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QUESTION 質問No.257

採算性を踏まえた生産管理について

企画サプライチェーンマネジメント |投稿日時:
当社は大手食品メーカーです。私は企画部門で会社全体の収益性向上について検討を行なっています。

消費者ニーズにきめ細かく対応するため、新商品の投入や、納品数や納期の柔軟な変更を行なっているのですが、その結果、間接的な人件費や工場でのライン替え、場合によっては食品事故のリスクが高まるなど、見えないコストがかさんでいるのではないかと感じています。

消費者のニーズに応えることを基本に置いたとしても、どのような基準をもって生産計画の変更が合理的か判断していけばいいのでしょうか?

ひとつには全てのコストを商品別に配賦して、経済的に受けるべき受けないべきを数字で見ることも考えています。

アドバイスよろしくお願いします。


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回答No1 | 投稿日時:

工場損益管理を専門としています本間と申します。

見えないコストにもいろいろとあるのかと思いますので個別的にはいろいろありますが、工場の利益管理の基本原則は工場が稼ぐ付加価値(スループット)をどうやって拡大させるかにあります。原価管理にいくら力をいれても工場の利益向上にはつながりません。ムダな努力です。全体コストを配賦するとしても、恣意的に数字をいじっているだけですので意味を成しませんし、公正な配賦基準などは存在しません。

生産計画については上記の基本原則にそって立案する必要があります。

このあたりの詳細は拙著「誰も教えてくれない工場の損益管理の疑問」で説明しました。
ぜひお読みいただければと存じます。

https://www.monodukuri.com/book_review/review/125




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回答No2 | 投稿日時:

初めまして、コヒーレント・コンサルティング代表 小山太一と申します。
私は、長年SCMのKPIはどうあるべきかを研究してきた者です。

>>私は企画部門で会社全体の収益性向上について検討を行なっています。
>>どのような基準をもって生産計画の変更が合理的か判断していけばいいのでしょうか?

ご質問は、会社の「収益性」をどのような基準で図るべきかということかと思います。

「収益性」を会社全体あるいは事業部、製品別の「営業利益率」として捉えるならば、いわゆる製品別利益管理
であり、売り上げと原価の管理がその主眼となります。

ただし、最近、日本全体で注目されているのは、ROEです。
これは、言うまでもなく会社の会計年度における投入資源に対するリターンであり、つまり会社の「生産性」です。

日本企業のROEつまり生産性が低いことは、安倍政権での最優先の政策課題となっており、コーポレート・ガバナンス・コードの遵守という形で企業経営に影響を及ぼしております。

会社全体の生産性を図る指標としては、ROEで良いのですが、生産管理を含む各部門、現場が日々オペレーションを進めていく上での「生産性」図る適当な指標が実はありません。

一般的に大企業では行われている製品別営業利益、粗利は、「生産性」指標ではありません。
これは単に、売り上げに対する利益の割合を示すだけで、その利益を生み出すためにどれだけの原価が、どれだけの「期間」投入されて得られた利益であるかを示していません。

銀行にお金を預けるときは、「金額」と「期間」のかけ算に対してリターンを要求するでしょう。
しかし、一般的な大企業では、この評価が行われていません。

そこで、ROEを現場で使える指標として分解したものが、小生が提案している「面積原価利益率」です。
面積原価利益率の簡単な紹介は、小生のHP(http://coherent-cons.com/)で行っております。

ちなみに昨年小生が「面積原価管理」でご支援した某大手文房具メーカー様では、全製品4000品番の粗利と面積原価利益率を調べた結果、同じ粗利であるにも関わらず面積原価利益率は一桁違うような製品が多くある、つまり、粗利は同じでも「生産性」は10倍違うような製品が多くあることが明らかになりました。

現在、その会社では面積原価利益による品番の削減とSCMモデルの改善に取り組まれております。

ご興味があれば参照ください。

 




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回答No3 | 投稿日時:

nori様

商品点数と利益の関係については一般的に次のように考えます。

①工場の製造能力に余裕がない場合
この場合は商品点数が増えると商品切り替えに関する段取り時間がとられるので、その分の製造ができません。これだと期待されるスループットが上がらなくなりますので、できるだけ商品点数の絞り込みが必要です。とくにネック工程に関してはできるだけ実稼働率を高くすることが必要です。生産数量の少ない商品は外注で作るということもありえます(ただし外注利用はスループットは減るので利益的にはできるだけ避けるのが基本です)。

②工場の製造能力に余裕がある場合
この場合はスループットを増やすための売り上げ拡大が求められます。その方策として品ぞろえを増やしたり季節限定製品をだしたりすることが効果的であれば、商品点数を増やすことも選択肢です。製造能力に余裕がある場合は段取り替えをいくらしても利益的には問題はありません。ただし、商品点数を増やしても売れ残り在庫が増えるばかりでは意味がありません。
注)財務計算的には実際に売れなくても在庫を増やすだけで利益は上がります。粉飾に近い工場運営ですがあえて一時的利益創出のためにこれを行う工場もあります。

③需要変動がはげしい場合
受注生産品(OEM)品、季節変動品、キャンペーン品、短納期品などの需要変動の激しい製品があると工場の生産効率は落ちて潜在スループットが低くなります。この場合は空いている時間帯に作れるような納期調整のしやすい商品(在庫対応できる量販商品とか納期的に余裕のある商品とか)をあえて投入することもありえます。この場合は商品点数は増えます。

商品点数に関してもあくまでもスループット(売上)を増やすためにはどういった形にすればいいかが基本となります。




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回答No4 | 投稿日時:

よろしくお願いします、青柳と申します。生産計画の基準を述べさせて頂きます。

1会計期間の利益の最大化をねらい、サプライチェーンや個々の生産システム単位の月別の利益が基準となります。お金の出入りで正なら利益ですが負なら損失です。損失の際は、手許資金や当座預金の借越によってまかなえたか、それとも借入金が発生したかが、ポイントとなります。借入金には返済金利がつきものです。資金最大化を妨げる過剰在庫はいずれお金として回収できるかもしれませんが、返済金利自体は回収できないので、避けるべきでしょう。
ここで生産計画の基準であることを考えると、数月先迄の販売予測を伴うことが予想されます。生産計画立案時点から予測された時点までのお金の出入りもわかることになります。仮に未来のいずれかの時点で損失となることがわかれば、損失から利益に転じさせるように材料の入荷時期を前もって変更できます。

また制約条件の理論(TOC)で提案された管理会計(スループット会計: TA)の数式を応用すれば、利益を計測したい時点の全在庫の材料評価額で除すことで、投下資本利益率(ROI: 利益/在庫)を算出できます。1つの値で利益と在庫状況を合わせて把握できるので便利です。
もしも損失回避のために材料入荷のまえだおしが行われているならば、該当の在庫量はここではカウントしません。
TAの失点は損失の際に在庫が多いほどROIが高くなることなので、注意が必要です。そもそもTAは製品別に利益を比較することが使用目的なので、お金の出入りのタイミングまでは考えられていません。

なおSCMの視点でみると、生産システム間の移動量の振幅が大きくなることは過剰在庫をともなうので避けるべきです。川上の生産システム間の移動量の振幅を製品販売の振幅以下にさせることが望ましいです。その比較のために変動係数も、基準に採用することが考えられます。変動係数は標準偏差を平均で除したものなので、簡単にもとめることができます。