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QUESTION 質問No.74

3Dプリンター機種選定

設計・開発情報技術ツール |投稿日時:
従業員7名で少量多品種の樹脂加工を請け負っています。

市場からの要望の中には切削で不可能なものもたまに問い合わせがあり、3Dプリンターの導入を検討しています。
近年タイプが充実してきたのは良いのですが、10万円以下のものから数百万円するものまで、選択肢が多すぎて迷ってしまいます。

幸い事業は好調ですので、補助金なども利用すれば500万円くらい捻出できないことはありませんが、Webを通じた単品受注が多いため、どれだけの受注があるかは公開してみないと何とも言えません。
まずは中価格機で様子を見て拡充していくべきか、最初から高級機で広範囲の受注を目指すべきでしょうか?

また従業員は3D-CADにも対応しており、NCマシンの操作にも習熟していますが、3Dプリンターへの習熟はどの程度の期間を見れば良いでしょう?もちろん受注が好調であれば、新規採用の必要があります。

漠然としておりますが、ご意見、注意点などいただければありがたいです。

  [これは事務局が設定した架空の(しかしありそうな)質問です]

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ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

3Dプリンタを選ぶ基準は値段ではなく、「何をしたいのか」だと思います。
それによってその選び方は変わってくると考えます。

精度が必要なのか、どれくらいの造形サイズが必要なのか、細かな設定ができる方がいいのか、はたまたとりあえず手軽に使える方がいいのか…等など…
いわゆる仕様を決めることが重要であると考えます。仕様が決まれば、大体の姿は見えてくると思います。

何を目指すかについては、アドバイスではなく、御社ご自身で決められてはいかがでしょうか。
お客様のどんな要求にも対応するには、当然大きなものを加工できる多機能マシンが必要でしょうし、そうでなければ、その対応したい範囲に適合したものが必要でしょう。

いずれにしても要望によって機種選定は変わると思います。




ANSWER
回答No2 | 投稿日時:

ご質問内容を拝読し、経営判断の参考になる以下の情報に関するものと判断いたしました。

(質問内容のポイント)
・3Dプリンター選択の目安(選択規準)
・3Dプリンター導入後の営業方針(経営戦略)の方向性
・3Dプリンターを使いこなすための人材教育

また、ご質問には含まれておりませんが、質問されております営業方針や人材教育を中長期的な観点で考えられるように、これからの技術動向について簡単に触れたいと思います。


1) 3Dプリンター選択の目安
 請負対象とされている樹脂加工部品は、納入先においてどのように使われる部品でしょうか?
請負う部品に求められる仕様に応じて、3Dプリンターの導入は以下のように分かれます。

(導入を見送る)
もし、機能部品の代替品として使われることが主な場合、3Dプリンターの導入は考え直した方が良いでしょう。理由は、造形された部品の耐久性が乏しいためです。樹脂加工品を3Dプリンターで置換える場合、素材の経年劣化が早いことから、御社において耐久試験などによる機能保障が必要になります。

(導入を検討する)
請負う部品の使用目的が形状確認の場合、3Dプリンター導入を検討した方が良いと思います。
また、請負う部品の寿命が3~6カ月位の製品(商品サンプルや販売促進用の商品イメージ)などの場合についても、加工より3Dプリンターで造形した方が、効果が高くなるものと思われます。

次に選択の目安についてですが、個人向けと事業者向けに分かれます。

(個人向け) 販売価格 5万円~100万円
個人のエントリーモデルとしては5~20万円位の範囲になります。
こちらの特徴は、高さ方向の送りピッチが調整出来ません。

個人の上級向けとしては、30~100万円の範囲になります。
こちらは、高さ方向のピッチを調整出来ます。
また、造形範囲に応じて販売価格も変わります。

また、溶融した樹脂を吐出する部分と定盤のギャップ調整がこまめに必要なものと自動調整機能があるものに分かれます。この点も判断規準となります。
さらに、企業内で使う場合には、個人向けの上位モデルでもよいと思います。

(事業者向け) 販売価格 100万~3000万円
個人向けはPLAと呼ばれる線材を溶融し積層するものがほとんどですが、事業向けの場合は積層方法と造形範囲で価格が変わります。
また、個人向けの3Dプリンターで造形したものと比べると仕上がりも良いものになります。
造形品の販売を考えるのなら、事業向けの3Dプリンターの中から選んだ方が良いです。


2). 3Dプリンター導入後の営業方針(経営戦略)の方向性
導入を決めた場合、造形品の耐久性を保証する必要があります。
また、3Dプリンターが注目されている点は仮想世界にあるイメージを現実世界に造形する点のみです。
そのため、設計目的で作成した3次元モデルの形状検証や、短期間の使用を前提とした部品の造形目的とする3Dプリンターの使用事例が多いです。
そのようなことから、短期間で消費されるような部品をターゲットに、製品の大きさを見ながら設備の導入と営業展開を計画された方が良いと思います。


3) 3Dプリンターを使いこなすための人材教育
3Dデータを造形するだけなので、特に難しいことはありません。
ただし、造形する方向を考えながら、3Dデータの座標系(X,Y,Z軸方向)を検討する必要性はあります。
NCマシンにも習熟されているようですので、障害になる部分は少ないものと思います。

補足になりますが、造形した部品の精度検証・確認は必要になります。
【加工が困難】とありましたが、架空点からの寸法支持が多い場合、3Dプリンターで形状を造形することは可能ですが、寸法確認は困難な場合もあります。

3Dプリンターを導入した場合、製品の寸法確認する位置やポイントなどを事前に見通すことが出来るような訓練は必要だと思います。
今年の3Dプリンターのトレンドが金属を対象としたものですので、金属部品を3Dプリンターで造形する場合、今後、寸法形状の確認については厳しくなるものと思われます。
したがって、3Dプリンターを導入する場合、3Dプリンターの使いこなしではなく、造形品の品質保証について考えられる人材育成がポイントになります。


4) 今後の技術動向について
 2014年末から2015年にかけて航空機部品の一部が3Dプリンターで造形されるようになりました。
現在、ロールスロイスやGEがジェットエンジンの部品を3Dプリンターに置換し適用実験を行なっております。航空機業界の動向は、5~8年後に自動車業界に展開されます。
具体的には、ボーイング777が三次元CADで開発された5~6年後、自動車業界においても三次元CADによる開発が始まりました。その歴史に倣えば、2020~2025年あたりには、保守部品の一部が3Dプリンターによる造形品に置換される可能性が高いです。
 3Dプリンター導入を検討する場合、このような技術動向も調査し中長期的な経営方針や人材教育に活用されると良いかと思います。


まとめ
3Dプリンターはフライスや旋盤などの機械加工設備と同列の設備です。
3Dプリンターは経営課題を解決するための道具です。
経営課題が明確でない場合、3Dプリンターを導入しても経営課題は解決出来ません。
本当の課題は何か、SWAT分析などを通じ経営課題を明確にしたうえで、技術課題の絞り込みを行い、3Dプリンターが必要なのかどうかを判断されることをお勧めいたします。




ANSWER
回答No3 | 投稿日時:

樹脂の切削を3Dプリンターで代替しようと考えておられると認識しました。

3Dプリンターの方式には代表的なものとして、
1)フィラメント溶融(FDM)
2)紫外線硬化インクジェット
3)粉末焼結
があります。
その他にフィギュア等の用途であれば、石膏の粉を固める方式もあります。

造形品を何に・どのように使うかによって選定すべき方式・機種が決まります。
インクジェット方式は非常に微細なドットを積み重ねるため表面が滑らかに仕上がりますが、
部品として使用するには耐えません。材料も通常はアクリルです。
熱可塑性樹脂を用いる方式としては上記の1と3です。
1の方式はフィラメント(樹脂のひも)の太さの制約からあまり微細な造形はできず、
斜め形状は段々になります。
オーバーハングする形状にはサポート材が必要になります。
3の方式は敷き詰めた樹脂の粉にレーザーを照射して造形するの未照射の粉がサポート材の役割を
はたしますが、中空構造になると粉が抜けないという問題があります。
また、表面はザラザラします。(仕上げが必要になります)

1,3の方式ともに、樹脂を積層する際に微細な巣が入るので、切削品に比べると
強度は必ず落ちます。
特に1の方式は樹脂のフィラメントを積上げる方向によって強度が大きく違ってきます。

まずは、現行の切削品と同等の強度が求められるかどうかをご確認ください。

業務用で使うのであれば、装置は1000万円以上は必要になります。




ANSWER
回答No4 | 投稿日時:

他の先生方と重複するところもありますが、切削で出来上がる樹脂部品と、3Dプリンターで出来上がる部品は、精度・材質種・密度(FDMの場合)の点から、業務用上位機種でないと、まったく代替にはなりません。
そのまま完成品として納品されたいのであれば、1000万は軽く超える
http://www.stratasys.co.jp/3d-printers/production-series
このような機種になるでしょう。

一方、高精度は求めず、本作前の顧客との事前確認であれば(CAD設計が御社だった場合特に)、民生機でも充分対応出来ると思います。
https://silburg.com/up-box
http://www.pp3dp.jp/3d001.html
などがお勧めの機種になります。※弊社では累計5機種を使ってきました。

まずは、展示会等で実物をご確認されることをお勧めします。一度に多機種を比較できます。

また、昨今は「DDM(ダイレクト・デジタル・マニュファクチャリング)」という言葉も広がっており、言葉通り、少量多品種をダイレクトに3Dプリンターで製造する流れもあります。価格と折り合いがつくかどうかの問題もありますが、時流として質問者様の要求通りの流れが来ているのも事実です。
(ご参照)
https://www.youtube.com/watch?v=pwR_rYNwjcA
http://www.3d-printer.jp/stratasys/ddm/