水素は巨大なエネルギーエコシステムを担えるか
米国(シリコンバレー)に30年以上居住し、これらの流れをつぶさに見てきた講師が「米国が目指す水素革命」という最新のトピックスをお送りします。
開催日:2021年 9月 8日(水)
セミナー趣旨
米国では、バイデン政権の目玉政策であるクリーンエネルギーへの大幅転換に伴い、2035年までの発電セクターにおける脱炭素化と、2050年のパリ協定遵守に向かってあらゆるセクターでの脱炭素化(化石燃料使用の停止)への方向転換が始まっている。米国で年間25,000トン以上の温室効果ガスを排出している施設は7,500箇所あるが、これらの脱炭素化までに残された期間はわずか29年である。
脱炭素というと、発電セクターが注目されることが多く、米国でも温室効果ガス排出の27%を占めている。今後、太陽光や風力で発電セクターの再エネ化が進むと、膨大な量のエネルギー貯蔵と、需給調整メカニズムが必要になってくるが、リチウムイオンバッテリーで全部を賄うのは非現実的である。また、発電セクター以上に脱炭素化が難しいのは、運輸セクター(28%)と鉱工業セクター(22%)である。
運輸セクターでは、乗用車の電動化(BEV)が急速に進んでいるが、大型トラック・海運・航空分野では、水素燃料が主流になるのではと言われている。水素を動力源とする長距離トラックの実証事業や、港湾施設での水素の活用も進められている。また、米国では、2万台以上のフォークリフトが稼働中であるが、バッテリー駆動やプロパンガス駆動フォークリフトは問題が多く、水素燃料化が進みつつある。
現在、エネルギー省(DOE)が中心となって、FC(Fuel Cell)スタックやシステム、水素燃料製造、水素インフラ構築など、基礎研究や要素技術開発を中心にR&Dを推進している。これが、実証実験止まりになるか、米国の巨大なエネルギーエコシステムや工業生産を担えるかは、コストを含めた総合的な社会インフラ構築ができるかどうかにかかっている。
米国でのオンサイトグリーン(電解)水素製造価格は現在$10-15/kgと言われており、これが$5/kgを切るタイミングはまだだいぶ先である。オフサイトの大規模水素製造の場合は、圧縮、輸送コストが負担になる。どちらの場合でも、更なる技術革新と、規模の拡大が必要である。
水素の活用に関しては、欧州や日本が先行しているように見えるし、確かに米国はその豊富な自然エネルギー資源もあり、今まで表舞台に出ることは少なかったが、今年(2021年)が節目の年であるように感じる。「日本は進んでいる」と慢心することなく謙虚に米国に学ぶ姿勢が必要であると感じる。
米国(シリコンバレー)に30年以上居住し、これらの流れをつぶさに見てきた講師が「米国が目指す水素革命」という最新のトピックスをお送りする。
セミナープログラム
- 米国でのバイデン政権のクリーンエネルギー目標
- 2035年と2050年のゴールは?
- 必要なクリーンエネルギーは?
- 水素はどのような立ち位置か?
- 米国で水素を推進する組織
- 連邦レベル
- 州レベル(特にカリフォルニア州)
- 企業主体の団体
- 「水素製造」技術の動向
- 水電解装置
- その他の水素製造
- 水素価格(現状と目標)
- 「水素輸送・貯蔵」技術の動向
- 米国における水素輸送サプライチェーン
- 米国における水素パイプライン
- 水素ステーションの動向
- 「水素利用」技術の動向
- 「発電」(大型と分散型)
- 「エネルギー貯蔵」
- 「運輸」(大型車両・フォークリフト・航空)
- 「化石燃料を代替する原料の製造」
- 「産業工業部門」での水素の利用(セメント・鉄鋼産業他)
- 水素エネルギーを推進する企業
- Broom Energy
- PlugPower
- Shell
- Refhyne
- Air Liquide
- Air Products
- Power Innovation
- その他、5〜8社を紹介予定
- 日本はこの流れの中で何をすべきか
セミナー講師
クリーンエネルギー研究所 代表 阪口 幸雄 (さかぐち ゆきお) 氏
セミナー受講料
1名につき 38,500円(税込)
受講について
収録時間 2時間18分 テキストデータ(PDFデータ)つき
■セミナーオンデマンドについて
<1>収録動画をVimeoにて配信致します。
<2>動画の配信期間は公開日より2週間ですので、その間にご視聴ください。
2週間、何度でもご都合の良い時間にご視聴可能です。
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