各因子に交互作用はないようであり、最小のL9の直交表に割り付けようと
思っています。(繰り返し数は5回)
標記演習問題に類似しているのですが、本書には解答、解説がありません。
詳細な解説がお願いできましたら小職の実験結果の解析の参考にしたいと思います。
この実験は繰返し数1回(繰り返し無し)でも解析可能でしょうか。
ご指導、よろしくお願いいたします。
みかも様
回答がすっかり遅くなり、申し訳ありませんでした。年一度の学会が近づいていて、いろいろあったものですから。
ご質問についてですが、田口玄一氏の実験計画法が手もとにないものですから、詳細な説明はできません。田口氏の基本方針では、演習問題には解答や解説はつけませんので、どこを探してもないでしょう。
その理由は、実験には教科書のような回答がないからです。自分で考えなさいということです。
実験には何か目的があるはずです。その目的に沿ったデータ=技術情報が得られるように工夫するのです。したがって目的が明確でない実験や質問に関して、一般的な回答はありません。
直交表を使う目的は、制御因子間に相互作用があるかどうかを検証するためです。再現性があれば、交互作用がなかったことになりますから、安心できるのです。交互作用がないことが分かっているなら、直交表を積極的に使う意味はありません。たとえば、4因子3水準の実験なら、他の因子の水準を固定して、それぞれの因子を3回ずつ実験しても、12回の実験でで最適条件を見つけられます。L9の9回と再現実験の2回で計11回の実験数と変わりません。直交表を積極的に使う必要はありません。
繰り返し数についても自由です。何のために繰り返すのか、理由が重要です。
ばらつきが心配だからという理由なら、5回程度の繰り返しでは少なすぎます。平均値やσが信用できるためには、20~30個のデータ数は必要でしょう。単に同じ条件での繰り返しは止めて、極端な水準に振った誤差因子(ノイズ因子)を活用することを勧めます。
ご質問の背景には、品質工学が勧めている直交表の実験方法なら、成功するのではないかという期待があるようですね。それは間違っています。問題解決など実験が成功するかどうかは、良い制御因子のアイデアがあるかどうかです。良いアイデアがない状態では、どんな方法で実験しても良い結果は期待できないでしょう。自信をもって実験してください。そして、結果を真剣に考察すれば、道が開けると思います。サプリメントに頼るように、ツールに頼らないでください。成功を祈念しております。
長谷部光雄
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