私は、メガネフレームメーカーで、技術管理課長をしています。
メガネフレームですが、電気・電子部品の内蔵など、かつてない大変革期が
目前に控えております。
当社も、電気系の技術者、生産技術者を中途採用し、社内体制を整備して
3年ほど、経過しました。
しかし、新製品・新商品開発の日程管理において、従来より大幅に増えた
チェックポイントに最適な対応がとれず、開発日程の遅れが多発しています。
新製品開発の体制作り、日程管理について妙案があれば、お教え下さい。
いくつかのプロジェクトリーダー、プロジェクト支援、新製品開発支援等の経験から、この質問に有効と考えられる意見を述べます。結論から先に述べると、新製品開発体制には、企業規模の大小を問わず、プロジェクト型組織が向いていると考えます。日程管理には、プロジェクトマネジメントを採用すべきです。ただし、企業規模が小さい場合には、フルスペックのプロジェクトマネジメントではなく、要点を抑えた簡易型のもので良いと思います。開発日程の遅れは、筆者のコンサル経験から判断すると、企画段階の課題の抜け漏れ、開発テーマの一本釣りでの実行等のケースが大半でした。例えば、プロジェクトマネジメントの主要プロセスを、分かり易い言葉で列記すると次のようになります。目的と目標の明確化、WBSを用いたテーマの抜け漏れのないブレークダウン、コストと工数の見積、各実施項目どうしの連関性をチェックできるスケジュール管理、リスク対応策の立案、進捗管理、完了レビューで蓄積ノウハウを整理すること。抜け漏れに対しては、課題がメンバー同士で可視化され共有化できるチェックリストを作成することです。それに対しては、企画段階で、企画趣旨、現状分析、仕様、プロジェクト組織、リスク管理、スケジュール管理、投資効果とコスト管理等に対して、検討内容や手法等をリストアップしておくことです。開発テーマの一本釣りに対しては、代替案を用意して、その技術のテストピース評価ぐらいは併行して実行する仕組をつくることです。
念のため、プロジェクトの失敗事例での問題点、コンサルティングで質問の多かった点について、要点を列挙します。
①失敗したプロジェクトの問題点は、個人負荷のアンバランス、部門間のコミュニケーション、マネージャーのリーダーシップ、スケジュール管理の甘さ、目的・目標の不明確さ等。
②最初に押さえるべき重要なポイントは、プロジェクトは何のためにやるのかをよく議論しておくこと。
③プロジェクトを実行する場合、誰が何をいつまでに行うかを、あいまいにしておかないこと。
④忘れがちなのが、役員や部門長クラスの責任問題。責任分担表を作成して責任のなすりあいを防ぐこと。
⑤いままでやったことのない仕事や進め方では不測の事態が発生しやすい。例えば、コンティンジェンシープランのようなリスク対策を具体的にスケジュール化すること。
筆者のいままでの成功例と失敗例の教訓等から、KT法、TRIZ、プロジェクトマネジメント、動機づけ手法等のエッセンスを簡潔に取り入れ、中小企業の技術マネジメントの手引きとしたものです。これは、御社のOJT教育に効果的だと思います。参考にしていただければ幸いです。
<技術マネジメント7つのプロセス+チェックポイント>
1. 状況・課題を正確に認識する
「分かったつもりになっていませんか」
① 何か気になること、放っておけないことはないですか?
② "あるべき姿"を考えましたか?
③ 目的展開して"真の目的"を確認しましたか?
④ 事実と意見、推測を分けていますか?
⑤ 不足情報は他にありますか?
2. 優先課題を明確にする
「いの一番にやるべきことは何ですか」
① 課題は明確になっていますか?
② どうしてもやらなければいけないことは何ですか?
③ 自分しかできないこと、他人にまかせられることは何ですか?
④ 重大性、緊急性で切り分けてみましたか?
⑤ 問題点は将来拡大傾向にありますか、減少傾向にありますか?
3. 起こった問題について論理的に考える
「先入観にとらわれていないか?結論を急ぎ対策にジャンプしようとしていないか」
① どんな問題が起きているのでしょうか?
② なぜなぜ展開して"根本原因"を確認しましたか?
③ 何が、いつ、どこで、どれくらい起きているのでしょうか?
④ 起きている条件(範囲)と起きていない条件(範囲)を区別しましたか?
⑤ 想定した原因で、起こったこと、起きなかったことを確認しましたか?
4. 目標のコンセンサスづくりをする
「何を目的・目標としようとしているのかメンバーと共通認識ができているか」
① どんな成果を、いつまでに、どの程度達成したいのでしょうか?
② MUST条件/WANT条件に分けましたか?
③ 目標のウエイト付けをしましたか?
④ 経営資源をどの程度投入できますか、また、制約条件は何ですか?
⑤ 何を決めるか定義していますか?
5. 案の作成と最適の方策を選択する
「なるほど!と膝をうてるか案か」
① お客様は誰で、ニーズは何かを確認しましたか?
② 斬新な案ですか、あるいは、競争に勝てる案ですか?
③ 選択基準を明確にしていますか?
④ 投資効果算出は、これから発生する費用の比較で考えていますか?
⑤ 案のリスクを列挙していますか?
6. その方策について実施計画を作成する
「段取りはきちっとできているか」
① いつまでに、どんな目的を達成するために、どんな計画を立てていますか?
② 実施計画プロセスに抜けはないですか?
③ 重大な影響を与えそうな領域はどこですか?
④ 将来起きそうなリスクを列挙しましたか?
⑤ リスクの対応策を考えましたか?
7. 実施後、結果のレビューをする
「次の仕事の時はこうしようというものをまとめているか」
① 目標の達成度を明確につかめていますか?
② 結果に対するフォロー体制は準備できていますか?
③ 成果をあげた人を褒めてあげましたか?
④ 成果が出なかった原因を分析し、成果の出なかった人を励ましましたか?
⑤ 次のステップへの教訓を整理しましたか?
回答者:ぷろえんじにあ代表 粕谷茂
|
新製品・新商品開発の日程管理において、従来より大幅に増えたチェックポイントに最適な対応がとれず、開発日程の遅れが多発しています。
新製品開発の体制作り、日程管理について妙案があれば、お教え下さい。
との質問への回答です。
開発される予定の商品開発は事業計画でどのような位置づけになっていますか。
経営面からの制約として、顧客要求や競合企業対策及び事業計画または経営方針の将来展望から開発品の仕様を決める事が必要になります。また、開発期間は経営面から何時までに開発しなければならない。との必要期限を充足する様に調整することです。
更に、開発試作品を信頼できる有力企業に打診して顧客満足度が満たされるような仕様に修正することも内容によっては必要です。
これらのことを考慮して開発日程を決める事が商品開発の基本で、保有する人員から日程調整が困難な場合には、それ相当の予算を申請して支障のない要素技術に関しては、外部に一部を委託することで経営面からの必要性に対処する日程計画を立てることです。
開発した商品が競争力を発揮して売り上げが伸び、経営に貢献することが何よりも大切ですから、その趣旨に沿った開発計画を立てる様に努力することです。
|