3因子3水準系の実験をする際に、L9直交表を用いて実験をし、後から分散分析を手計算で行って交互作用を評価することは可能でしょうか?交互作用が無視できる大きさかそうでないかは分かっていません。諸事情により実験に時間も費用もかけられないので、できれば3水準系の最小実験数であるL9で主効果も交互作用も評価したいのですが・・・こんな虫のいい話はあるのでしょうか?よろしくお願いします。
L9に3水準の因子、A、B、Cを割り付けるとAの主効果にはBxC、Bの主効果にはAxC、Cの主効果にはAxBが交絡しますので交互作用を直交した情報としてみることはできません。実験の目的次第ですが、3つの因子が制御因子で、ロバスト性の最適化が目的であるのなら交互作用が弱くなるような因子と水準を定義することをおすすめします。例えばA:縦寸法とB:横寸法の場合は、A:縦と横の比、B:面積とするなどです。このような考え方に水準ずらしというテクニックもあります。
また計測特性は交互作用が出やすい不具合や収率のようなものを避けて最適化するシステムの基本的な機能を測ってください。DCモーターであれば消費電力を入力にしてトルクとRPMの積を出力として測ります。要求にある熱、振動、騒音、寿命などは機能ではありません。ハードウェアの場合でしたらエネルギー変換の効率とエネルギー変換のバラツキの比がSN比です。化学反応でしたら時間を入力にして反応速度のバラツキを最小化するなどです。サービスシステムでも成された仕事量を測れます、
SN比を最大化することで要求を満たそうという技術的な戦略です。
実験結果から得る因子の効果が正しいと仮定して最適条件と初期条件の結果を推定します。推定された利得と確認実験で利得がほぼ同等であれば交互作用は主効果よりも十分小さいと考えられます。そのことは実験で得られた要因効果図が信用できるということです。これを再現性といいます。再現性があれば加法性があることになります。加法性とはA,B,Cの効果が足し合わせることで、「良い+良い+良い=大変良い」となることです。
加法性のある制御因子を見極めることで、その技術は開発しやすくなり、開発期間が短縮できます。
蛇足ですが、ロバスト性は制御因子とノイズ因子の交互作用の利用しているのです。弱い交互作用でもロバスト性が改善されます。ですからノイズ因子と水準を上手くとって、外側にわりつけることをお勧めします。
制御因子間の交互作用を回避するための方策をまとめます。
1.機能を測る
2.制御因子の定義と水準を上手くとる
3.実験結果から利得を推定して、確認実験で再現性をチェックする
以上です。
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