ゼロ・ベース経営のすすめ、7ゼロ生産実現マニュアル(その17)

 

前回のゼロ・ベース経営のすすめ、7ゼロ生産実現マニュアル(その16)に続けて解説します。

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『7ゼロ生産』実現マニュアル~生産性7つの阻害要因とゼロベース思想~

第2章 7ゼロ生産の指標と全体関連

5、“在庫”指標一「製品在庫」と「仕掛在庫」と「原材料在庫」

在庫は、工場の体質を非常によく表わすものの1つである。それは、工場のすべての問題を在庫という便利な風呂敷がすっかり覆い隠してくれるからである。それゆえ、在庫の多い会社、工場は、欠品、不良、工程アンバランス、大型設備、大ロットなどの真の問題が山積みされていることになる。ひと口で在庫といっても、それは大きく3つに分けることができる。それは原材料、仕掛り、製品の3つである。原材料とは、原料や材料に代表される購入品のことである。よく購入部品を仕掛りに入れる工場があるが、これは物の流れから捉えれば原材料と同じ扱いのほうがよい。

 

次に仕掛りであるが、原材料・購入部品をいったん倉庫から出庫したら、それは外注に行こうと、途中で部品倉庫に入ろうと仕掛りとして把握するのが良い。最後は製品。これはよく販売部門が別会社になっていて、製品出庫したらあとは関係なし、という工場を見かけるが、これは...

おかしい。なぜなら、顧客ニーズは、この製品を介して工場にやってくるものである。そのトリガーとなる製品を押さえないで、真の顧客の動向を掴めるわけがない。物造りの真の姿を追い求める工場なら、製品在庫の真の姿を積極的に掴むべきである。

 

こうしてみてみると、原材料、仕掛り、製品はすべて生産部門が関連し、すべての在庫の悪さの根源に生産部門がいることはゆがめない。しかし、物の流れの中で、それぞれの責任を決めるなら、"原材料・購入品在庫は購買”、“仕掛在庫は製造”、"製品在庫は販売”である。この意味からも、在庫は少なくとも原材料、仕掛り、製品の3つに分けて把握すべきで、それぞれの対処も大きく異なってくる。

 

このような在庫の尺度とか基準は何を用いるのがよいであろうか。製品在庫を表現するのに、販売の連中はよく“月”の単位を使う。たとえば「この製品の在庫は0.7カ月です」などといった具合である。この在庫の基準が大きいことは、大きいなりの発想しか出ない。在庫を月で表現すれば、月単位でのものの考え方しかできない。0.7カ月といった時に、1日分の在庫を減らそうなどとは考えもつかない。それゆえ「原材料在庫は日および時間」「仕掛在庫は時間、分、秒」「製品は日および時間」の表現が必要となる。無論、この表現は在庫回転率から割り出した言い方ではある。

 

 

しかし、それでもまだ、言い方の基準を変えることで、少しでも小さくしようとする意志がみ、在庫を単に回転数で表現する者がいる。たとえば、図2-5-1のようにである。

 

図2-5-1在庫回転率

 

「売上は毎月、倍々で増えているが、在庫回転数は1回転を保っています」などと人は胸を張る。この考え方には「売上と在庫は比例する」といった安易な気持ちが、物造りの中に見え隠れする。一般的にいって、売上が増えると在庫の絶対量が増える傾向にある。このことから売上と在庫が比例するとでも思っているのであろう。これは大きな誤りである。売上が増えるとそれに伴い、受注のキャンセル、変更、工程アンバランス、部品の非同期、不良などが増えてくる。このような問題が増えるのにつれて、在庫が増えるのであり、上辺だけを捉えると"売上が増えると在庫が増える”ように見えてしまうのである。

・売上問題と在庫の関係

①売上が増えると在庫が増える 一売上と在庫は比例する一

  × 売上=在庫 (考え方の根本が間違っている)

②売上が増えると問題が増え、問題が増えると在庫が増える一問題と在庫は比例する一

  〇 売上=問題=在庫 (考え方はよいが実力不足)

③売上が増えても問題が発生しない 一問題の出ない仕組みー

  ◎ 売上≠問題=在庫 (さらなる改革)

 

そこで、売上が増えても、問題が増えないもしくは問題を3即(即時・即座・即応)で解決してしまう工場では、在庫は増えようにも増えないのである。そして、一定の在庫量で、売上に乗じて回転数が増えていくのであり、この意味で図2-5-2のような売上に比例した要求回転数が必要となってくる。

 

図2-5-2在庫要求回転率

 

このように売上が増えれば、在庫回転も増え、売上が下がれば在庫回転も下がる。車のスピードとエンジンの回転とに似た働きをする。そして在庫は何日、何時間といった回転率のみならず絶対量もポイントで、このために定量決めをし、次にこれを減らしていって量規制をしていき、より強い体質に改革することが望まれる。

 

次回に続きます。

【出典】「『7ゼロ生産』実現マニュアル」ジット経営研究所刊 平野裕之著より、ジット経営研究所 古谷誠 編著(編著者のご承諾により連載)

 

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