1.物流作業者の品質意識
物流品質を維持するためには第一に品質が保証される仕事のしくみを作ります。それが標準作業であり、標準作業が守られているかどうかを作業観察でチェックします。チェックした結果、もし標準作業と違う仕事の仕方をしていたら、その場で修正させるようにします。このPDCAを回すことによって、物流品質は維持されることになります。
しかしルールを守らない作業者がいることも事実ですし、作業観察を怠る監督者がいることもまた事実です。この背景にはいろいろな要素があると思われますが、楽をしたい、違ったことをやっても怒られないといった会社の風土そのものが問題であるケースがあります。そこで社員の意識を高めるしかけが必要になってきます。その一つとしまして「褒めるしかけ」を作ってみてはいかがかと思います。
たとえば「提案制度の導入」はいかがでしょうか。物流品質に関わることであれば何でもよいので簡単な提案メモを提出してもらうようにします。その内容に応じて報奨金を出すのです。参加賞「500円」から効果の大きな提案であれば「50,000円」、さらにはそれ以上の報奨金を出してもよいのではないかと思います。
そして年間で提案の件数、効果が大きい人に対しては「品質改善優秀者」として社長名で表彰するとよいでしょう。世の中の物流品質の出方を見ると、このような「褒めるしくみ」がある会社は不良流出が少ないようです。
2.品質向上は自主活動
物流作業者を褒める体制は確実に品質に影響しますので、ぜひ提案制度と表彰制度を導入していただければ、と思います。また海外の物流倉庫でよく見かけるしくみですが、それぞれの物流作業者の物流品質に関する誓いを現場に表示するという手もあります。
やはり品質管理は自主活動であるという位置づけにした方が効果的であると思います。そこで、物流作業者が自分の職場の品質を向上させるためには自ら自主的に動くような習慣づけが必要ではないかと思います。最初の一歩として、物流品質に関する誓いを書いてもらうようにしましょう。そしてそれが誰でも見ることができるように現場に掲示します。
◆物流品質に関する誓いの例
「私は標準作業を順守し物流品質向上に心がけます」
「私は3点照合を実施することで不良を出しません」
「私は現場から不要物を撤去し、間違いを防ぎます」
こういった「私は」で始まる宣誓文を作り、その作業者の顔写真とともに現場に掲示します。それをやることで作業者の意識が向上することは間違いありません。また、訪問した荷主...
からみると、物流品質を職場全体で取り組んでいる様子がわかるので、荷主の安心感を醸し出すこともできるでしょう。
海外では品質上で最も優れた作業者を顔写真とともに倉庫内に掲示しているケースを見かけます。これは表彰制度と同じですが、掲示された作業者がやる気を起こさないわけありませんね。さて物流品質を管理するにあたって2つの指標があることをご存知でしょうか。1つは「流出不良」です。2つ目は「工程内不良」です。「流出不良」とは顧客まで不良が流出してしまったものを指します。一方「工程内不良」は自社内で発見され、顧客への流出を免れた不良のことを指します。