【目指すべき開発体制 連載目次】
- 目指すべき開発体制とは(その1)擦り合わせ型と組み合わせ型
- 目指すべき開発体制とは(その2)日本企業文化を引きずっている「擦り合わせ型」
- 目指すべき開発体制とは(その3)組み合わせ型に擦り合わせ型組織文化を適用する工夫
- 擦り合わせ型開発 基本の仕組み (その1)「調整」の仕組み
- 擦り合わせ型開発 基本の仕組み (その2)「気づき」の仕組み
新製品開発体制には、企業規模の大小を問わず、プロジェクト型組織が向いていると考えます。日程管理には、プロジェクトマネジメントを採用すべきです。ただし、企業規模が小さい場合には、フルスペックのプロジェクトマネジメントではなく、要点を抑えた簡易型のもので良いと思います。
開発日程の遅れは、企画段階の課題の抜け漏れ、開発テーマの一本釣りでの実行等のケースが大半でした。例えば、プロジェクトマネジメントの主要プロセスを、分かり易い言葉で列記すると次のようになります。目的と目標の明確化、WBSを用いたテーマの抜け漏れのないブレークダウン、コストと工数の見積、各実施項目どうしの連関性をチェックできるスケジュール管理、リスク対応策の立案、進捗管理、完了レビューで蓄積ノウハウを整理すること。抜け漏れに対しては、課題がメンバー同士で可視化され共有化できるチェックリストを作成することです。
それに対しては、企画段階で、企画趣旨、現状分析、仕様、プロジェクト組織、リスク管理、スケジュール管理、投資効果とコスト管理等に対して、検討内容や手法等をリストアップしておくことです。開発テーマの一本釣りに対しては、代替案を用意して、その技術のテストピース評価ぐらいは併行して実行する仕組をつくることです。では、擦り合わせ型開発と組み合わせ型開発、目指すべきはどちらでしょうか?
日本の多くの開発現場で、「組み合わせ型」アーキテクチャの製品を「擦り合わせ型」の仕組み(組織能力や環境)で開発するという「ねじれ」の問題を抱えています。どうやったら「ねじれ」解消ができるのかという思考になりやすいものですが、コンサルタントとして開発現場を見てきた経験から、擦り合わせ能力は日本の技術者が本来持っている能力であり、擦り合わせ能力を活かすことこそが、製品開発における他国に対する競争優位性を高める手段だと信じています。
ただ、擦り合わせ型開発は、文字通り様々な擦り合わせが発生するため非効率な開発になりがちです。したがって、組み合わせ型開発においても、擦り合わせ能力を活かした高次元の製品開発を実現するためには、擦り合わせの非効率性を解消する仕組みが必要になります。
ということで、今回は、擦り合わせ能力を活かしつつ、組み合わせ型開発においても効率的な開発を実現するための仕組みについて次の連載目次のように解説します。
【連載の目次】
1. 目指すべき開発体制とは(その1)擦り合わせ型と組み合わせ型、
2. 目指すべき開発体制とは(その2)日本企業文化を引きずっている「擦り合わせ型」
3. 目指すべき開発体制とは(その3)組み合わせ型に擦り合わせ型組織文化を適用する工夫