村島です。いろいろなところで、望大特性は使わないほうが良いといっている村島です。推奨しないというよりは、禁則に近いです。そのことを数理的に説明している本もあるし、私もどこかで説明した覚えがありますので、その辺については、よくご存じと思い、説明は省かせて頂きます。
今回のご質問は、望大でとらざるを得ない場合に、逆数をとって望小特性にて、解析したということですね。ただし、この場合もお書きになっているように、ばらつきと平均が一体のワンセットです。これも数理的にそうなっているので、望大よりはマシだが、(マシの意味は、ばらつきが過小評価にならないということ)、ばらつきと平均はやはり分離できません。不可能です。
といいますか、そういう意味では、望大も望小も、分離しないで、一体で評価するものだということです。そういう立場をとりたい場合には、十分な誤差因子さえ入っていれば、正しい評価だともいえます。
ご質問のように、ばらつきと平均を分離したいときには、望小でも分離できません。大昔、1980年代のころ、同じようなことで悩み、望小で解析してから、望目で解析したところ、田口先生に大笑いされました。意味がないと。どちらでやりたいのかと。つまり、どういう立場で解析したいのかと。冷や汗ものでした。
結論:望小でも望大でも平均とばらつきは分離できません。分離してはいけないといってもいいです。ばらつきを含めて、平均を小さく、あるいは大きくしたいという総合評価方式だからです。
で、分離したいのなら、望大特性の逆数をとらずに、そのままの特性の望目特性をとってください。望目ですから、SN比は相対バラツキの逆数、感度は平均になります。これを別々に解析し、SN比を上げながらも平均値を大きくする条件を見出すことです。意外と簡単です。お試しください。
この場合、望目SN比に影響しない感度の因子を見つけて、それを最大化することがコツです。(もちろん、SN比も感度も高める因子水準があればラッキー) もし、そういう感度を高める因子が実験で見つからなかったなら、別因子を再度目論むことです。直交実験で取り上げた因子でなくても明らかにばらつきに影響しない因子なら何でもいいです。成形でいえば金型寸法、半導体のリソでいえばマスク寸法みたいなものです。
以上ですが、実際の解析段階で、具体的に悩みがでれば、再質問してください。
よろしくお願いいたします。
(結論までの前置きが長くて失礼しました)
村島
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