製品を開発していく過程で,必要な構成要素を拾い出し,その構成要素の特性を抽出し,その最適解を求める方法はどのようなものがありますでしょうか.
最適解は品質工学等で求めればよいと思いますが,それ以前に拾いこぼしなく要素を求めることができればと思うのです.
まったく新規に開発するならTRIZをすればよいですが,ある程度要素が決まっていればその必要もないと思います.またQFDで品質項目から拾い出していけばよいようなこともいわれますが,いまひとつピンときません.
FMEA,FTAもなんとなく違うように感じます.
補足1 投稿日時:2017/05/19 7:37
間館様
回答ありがとうございます.質問の仕方が悪かったようですので,再度質問しなおします.申しわけございません.
開発するものの目標値は決まっている.また要素もほぼ決まっている.その中でその要素の機能・特性を最適化するために,機能・特性を全て拾い出し目標値を達成したいのです.その際機能・特性を落ちなく拾い出すにはどのようにすればよいのでしょうか.
よろしくお願い致します.
日本コストプランニング㈱の間舘(マダテ)と申します。
早速ですが、netaik様がご紹介されていますように手法や技法を意識することは適切であると思いません。
開発する製品の性質や特徴、環境などによって、もっとも有効な方法(アプローチ)は変わってくると思っています。
つぎに弊社でよく活用しております手法を紹介します。
弊社では、製品開発において、一般にVE(バリューエンジニアリング、あるいは価値工学)を活用して製品の機能とコストの関係をまとめることを推進しています。
VEには、機能設計的アプローチと機能分析的アプローチがあり、基本設計段階では、機能設計的アプローチを用いています。
機能設計的アプローチは、製品に要求されるニーズをかたちにするうえで、製品の品質や性能を機能に置き換えて、機能⇒方式⇒構成と考えていきます。
構成は、構成要素を組み合わせたものであり、多くの候補(構成要素)の中からの選択になります。
この構成要素を考えるうえでは、構成要素に求められる機能とその条件があり、条件を満たす構成要素を選択することになります。
このとき、重要な要素の一つがコストです。つまり、その機能を最も安価で満たせることです。
そして、構成要素の構造を考えることになります。構造でもアプローチは同様です。
さらに、構造から部品の仕様というように展開されていきます(詳細設計)。この段階では、VEの機能分析的アプローチが有効です。
弊社では、VEを活用していますが、目的は製品に要求されているニーズを最適なコストで設計することです。
このとき、会社では、過去の膨大な原価データを活用していることを見かけますが、有効に活用できないでいるのが現状ではないでしょうか。
弊社は、ここにしっかりとしたコストのモノサシを持つことを提案しています。
以上、簡単ですが、ご紹介させていただきます。
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いくつかのプロジェクトリーダー、プロジェクト支援、新製品開発支援等の経験から、この質問に有効と考えられる意見を述べます。このサイトで紹介されている技法の中から、ご要望にそえると思われるものを挙げれば、プロジェクトマネジメントの技法のWBSが最適かと考えます。必要に応じて、ロジカルシンキングのMECE、QFD、VE等を活用します。以下にその概要を述べます。
(1)WBSとは
プロジェクトを進める上で重要なスキルの一つがWBS(Work Breakdown Structure)です。WBSは、新QC7つ道具では系統図とも言われ、QFD(品質機能展開)の一種でもあります。これは、プロジェクトでなくとも、業務課題や問題点の整理、技術戦略など策定時の状況分析、新商品開発や新規技術開発の企画提案書、新生産システムのフィージビリティ検討、製造工程の全体像の把握など多くの場面で活用できます。
実際に活用する場合にどのような使い方になるのでしょうか。課題を計画に落とし込むときに、課題を漏れなく階層別に分割していきます。これを課題ばらしという人もいます。プロジェクトの課題や問題点を整理するための必須のツール(フォーマット)となります。つまり、プロジェクトメンバーのベクトルを合わせるための課題の「見える化」でもあります。
WBSは、QFD(品質機能展開)と同様に課題や問題点を、一次、二次、三次ぐらいのレベルまで各々を2つ以上に分割し、より計画を具現化できる程度にばらしていくのが特徴です。全体最適な視点で俯瞰することによって、新たな課題の発見や解決策の創出も期待できるようになります。
(2) WBSの使い方
WBS作成ポイントは、組織の視点はできるだけ考えず、全体最適視点で、課題を2つ以上に漏れなく分割します。活用には2タイプがあります。1つ目は、主目的や主機能をトップダウン式にプロジェクトメンバーの担当レベルまでブレークダウンする方法です。2つ目は、詳細の問題や課題が分かっているとき、それをKJ法的にグルーピングして、ボトムアップ式に統合させる方式です。
(3) 漏れなくダブりなく分割するためには
各ワークをブレークダウンするときに、どう分割するかのスキルも必要です。プロジェクトマネジメントの体系では、それを特に定めていませんが、ここでは、ロジカルシンキングの手法として、MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)という考え方がありますので、少し紹介しておきます。例えば、技術業務の場合、次のような切り口がよく使われます。
a) ヒト、モノ、カネ、情報、ノウハウ
b) WHO(市場/顧客)、WHAT(機能/ニーズ)、HOW(技術/独自能力)
c) Man(生産主体)、Material(生産対象)、Machine(生産手段)、Method(方法)
d) 設計、調達、作業
e) 導入期、成長期、成熟期、衰退期
f) 顧客、競合、自社
g) 現状、問題点、改善策
h) 財務的視点、顧客の視点、社内プロセスの視点、人材育成の視点
なお、具体的図表の例は、本サイトの記事「プロジェクトマネジメントⅡ(WBSとは)」「QFDの勘所Ⅱ」に書いてあります。
ぷろえんじに代表:粕谷 茂
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日本コストプランニング㈱の間舘でございます。
補足ついて、VE(ここでは機能設計的アプローチ)を用いる場合を紹介させていただきます。
VEでは、機能の視点から展開していくことになるのですが、まず必要とする機能をまとめます。そして、機能には、その条件があります。
一般には、機能条件、使用条件、制約条件の3つになります。
netaik様が仰られている「機能・特性を全て拾い出し目標値を達成したいのです。」ということでは、この条件の整理をすることです。
たとえば、機能条件には、動的な条件、空間的な条件、時間的な条件、作業的な条件などに分類されます。
そして、動的な条件であれば、機械に関するもの、電気に関するもの、物理的なもの、化学的なもの、音に関するものなどに分類することができます。
さらに、機械に関するものであれば、能力や動力ということになり、トルク、速さ、回転数などに、電気に関するものであれば、電圧、容量、周波数などのように整理をしていくことです。
つまり、「各要素の機能・特性の最適化」には、これらの条件の項目とその値をまとめることが必要になるわけです。
以上、回答になっていますでしょうか。
簡単にご紹介させていただきました。
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製品開発マネジメントのコンサルティングを行っている石橋です。
ポイントは機能要件、非機能要件を漏れなくリストアップして考慮した上で、開発目標値を達成する設計を行うのはシステム設計における重要ポイントになります。
システム設計は属人性が高い開発工程のひとつですが、仕組み化して組織的レベルで技術力を向上させることが重要だと考えています。仕組みのひとつである「FURPS+」を紹介したいと思います。
FURPS+ とは Functionality(機能性),Usability(使用性),Reliability(信頼性),Perfomance(性能),Supportability(保守性)の頭文字を並べて、さらにその他の属性という意味で + を付け加えたものです。「ファープス プラス」と発音します。FURPS+ はシステム要件を考えるときに、機能 (F) に加えて、考えるべき品質特性を忘れないためのわかりやすいテンプレートであり、「ファープス プラス」と覚えておけば常に意識して設計することが可能になるはずです。
実際の運用方法は以下のページで解説していますので、参考にしていただければと思います。質問などありましたらご連絡ください。
図研 Club-Z グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス
品質特性はシステム要件のカギ
<http://www.zuken.co.jp/club_Z/z/column/t01/25/col_090930_1.html>
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