当社はもともとベンチャーとして、創業以来画期的な製品を出し続けてきたのですが、ここ10年ほどは新興国の追い上げが激しく、普及品市場では厳しい競争になっています。
なおさら彼らが追いつけないような、革新的な技術、製品を開発する必要性が増しているにも関わらず、いわゆる大企業病でしょうか、この状況にあって担当部門の危機感が十分ではないように思え、将来大きな事業となるこれといった技術が出てきません。
利益率が低下しているとはいえ、まだ黒字であり内部留保があるうちに、研究、開発部門の技術者に教育するとしたら、どのようなプログラムが良いでしょうか?
ご意見、ご提案をよろしくお願い致します。
【これは事務局による架空の(しかし良くありそうな)質問です】
同様な規模の複数企業の人財開発の支援経験から、具体例も交えて、意見を述べます。まず、いきなり結論を急がず、御社特有の課題の根本原因を特定することが解決策に直結するものと考えます。そこで、各部門の人材開発代表者を集めて意見を出し合ってはいかがでしょうか。漠然とした議論にならないために、例えば、顧客の視点、業務プロセスの視点、財務の視点、人材と変革の4つの視点のバランススコアカードの切り口から整理してみることもお薦めです。環境対策、利益創出、新製品開発、品質・サービスの向上や人材も教育プログラムの対象となるはずです。さらに、アンケートで研究・技術者の忌憚ない意見を収集することも非常に有効です。それらを総合的に判断して、現状の教育プログラムをポジショニングマップにプロットしてみてください。御社の教育プログラムのあるべき姿が見えてくると思います。
具体例では、研究・技術者へのアンケートの結果、次のような課題を抽出しました。①自分の担当領域しか見えず、全体を俯瞰できる研究・技術者が少ないため、ジョブローテーションを強化する。②若い技術者の活性化を図るため、組織をフラット化する。③失敗が許されない組織風土、評価の仕組みとなっている。施策として、ジョブローテーション強化とともに大学との共同研究の拡大、組織を2階層フラット化、業績評価制度にチャレンジ要因を付加を実施しました。そして、教育プログラムのポジショニングマップとして、縦軸と横軸に、(基礎教育/必須教育)⇔(応用教育/選抜教育)、(技術力)⇔(新事業/企画力)を設定し、何が抜けているかを議論しました。強化したものは、品質工学、創造性開発プログラム、マーケティング、プロジェクトマネジメント、リスクマネジメント、財務マネジメント、最新ソフトウェア技術などです。先端技術については、最新技術を学ぶため、先端技術講演会で代替することにしました。
補足事項として、そもそも、お客様に感動してもらえる製品について議論し、次のように定義しました。
感動製品=創造性×潜在ニーズ
お客様に感動していただくには、感動を生み出したいという強い思いが必要であり、それをやり遂げるという信念がないと実現しません。そのためには、自らを奮い立たせる仕事の進め方も重要な要素となるはずです。
回答者:ぷろえんじにあ代表 粕谷茂
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