インドネシアで稼働しているテスト工場を正式に立ち上げることになり、現地で生産管理システム
を運用するのですが、短期、低コストでのシステム構築を目指して、クラウド型のシステム導入が
有力な選択肢として、浮上しました。
現地にサーバーを導入せず、現地のソフトウエア―ベンダーに依頼しないで、
日本からの遠隔操作でインドネシアからシンガポールのデータセンターに
アクセスしてシステムを利用できるようにします。
このようなケースに関与されて、トラブルを解決された例、自社導入型のシステムと
比較した場合の注意点等を、お教え下さい。
よろしくお願いします。
クラウドサービスが自社導入型(オンプレミス)に比べて一般的に優位とされているのは、一般的には、規模の増減に対応する柔軟性、初期投資や運用要員の削減などのコストダウン、強固なセキュリティ、大規模災害時の事業継続能力、システム障害の迅速な復旧などです。
一方、自社業務固有のカスタマイズ、機密データの社内での保管、今まで蓄積された社内の運用ノウハウの活用、既存システムとの密な連携という点ではオンプレミスが優位な面もあります。
クラウドを使用するときのリスクのひとつは、これらオンプレミスが優位とされる機能が、当初の想定に反して、必要となる事態が発生してしまうことです。
システム設計時から、これらの機能の必要性が認識されていれば、たとえば、自社固有システムは自社サーバー上に構築して自社、あるいは、クラウドベンダーのデータセンターでプライベートクラウドとして稼働させ、汎用のパッケージを使用できる機能はオープンクラウドを使って、両者を統合運用する、いわゆる、ハイブリット型のクラウドを構成しておくことができます。オンプレミスでも、クラウドベンダーのデータセンターにサーバーを設置すれば、セキュリティ、事業継続能力、ハードウェア障害対応等では、クラウドサービスと同等のサービスレベルを享受することも可能です。
しかし、システム設計時にはこのようなリスクが把握できず、オープンクラウドだけでシステム運用を始めた後に、リスクが顕在化した場合には、情報システムだけでなく、業務プロセスも含めた対応が必要となることがあります。
たとえば、運用を開始した後になって、クラウドサービスの仕様と業務プロセスとの間のギャップが顕在化し、クラウドサービスのカスタマイズが難しい場合、業務プロセスの方を変更せざるを得ないこともあります。このとき、海外拠点の場合、現地の法令に合わせた業務手続など、自社の都合だけでは変更できない業務プロセスもあるため、注意が必要です。
このような潜在的なリスクを事前にできるだけ検討し、対応策を練っておけば、クラウドサービスを使用するリスクはある程度軽減できると思います。
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