【ものづくりの現場から】公的補助金を活用した製造拠点開設とコトづくりの取り組み紹介(クレコ・ラボ)

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ものづくりを現場視点で理解する「シリーズ『ものづくりの現場から』」では、現場の課題や課題解消に向けた現場の取り組みについて取材し、ものづくり発展に役立つ情報をお届けしています。今回は木材を使ったストローや印刷用紙の研究開発、販売に取り組む東京都港区の株式会社クレコ・ラボの補助金を活用した経営、製造拠点開設について紹介します。

 

◉この記事で分かる事
・中小企業での補助金活用

 

1,概要

クレコ・ラボは2008年創業のクリエイティブ制作事業を核に商品企画やコンサルティング事業、自社商品の製造、販売を行う東京都港区の企業です。自社商品は各地の木材を活用した紙製品(名刺や印刷用紙)、ストローなどで、環境意識の高まりとともに個人からも企業からも注目集めています。

 

図1、公的助成金を積極的に活用する同社は木材加工品の製造を行っている中小企業です。

 

製造物例

・木製名刺
・木製印刷用紙(プリンターで印刷可能な用紙)
・木製ストロー

単に素材を木にするだけでなく、製品のストーリーをわかりやすく顧客へ訴求し、共有することで購入、使用に価値が生まれるような顧客体験デザイン(UX)の取り組みが感じられます。

 


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図2,木のストローの例 各地の木材を原料として使うことで地域課題の明確な解決に参加できる
(原料の多くは間伐材。間伐材の有効利用は林業を中心とした地域課題解決につながる)

 

 

2、公的補助金を活用した事業展開

同社は木製品を中心にした自社製品を手掛けている。従来アウトソースも活用した生産体制であったが令和2年12月鳥取県智頭町に製品製造の中心となるラボである智頭研究所を開設しました。開設にあたっては鳥取県が実施する補助金「とっとり先駆型ラボ誘致・育成補助金」を活用されています

補助金の概要(とっとり先駆型ラボ誘致・育成補助金)

先駆的な事業に取り組む事業者様のオフィス・研究開発拠点開設をご支援するもので、立地場所の調査から拠点を開設し事業を行う際の事業費まで段階的に活用することができる補助金です。同社は、上記補助金を活用して自社製品の研究開発および製造拠点を開設し、それまでアウトソーシングで製造していたものを含めて、製造の内製化を計画しています。

 

図3、補助金タイプの説明(鳥取県資料から)

 

図4、クレコ・ラボ智頭研究所の様子(同研究所サイトより)

研究所は廃校となった小学校(旧山形小学校)の1階と2階を利用して、拠点開設している。

 


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3,メーカーとしての「コトづくり」の取り組み

同社は木を活用した製品を製造するメーカーとして製品品質の向上に取り組むと共に、社会に向けた「コトづくり」に取り組んでいます。具体的には教育機関に向けた環境教育や地域活動です。

図5、地域活動として、子供向け環境ワークショップを開催している(同社サイトより)

 

図6、自社で行っている教育機関での環境教育(公式Noteより)

 


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公的補助金を製造で活用すると共に、コトづくりにも取り組むスタイルは従来の請負業務中心の製造の形態とは異なる、新しいスタイルと言えるのではないでしょうか。

コトづくりはコミュニティを形成し、広い意味でのファンづくりにも通じるものです。

持続的な経営を考えた場合、コストの面でも、PRの面でも、公的補助金の活用は中小企業にとって取り組むメリットが大きいと言えそうです。

 

この記事を読まれている補助金申請が対象の皆様は、一度取り組みを検討してみてはいかがでしょうか?

 

 

【会社概要】

・名称 株式会社クレコ・ラボ

・所在:東京都港区

  HP https://creco-lab.co.jp/

 


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