1)もし交互作用に有意のものがあった場合、分散分析の結果は正確なものとはなりますか。
交互作用を列にわりつけいれば、有意のものを無理やりプーリングしてしまうようなこと。
2)交互作用を無視した分散分析の結果は主効果の傾向は正しいと言えるのでしょうか
よろしくおねがいします。
村島技術士事務所主宰の村島です。実験計画法、品質工学、多変量解析あたりのコンサルタントが専門です。ご質問の具体例はわかりませんので、少し淡々とした説明になりますが、ご容赦願います。
1)について
交互作用を割り付けるべき列に交互作用を割り付けないで主効果因子を割り付けたということでしたら、分散分析の結果は正確とはいえません。交互作用が交絡しているからです。交互作用が小さいという技術的確信(根拠)があれば、別ですが、交互作用がもしかして有意であるかもしれない=結果的にあったと仮定したら、分散分析の結果は正確、不正確の前に信用できません。
2)について
交互作用を無視した分散分析の結果は、主効果については正しくありません。1)と同様の理由によります。ただし、混合型(品質工学で使用)のような直交表については、交互作用が各列に等しく分配される(L12)、ほぼ等しく分配される(L18等)ので、主効果の相対比較は意味があります。正しくなるといってもいいです。確認のための最終実験で再現性があれば交互作用なしと判断されます。
以上です。ご参考になさってくださればと思います。
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村島です。追加質問「交互作用の見当がつかない場合、直交表でなく多元配置のほうがよいか?」に一般的な場合の想定でお答えします。見当がつかない場合には、実験コストを考えて直交表による場合がよいといわれます。多元配置実験は、交互作用がハッキリしてからどの組み合わせがよいのかに使う手法だという考え方です。見当がつかないのに、多元配置で実施すると大変な実験工数になります。逆に言えば、コンピュータシミュレーションのようなコストも時間もかからない場合には、いきなり多元配置で実施すればいいと思います。直交表は大網で追い込んだのちに多元配置(3元程度まで)に向かうのが通常のやりかたです。
ご参考になさってください。
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村島です。追加の再質問にお答えします。交絡しないよう注意して交互作用をできるだけ多く割り付けるようにする方がいいでしょう。ただ、交互作用というのは、発見されたら発見されたで最適化のための追加実験が必要になるわけですから無いことを証明できるような水準にするとかのほうが現実的です。このあたりの考え方から、交互作用があっても強い設計にしたほうが効率的だという品質工学の考え方(具体的には混合型直交表の推奨)につながっていくわけです。品質工学では、交互作用を割り付ければその分実験が増えるので無駄、割り付けて交互作用がなければ結果的に無駄、割り付けて交互作用が発見できたとしても再度実験が必要になるので、無駄だという考え方です。従来実験計画法で解決するのか、品質工学的な実験で解決するのかは、この交互作用に対する考え方の違いも大きいと思われます。
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