成した「IPI®両利きの経営」がSTANDARD社の「DX人材の教科書」と合せて、真のDX(革新)を実現させて持続的発展を可能にする「鬼に金棒の力強い方法」であることをお分りいただけたのではないでしょうか。

 

*5;昨年11月から‟ものづくり.com”にシリーズで事例を公開しています。2月3日公開の「ポストコロナSGDGs『賢い』社長の戦略<未来>...

からのアプローチに、それまでの事例(<空>からのアプローチ<タカの目>2件、<地>からのアプローチ<アリの目>2件)の要約を載せています。以下に<タカの目><アリの目>それぞれ1件の結果を紹介します。

 

◆<空>からのアプローチ<タカの目>経営戦略

 

 

(その1)L社の事例売上高を‟A・Z分析”で販売戦略を見直し、売上高15%アップに成功した事例です。

◆<地>からのアプロー<アリの目>基盤固め

 

 

(その1)T社の事例(‟課題解決型5S” ‟<1ランク上の>5S”による品質安定化)<アリの目>でシッカリと実態を捉えて基盤を固め直し、持続的発展を可能にした事例です。

 

 

おわりに

<サロンDX>は、オンライン(Zoom)形式で月に1回90分程度のDr. Practiceマネジメント研究所が主催するフリートーキングの場です。info@dr-practice.comに参加希望のメールを入れるだけで、開催案内とZoom招待メールを受け取って気軽に参加できます。楽しく!をモットーに、「DX人材の教科書」や「IPI® 両利きの経営」に見るような成功例や失敗例の紹介とそれに関連して ‟あるある!そんな失敗!” ‟そうだったのか!やっぱり!” ‟それいいね!やってみよう!”といったノリのフリートーキングで「DX人材の教科書」と「IPI® 両利きの経営」について理解を深め行動に移して貰うことです。なお、詳細は次回に掲載いたします。

 

 

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