ご質問ありがとうございます。
水準ずらし法は、別名「スライド水準」や「スライディング」とも呼ばれ、ものづくりドットコム内ではこちらのページに簡単な解説があります。
https://www.monodukuri.com/gihou/article/345
少し違う事例では、こちらのQ&Aにも説明があります。
https://www.monodukuri.com/qa/detail/238
こちらのQ&Aも参考になるかもしれません。
https://www.monodukuri.com/qa/detail/312
有機化学反応には技術の加法性が成立せず、品質工学を使っても手ごわい場合がありますが、その場合に品質工学を使わないとさらに訳が分からなくなるはずです。
注意深く計画して成果を出してください。
お役に立てれば嬉しいです。
|
「超実践品質工学」をコアとしたデータエンジニアリングで、設計・開発をお手伝する、
株式会社ジェダイトの鶴田(つるぞう)と申します。
※質問の通知メールが迷惑メールフォルダに分類されていたようで、気が付くのが遅くになりすみません。
ご質問は水準ずらしについてですが、ご質問内容を拝見しますと、下記の2つの問題が混在しているように見受けられます。
①合成できない組み合わせができてしまう問題。
②制御因子間に交互作用があって、正しく推定できない問題。
①の場合、合成できる範囲があらかじめだいたい想定できているのであれば、それを制約条件とするような関係式を作って水準を決めます。反応温度と反応時間なら、反応温度が低いときは長めの時間の3水準、温度が高いときは短めの時間の3水準という具合です。固有技術的な知見もいると思います。
直交表の条件中(例えば16条件中)、いくつか合成できない条件があっても、欠測値の処理を行えば推定できる場合も多いので、「当たりを探す」とい意味ではあまり制御因子の水準を狭めすぎないほうがよいと思います。
また、範囲に制約があるということは、自由度(数学的な意味です)が1つ減るわけですから、独立変数の数に気を付けてください。たとえばAとBの組成比が合計0.5と決まっているような場合は、Aを決めればBは従属的に決まるわけですから、Bを独立な因子として扱うことはできません。
水準ずらしを行うケースとして多いのは②の場合です。目的は制御因子間の交互作用の消去です。
ご質問では明示されていませんが、化学合成などの分野ではこの問題のほうが圧倒的に大きいはずです。
どのような水準ずらしをすれば交互作用が消えるかは、固有技術(工学)的な問題です。AとBの値をそのまま水準にすると交互作用がでるが、Aの水準を決めた上で、Bの水準はAの値との比率で決める(たとえば、B1=0.5A、B2=1.0A、B3=1.5A)などのやり方です。
また化学系の場合、制御因子の選ぶ際に温度や時間や組成といった、実験者が直接操作できる因子を選びがちですが、それが適切なのかどうかもよく考える必要があります。下記の記事も参考にしてください。
https://tsuruzoh-qe.blogspot.jp/2017/11/blog-post.html
化学系の実験計画法、品質工学は交互作用や多特性になる問題があって、かなりノウハウがいりますので、専門家のご指導を受けられるのがよいと思います。コンピュータシミュレーションができず、実験も大規模になることが多いので、できるだけ手戻りがないように事前に手を打っておくべきです。
|