補足1
>対馬様ありがとうございました。「現行条件を直交表に入れている」=「SNや感度の推定値は計算できない」と考えていました(実験した確定値があり、推定の必要がないため)。そうではなく、実験による確定値があるとしても、現行条件は推定値を使う、ということですね。なお、例えばL18実験で現行条件を入れて実験した後、最適条件の確認実験でも現行条件の再試験は必要でしょうか?実験コストが高い、もしくは、実験の繰り返し再現性が高ければ、現行条件を省略することはやむを得ないが、そうでなければ、現行条件を繰り返した方がいい、というのが基本的な考え方でしょうか?
品質工学のコンサルティングをしております対馬と申します。
現行条件の推定値と現行条件の確定値に差異が生じることは、制御因子間の交互作用を解消しないまま、実験計画を組んだ際に多く見られます。
交互作用とは、ある因子の水準の効果が他の因子の水準によって変わることで、制御因子どうしが互いに関係がある場合に交互作用が生じます。
ですので、交互作用を解消して実験を行なえば、現行条件の推定値と現行条件の確定値は近づきます。 これは最適条件でも同様です。
また、L18のような混合系の直交表を用いると、小さな交互作用や実験誤差の影響が各列に均等に割り振られます。 そのため、現行条件を直交表に組み込んだほうが、現行条件の推定値と最適条件の推定値の差の精度が高まりますので、現行条件を直交表に組み込むことをお薦めします。
もちろん、現行条件を直交表に組み込めない場合には、同じ誤差因子を入れて現行条件での実験を行ない、最適条件と比較することになります。
以上、参考になれば幸いです。
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対馬です。
直交表を用いた実験によって推定した最適条件は、当然再現性があることが求められます。 そのために、実験によって推定した最適条件と現行条件のSN比または感度の差(利得)を求め、次に確認実験で最適条件と現行条件のSN比または感度の差(利得)を求めて、それぞれの利得を比較します。
そして、それぞれの利得の値に大きな差がなければ、再現性があることになり、実験計画の妥当性が証明されたことになります。 別の言い方をすると、それぞれの利得に大きな差があれば、実験計画そのものを見直す必要があるということになります。
直交表を用いた実験にしろ、確認実験にしろ、最適条件と現行条件には実験誤差を含んだノイズが同様に影響していなければ、利得そのものの精度が悪くなり、実験の妥当性に影響を及ぼします。
したがって、実験による確定値がすでにあったとしても、ノイズの入り方が異なると思いますので、確認実験では現行条件の再実験を最適条件と同時に行なったほうがよいということになります。
以 上
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