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QUESTION 質問No.134

ポリウレタン樹脂の変形

設計・開発品質工学(タグチメソッド) |投稿日時:
樹脂や材料に関しての知識が浅く下記現象の説明に悩んでいますので、お教えください。

ポリウレタン樹脂の成形で電子基板を包んでいるのですが、ある部分だけ熱でわずかに平面に盛り上がりが確認できます。X線で見ると膨張しているようです。電子部品からの熱は80℃程度です。ポリウレタンの仕様書では使用範囲は-40°C to +130°Cで許容できそうです。気になる点として、変形している個所は樹脂の厚みはおおよそ1㎜程度で、他の部分(3㎜-5㎜)に比べて薄いです。色々調べるとポリウレタンの熱変形温度は80℃付近と書かれている資料もありました。推測として樹脂の熱い部分はでは熱を加えても耐量があり変形しないが、薄い部分では体積に対しての熱量が大きくて変形が発生したと考えております。また時の周囲温度も70℃程度です。この考えは正しいのでしょうか?
使用範囲の上限での130℃超えていない事に矛盾しないでしょうか?
この状態でのエージング時間は6時間程度ですが、続ければより変形は進む可能性はありそうでしょうか?
補足:仕様書には熱変形温度の記載なし。試験は1.5㎜で難燃試験 RTI=130℃と記載。

補足1 投稿日時:2016/02/03 18:27

ポリウレタン樹脂の仕様書の使用温度は、どの程度の変化まで保証しているのかが謎です。
と言うのも、同じようなポリウレタン樹脂製品のホースは上限が80℃程度です。
ポリウレタン樹脂の熱変形温度は70℃程度の資料もネツトでは拾えます。尚、変形後に隙間はできていないようです。単に厚みが増して、冷えても戻らないようです。やはり断面観察する必要があるのかと考えています。

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ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

現象が完全に把握できていない中での回答ですので、勘違いしているかもしれません。

樹脂の熱膨張は金属よりも大きいですから、局所的に熱がかかるとその部分では膨張します。基板から熱が来ていると理解しましたので、基板に接触している部分が一番大きく膨張しようとします。
その際に厚みが厚い部分(3~5mm)の部分では剛性が大きいので、変形しなくても厚みが1mmの部分では反り変形が起こると考えられます。
厚み1mmの部分で、基板からの剥離は起こっていないでしょうか?




ANSWER
回答No2 | 投稿日時:

 ポリウレタンの成型は殆ど行ったことがないのですが、樹脂の一般論としてお話をさせていただきます。成型した樹脂材料が熱によって変形する原因は多数あります。ざっと記述すると次のようなものがあります。説明すると長くなるので、詳細な説明は省かせていただきます。
①樹脂の熱劣化によるもの(酸化、熱分解等)
②熱により樹脂の剛性が低下し、外力によって変形するもの(劣化ではない)
③樹脂成型の際に発生した内部応力によるもの(主に熱可塑性樹脂)
④化学反応による架橋密度、体積収縮等の変化に伴う内部応力によるもの(熱硬化性樹脂)
⑤熱膨張によるもの
⑥異種材料との接合による熱応力によるもの
 ①②③④によるものであれば、製品を室温まで冷却しても変形は維持されます。⑤⑥によるものであれば製品を冷却すれば変形は緩和されるはずです。
 気になるのは、電子基板をポリウレタン樹脂で包まれているとのことで、このように異なる材料を接合した場合、それぞれの材料の線膨張率は異なるので、温度上昇した時に熱膨張量の違いから熱応力が発生し、製品を変形させる場合があります。更にポリウレタン樹脂の肉厚の異なる部分に応力が集中し、変形しやすくなることも考えられます。
 以上より、次の点を確認されることをお薦め致します。
a.製品を室温まで冷却しても変形はそのまま維持されるか? あるいは変形が緩和されるか?
b.ポリウレタンの薄い部分だけではなく、基板全体の変形はないのか?(基板の反りはないか?)
 製品を室温まで冷却しても変形がそのまま維持されるのであれば、①~④の可能性があります。室温まで冷却して変形量が小さくなるようであれば、⑤、⑥の可能性が考えられます。ご質問者様のお話では「冷めても厚みが増している」とありますが、加熱状態に比べて厚増大が緩和されているかどうかを調べて下さい。
 尚、加熱した時に全体的な変形、特に基板が反っているようであれば、熱応力による変形が基板全体に起こっている可能性があります。
 以上、ご参考になれば幸いです。





ANSWER
回答No3 | 投稿日時:

タグチメソッドの立場から、回答させていただきます。
品質工学で技術課題を考えるときは、目的を重視します。つまり今回の質問は、熱による変形という現象を解明したいのか、変形という問題を解決したいのか、どちらが目的なのでしょうか。目的によって、検討方法がまったく異なります。

(1)現象解明が目的ならば、製品を断面観察するのは効率が悪すぎます。現象解明に必要なデータを効率よく収集するために、厚みを変えた実験用のサンプルを用意し、各温度での変形量を観察した方が手っ取り早いでしょう。現象解明には、製品の現物からいったん離れた方が良いでしょう。
(2)盛り上がり問題の早期解決が主目的ならば、逆に現象解明をしていては時間がかかりすぎますから、直接対策案を検討しましょう。成形製品の変形についてはいくつかありますが、この場合は、成形時に変形部分に少しへこみを付けておき、変形しても盛り上がりが問題とならないようにするのが早いと思います。そのようなアイデアを揃えて、実験で効果の高い案を絞り込みます。対策を実施してから、効果があったアイデアとなかったアイデアを眺めて、ゆっくりと現象解明するのです。

がんちさんの目的によって、以上のように回答の内容が変わります。参考にしてください。