【トヨタ自動車×アーバンリサーチ×豊島】車の廃棄物から文房具やバッグなどをアップサイクル

アパレル×自動車で、エシカルな変容を起こすきっかけをつくりたい

トヨタ自動車株式会社、株式会社アーバンリサーチ、豊島株式会社

アパレル企業の視点でSDGsを推進する株式会社アーバンリサーチはこのほど、トヨタ自動車株式会社と豊島株式会社と連携し、アーバン・ファミマ!! 虎ノ門ヒルズビジネスタワー店(東京都)に「TOYOTA UPCYCLE POP UP STORE」をオープンした。店内にはエアバックとしても使われるナイロン製基布の端材やシートベルト、シート本革の端材からアップサイクルされたトートバッグをはじめ、ペンケースやIDカードホルダーなどが並び、今後は3社のアイデアの詰まった新製品も開発されるという。トヨタ自動車新事業企画部 事業開発室、トヨタアップサイクルプロジェクトオーナーの中村慶至氏に同プロジェクトに賭ける思いなどを聞いた。

【目次】

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    異なる業界の思いが一つに、ポップアップストアをオープン

    アーバンリサーチでは、SDGs基本方針として「3C」(Clothing Innovation:衣料資源の有効活用)、(Clean Earth:地球環境負担の削減)、(Community Building:コミュニティの形成)を中心に「2030年までに、自社企画製品の衣料品と服飾雑貨の廃棄をゼロにする」、「温室効果ガスの削減に努め、2050年までにカーボンニュートラルを実現」などの目標を掲げ、取り組みを進めている。一方、トヨタ自動車は2021年4月から『“モッタイナイ”が“もっといい”に変わり続ける未来を創る起点になる』をミッションに、カーボンニュートラル推進活動の一環として「TOYOTA UPCYCLE」プロジェクトをスタート。自動車の製造工程で発生し、リユース・リサイクルが難しい廃棄物を基に文房具やアウトドア製品など、新しい価値を持った実用的な商品へと生まれ変わらせている。1841年に創業し、ライフスタイル提案商社として事業領域を広げてきた豊島株式会社は2019年から、サステナビリティとテクノロジーで消費者に持続可能なライフスタイルを提案する「MY WILL」を宣言し、事業を進めている。今回の3社提携について中村氏は「3社それぞれがアパレル業界・自動車業界ならではの環境課題を抱える中、共通のイベント出展をきっかけに『異なる業界の端材なども融合させて、世の中をさらにエシカルな方向へ変えていきたい』というマインドが一致し、プロジェクトに繋がった」と話す。
    アップサイクルの取り組みは、新たな資源採掘や加工などに伴う環境負担を軽減し、循環型社会の構築につながるほか、持続可能な製品を選ぶことで消費者の環境保護に対する意識も高まり、製造業にとっても廃棄物の削減や材料を効率的に扱うことでサステナブルなビジネスモデルの確立が可能となる。さらにSDGs目標の「12 つくる責任 つかう責任」や「8 働きがいも経済成長も」の達成にも貢献できることから、食品やファッション業界をはじめ、様々な業界に広がりをみせている。

     

    期間限定でオープンした「アーバン・ファミマ!! 虎ノ門ヒルズビジネスタワー店」

    レザーやエアバッグの端材が文房具やアウトドアギアに

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    主な製品を紹介すると「TOYOTA UPCYCLE GEAR」は、エアバッグに使われるナイロン製基布の端材とシートベルトの端材を組み合わせたもので、トートバッグのほか、ウォールポケット、ティッシュボックスなど5種類を用意。染色やシワ加工を施すことで、独特な風合いを表現している。一方、文房具ではLEXUSの製造過程で発生したシートレザーの端材を使用した、IDカードやペンケース、カードケースが並ぶ。製品によっては、マーキングの跡や傷などが見られるが「素材のストーリーとして楽しんで」としている。どうしても、マーキングが気になる際は、同封の説明書に消し方も記載されているので安心だ。同店は10月11日までの期間限定で、営業時間は午前11時から午後8時まで。

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    イベント通じ、自身や企業活動の中に取り入れてほしい

    中村氏によると、TOYOTA UPCYCLEプロジェクトではまず、大量に発生するレザーの端材に注目し、ペンケースやカードケースのアップサイクルに着手した。以降、ユーザーからの希望に応えるため、シートベルトやエアバッグの端材を基に、アウトドアなどにも対応可能なバッグやティッシュケースなどを企画。普段使いと車に紐(ひも)付けた現在のラインナップとなった。
    「レクサスに使われる耐摩耗性や難燃性などに優れた非常に高機能な端材が、リユース・リサイクルしきれずに止むなく焼却されるシーンを目の辺りにし“モッタイナイ、何とかしたい”と強く感じた」と話す中村氏。また、これらアップサイクルに対する意識は「プロジェクトメンバー8人全員が同じ思い」という。

     

    高級レザーの端材から作られた文房具(左)とエアバッグやシートベルトの端材からアップサイクルされたトートバッグなど

    今後は、11月にアーバンリサーチ京都店でTOYOTA UPCYCLE商品が販売開始される予定だ。また、アパレル×自動車の廃素材を融合させた新製品についても3社で検討を開始する。中村氏は「今回の取り組みをきっかけに、車に関連した物だけでなく、他産業や地域から出た廃棄物を融合し、皆で魅力的な商品を生み出すことで、アップサイクルの輪を広げていけたらうれしい。また、身の回りにある廃棄素材が、やり方次第で価値ある物に生まれ変わらせることができるという気づきを今回のイベントや今後の取り組みを通して感じてもらい、自身の生活や企業活動の中で取り入れてもらえれば」と思いを語った。

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    記事:産業革新研究所 編集部 深澤茂 撮影:産業革新研究所 桑田靖章  


    3社連携各社の取り組み紹介ページ

    トヨタ自動車株式会社
    https://global.toyota/newbiz/toyotaupcycle/index.html

    株式会社アーバンリサーチ
    https://www.urban-research.co.jp/news/company/2019/12/ur-sdgs-3c/

    ・豊島株式会社
    https://www.toyoshima.co.jp/business/mywill/

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