納期回答の実力値とは

1.電線製造のリードタイム短縮事例

 電線の製造リードタイム短縮活動を指導した時、営業所に行って、お客様から引き合いがあった時にどのような手順を踏んでどんな基準に基づいて誰が納期を回答するのか調べました。
 
 例えば、お客様の希望納期は2週間後とします。工場生産管理担当者へ問い合わせると「1ヶ月後」との回答がでたので、営業担当からお客様に納期回答すると「そこまでは待てないもっと早くできないか」となり営業所長に相談し、所長から生産管理課長に交渉してもらい「2週間後に納品します」と決着しました。
 
 そのプロセスを逐一記録した結果、興味深いことがわかりました。まだ生産スケジューラーも山積み機能だけで山崩し機能はマニュアルだった時代でしたのでまさかとは思いましたが、引き合い1件ごとに実際にスケジューラーに山積みしていたのです。これは大変な手間のかかるやり方です(確実な方法でもあります)。
 
 毎日数10件もの引き合いに、いちいち山積みして回答するだけでなく、受注が決まらなかったものはスケジューラーから取り除かなければなりません。例えば5工程を経て生産されるものであれば各工程のその品種品番のものを作るに適した設備に着手予定日、完了予定日を入れていきますが、キャンセル分を取り除くと櫛の歯が抜けたようになります。
 
 これを前に寄せていき後ろに空きを作ります。設備にダブルブッキングされないよう1人の担当者で全て行うことになります。工程計画だけでなく材料や部品の在庫にヒモをつけたり(キャンセル分を外したり)追加発注の手配(キャンセル分は取り消し)もあります。現在の生産管理システムはかなり自動化されてきましたが、それでも完璧なものではなくマニュアルに多くたよることになりますので、今でも大変な作業であることに変わりはありません。
 

2.製造リードタイムの2要因

 調べた結果は製造リードタイムが2つの要因に大別されるようになりました。一つは引き合いのあった(まだ受注未定分を含む)いわゆる「受注残」が何日分あるか、ともう一つは実際に製造に着手してから何日後に出荷されるか、です。
 
 この中には特急品が飛び込んだり、注文変更(特に注文数の増加)があるのですからよく言えば余裕、悪く言えば水増しの日数が含まれて運用されています(認められたルールに基づいて行っていればいいのですが、往々にして担当者任せとなってしまい、担当者以外はよくわからないようになっていますのでこれを顕在化することは欠かせません)。
 
 こうして現状の製造リードタ...
イムの実力値が統計データとして把握することができました。
 
  ・納品率の水準
  ・受注~納品リードタイムのヒストグラム
  ・特急飛び込みへの対応力 
 

3.製造リードタイムのミニマム化を追求

 製造リードタイム短縮の狙いを突き詰めていくと、次の3点ではないかと考えています。
 
   (1) 在庫補充生産を減らす
   (2) 見込み生産を減らす
   (3) 出来るだけ受注生産に持っていく 
          
 従って、まず受注生産品に絞って製造リードタイムのミニマム化を追求することを検討することがよいでしょう。
 

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