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損失関数を使った評価が待たれます(2011/05/03配信)
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ものづくり工学通信 2011年5月3日号
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ものづくりに日夜奮闘されている皆様、
社会は一歩ずつ震災後に向かいつつありますが、福島第一原発はいまだに
最終安定状態が見えぬままで、既に4兆円の補償額が必要と言われます。
国内原発は54基が現存し、平均稼働を25年とすると、甚だ荒っぽい試算で
すが一基当たり年間40億円、総額1600億円の補償費を積立てることとなり、
国民一人当りでは1200円、4人家族なら5000円/年ほどの負担となります。
もちろん補償費積立以前に事故未然防止に万全を期すことが前提で、損失
関数から試算すればその方が社会的損失が小さいであろう事は明白です。
電力会社歴代経営者と所轄官庁の責任は免れないでしょう。
これまで原子力発電はコストが安いと言われ、我々国民もその検証が不十
分だった点は反省しなければなりません。津波の想定5.7mは論外ですが、
一体何mを想定すれば社会損失を最低にできるのか、その時のコストは
自然エネルギー発電より本当に低いのか。各種の数値が明らかになった時
点で損失関数を使った評価が待たれます。
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今号の内容
1.ものづくり寄席再開の案内
2.品質管理学会記念シンポジウムおよび発表大会の案内
3.クオリティパブの案内
4.技法解説:#3パラメータ設計
5.書籍紹介「開発現場で役立つ品質工学の考え方」
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1.ものづくり寄席再開の案内
ものづくり産業のミクロ的実体を経営面から興味深く解説するこの催しは、
例年年初の開催が恒例でしたが、今年はこの時期の案内となりました。
第1回目は5月12日(木)19:00-20:30東京丸の内の三菱ビルにて、主催の東大
ものづくり経営研究センター長である藤本隆宏教授が「地域インストラク
ターを養成し、日本のものづくり能力向上を!」と題して、自身が情熱を
傾けるものづくりベテランの活用に関して、強烈な取り組みを提示します。
昨年は本題から脱線してリコール問題に発展しましたが、今年はどうなる
か目が離せません。
http://merc.e.u-tokyo.ac.jp/mmrc/topics/yoseenmoku.html
2.品質管理学会記念シンポジウムおよび発表大会の案内
日本の製品品質そして近年はサービス品質の向上研究に寄与してきた日本
品質管理学会も創立40周年を迎え、5月28日(土)の第95回研究発表会に先
立ち27日(金)13時から記念シンポジウムが開催されます。テーマは「グ
ローバリゼーションを見据えたモノづくりと人づくり」で3件の講演が予定
される中、私的にはKanoモデルで有名な東京理科大狩野紀昭名誉教授のTQM
論に注目しています。
http://www.jsqc.org/q/news/events/index.html#110527-2
3.クオリティパブの案内
ほぼ毎回ご案内している品質管理学会のこのイベント、5月12日(木)のテ
ーマは(株)デンソー 生産推進センターの吉野睦室長による「設計最適化
技術の最新動向~応答曲面法を中心として~」で、18:00から日科技連東
高円寺ビルで開催されます。
複数の変数が非線形で作用しあう時に、直交表だけでは最適化が難しい場
合もあり、応答曲面法の具体的な活用手順の解説は興味深い所です。
http://www.jsqc.org/q/news/events/index.html#110512
4.技法解説:#3パラメータ設計
パラメータ設計は、一般にタグチメソッドといえばこれをイメージする程
品質工学を代表する手法です。
歴史的には多数の制御因子を直交表で組み合わせて最適化していた田口氏
が、製造や市場で機能を発揮できない事例に何度も遭遇してそのばらつき
原因を敢て組み込んだ実験を設定し、「毒をもって毒を制す」的な考えを
洗練した手法です。
さらにその後、技術が高度化したり仕様が変わる度に一から最適化をやり
直さなくても良いように、予め入出力関係の理想性も評価できる工夫が加
えられて現在の形に行き着いています。
理想を追い求めた結果として概念が難解になり、SN比、感度、基本機能と
いった聞きなれない単語も初学者の障壁です。
慣れてくればさほどでもないのですが、逐次実験を1次元、直交表を2次元
の世界とすると静特性は3次元、動特性は4次元の世界のように感じる事と
なり、初学者の技術的感性を試します。
多くの手法を調査した中、ばらつきの評価手法はいくつかあるものの、ば
らつきを減らす定型的な手法は他に見当たらず、この考えが広く技術者に
普及すべきと思うものです。
5.書籍紹介「開発現場で役立つ品質工学の考え方」長谷部光雄著
品質工学を経験してその効用を実感する人は多いですが、それを周囲の人
に上手く伝えられる人は多くないようです。私も昔は「騙されたと思って
やってみて」とか話した事もありましたが、それは難しいものでした。
元リコーの技術開発センター長長谷部さんは、最近6年で8冊を著述し豊富
な経験と秀逸な例示で読み手を納得させます。最新刊である本書は、これ
までの読み物風文体から転じ、数式も用い、QFDも絡めて、技術開発の本質
的な進め方を提起します。
タグチメソッドをベースにしながら半歩進めたハセベメソッドとも言うべ
き方法論が展開されます。
http://www.webstore.jsa.or.jp/lib/lib.asp?fn=/quality/qty10_02.htm
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イタリア旅行の機上で観た映画「ソーシャルネットワーク」に感化され、
2か月ほど前にFaceBookへ参加した所、実名登録の威力で多くの知り合いと
「友達」になりました。趣味的なmixiとは違う人的ネットワークの広がりを
感じています。