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技術士経営工学部会講演報告(2010/02/18配信)
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ものづくり工学通信 2010年2月18日号
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ものづくりに日夜奮闘されている皆様、
最近のものづくりといえばトヨタのリコールが話題です。本メルマガでも
しばしば取り上げている東大ものづくり経営研究センターの藤本所長が、
この件につき2月11日朝日新聞に寄稿していました。さすがにこの業界を熟
知した優れた分析でしたが、その中で事故未然防止策の1つとして品質工学
が紹介されていました。社会的認知と必要性の高まりを感じた出来事です。
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今号の内容
1.2月1日ものづくり寄席報告
2.4県合同品質工学研究会報告
3.HAYST法実践リーダー交流会報告
4.ものづくり工学マトリクス講座報告とお知らせ
5.技術士経営工学部会講演報告
6.書籍紹介「タグチメソッドわが発想法」
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1.2月1日ものづくり寄席報告
夕方から雪が降るという予報の中、この日も東京駅前エムプラスに行っ
てみました。今回はMMRC三宅研究員の「新たな市場の作り方」です。
悪天候にもかかわらず大入りの中、寄席というだけあってなかなか調子
の良いマクラのあと、元気な中小企業から身動きの重い大企業という展
開でした。
主題としては、新たな市場は「そこに問題を認識するかどうか」という
ご本人曰く「社会科学的」な結論だったと思います。
するってえと、巷では今苦しいと言われる中小企業の方がむしろ発展の
可能性があるってえことですかい、ご隠居さん? と聞こうとしました
が、質問者が多すぎて時間切れでした。
考えさせられる話題でした。
http://merc.e.u-tokyo.ac.jp/mmrc/topics/yose.html
2.4県合同品質工学研究会報告
毎年1回この時期に開催される埼玉、北陸、長野、山梨の合同研究会は、
終了後の懇親会がメインという噂もありますが、今回は幹事の埼玉が4ヶ
月熟考した結果だけあって、なかなか良い研究会でした。
翼を外したゴム動力飛行機のような「搬送装置」の、基本機能を考える
問題です。時間切れでほとんどのチームはシステム最適化まで至りませ
んでしたが、中級者以上には非常に興味深い教材でした。
もちろん懇親会は盛り上がり、らふれ埼玉15階からは絶品の眺めも堪能
しました。
さあ来年は山梨が幹事です。個人的にはワイナリー巡りと組合せたいで
すね。
3.HAYST法実践リーダー交流会報告
2月10日午後から、富士ゼロックスが推進する直交表を使ったソフトウェ
アテストHAYST法に関するユーザーズミーティングがありました。
電気通信大学の西康晴教授が、大規模化するソフトウェアのテストに関
して3つの世代に切り分け、HAYSTを含めてツールと考え方を鋭く解析し
ていました。
その後S社とN社がそれぞれ活用あるいは検討した経緯を発表し、検討
中の各社は大いに参考になったことと思います。
懇親会でお話してみると、名だたる大手のソフト担当者でも、まだまだ
第1世代ですとおっしゃる方が多く、むしろ新しい手法でまだまだ良くな
る余地を感じました。
http://jasst.jp/archives/jasst04/pdf/B1ap.pdf
4.ものづくり工学マトリクス講座報告とお知らせ
2月17日新技術開発センターにて「ものづくり問題解決技法マトリクスに
よる技術課題解決プロセスの実際」セミナーを開催しました。前半は近
年のものづくり課題動向と解決技法を概説し、後半は参加者の業務を含
む事例で適用の実際を示しました。私の予想以上に始めて知った技法も
多かったようで、事後アンケートでは全員の方から満足の評価を戴き
ほっとしています。
http://www.techno-con.co.jp/item/16651.html
3月1日と2日には、やまなし産業支援機構主催で同様の講習が予定されて
いますので、山梨県の方は是非お申し込みください。
http://www.yiso.or.jp/supportnet/support.htm
5.技術士経営工学部例会講演報告
2月例会が4日神谷町にて開催され、この日は(1)産総研原史朗氏の「ミニ
マルファブ」、(2)日立製作所石野智子氏の「SCM課題解決」、(3)吉
澤経営研究所吉澤光男氏の「ISO26000」という豪華3本立て講演でした。
いずれも濃い内容で、各々30分でまとめるのはもったいない話でしたが、
ここも懇親会で疑問点はきっちり応えていただきました。
経営工学的には(2)のSCMが核心で、主要企業のIT投資は一巡し、さ
らなる生産性向上を目論んで苦労している様子が見えました。
http://www.engineer.or.jp/dept/keiei/20091212plan01.pdf
6.書籍紹介「タグチメソッドわが発想法」
私が品質工学を講習する時に、「田口さんの本は最初に読まないでくだ
さい」と冗談交じりに話すのは、難解な表現に怯んで初心者が拒否反応
を起こさないための老婆心です。
しかし遅まきながらこの名著を読んでみると、これまで不思議だった品
質工学発展の経緯を、非常に分かり易い文体で理解することができまし
た。品質工学のファーストステップを登って、歴史と背景に関心を抱い
た人に強く推薦できる一冊です。
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幸運が重なり、4月から山梨学院大学現代ビジネス学部で「ものづくり
経営論」の講義を持つ事となりました。「生産マネジメント概論」で考
えていましたが、頭を切り替えて文科系の学生達にものづくり世界と親
しんでもらうべく、準備を開始しています。このメルマガと授業の連携
も面白い課題です。
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