1台目はこれまで問題なく動作していますが、昔の設計にわずかに気になる所があります。
左右に可動端が往復するケーブルベア(ケーブル保護カバー)が、装置のオペレータ側についているのですが、その手前は最低限の開口を開けた金属のカバーで覆われていることです。
たぶん万一の巻き込みをおそれてのことなのでしょうが、これだと日常的にはケーブルベアのごく一部しか見えていません。
ケーブルベアメーカーのサイトで調べたところ、ガイド面に異物が載っていないように点検すべし、といった意味の事が書いてありました。
この装置のケーブルベアもストロークの約半分は可動端と湾曲部の間のたるんだ部分が、コの字断面の雨どいのようなガイド上を滑る構造です。(ストロークがフリースパン走行の範囲を超えています)
そのガイドは、カバーをするとまったく見えません。
このガイド面に知らない間に異物が載っていると確かにまずいのでしょうが、一方カバーをしているおかげで、異物がはいりこむ蓋然性は格段に低くなっているとも言えます。
普通このような場合、カバーはつけるものなのでしょうか、つけないものなのでしょうか、どちらでもいいのでしょうか?
もちろん、カバーをアクリル板で作るなどの新規対策も考えられるのでしょうが、1台目を長年使ってこられた顧客との関係を考えると、1台目に問題があったという印象を与えるのは避けたいので、「念のため」だけの設計変更には躊躇してしまいます。
よろしく情報をお願いします。
労働安全の視点で回答いたします。可動部にワーカーの体の一部が触れる危険性があるのであれば当然カバーをする必要があります。労働安全衛生規則(第百一条~第百五十条の三
)に該当するかどうかは機械を見ていないので厳密にはわかりませんが、ケーブルベアそのものを安全カバーで覆うことも検討する必要があるのではないでしょうか。
単にホコリ、切削屑、油、粉じん等から保護するものであれば、ケーブルベア本体の構造を隙間の少ないモデルに変更することでも良いと思いますがワーカーの安全を確保するためには、ケーブルベアそのものを覆うことが重要です。
人間の行動特性として、ガイド面に異物がある状態を発見した場合は、それらを除去しようとします。機械を停止させて除去作業を行うのであればよいのですが、生産性、品質上止めることをためらう作業者は多いのでそのまま手を入れてしまい、労働災害につながる例は非常に多いです。それらを回避する為には覆いを設ける等の対策が必要になってきます。
アクリル板への変更も検討されているそうですが、その場合も、前記に同じように、稼働した状態で、カバーを外した状態で手を入れてしまう恐れがあるため、設計段階でカバーを開けると機械が停止するよう、インターロック機構を備える必要も出てきます。
長く使用していると折り返し部分が撓んできて、下部のベアと接触しジョイント部が外れてしまうことが原因で機械の破損や労働災害を誘発します。そのようなことを考慮するとやはり、現状の見えない状態よりはアクリル板等の中の状態が確認でき、かつインターロックを取り付ける等、機械にもワーカーにも安全な機構を備えることが良いのではないでしょうか。
いずれにしても、近年、労働安全衛生上の問題が企業経営に与える影響が大きくなってきています。今の設計のままで稼働することによるリスクがその会社にとって許容できるリスクレベルなのか、また、リスク低減対策としての変更であれば「1台目に問題があったという印象」という受け止め方はされないのではないでしょうか。
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