酸化物系固体電解質を用いた全固体電池技術の最新動向と高出力化・高容量化への課題
★全固体電池の開発において、硫化物系固体電解質を使用した系では現行リチウムイオン電池に匹敵する性能が達成されているのに対し、酸化物系材料を用いた全固体電池の性能は実用水準に遠く及ばない段階にとどまっており、それを踏まえ、この違いをもたらす固体電解質材料間の差異と、その克服に向けた取り組みについて解説!
★全固体電池のキーとなる界面に重点を置き、酸化物系固体電解質を用いた全固体電池について、材料の特性から開発の現状、課題について説明!
★酸化物系固体電解質が全固体二次電池の固体電解質として機能することを電極材料と電解質を焼結させた半電池評価や積層全固体二次電池などについて説明しながら示し、全固体二次電池に必要となる低温焼結用のリチウムイオン伝導性ガラス、耐還元性固体電解質および低温焼結する高イオン伝導性固体電解質について材料メーカとして開発のポイントなどを踏まえて解説!
セミナープログラム
第1部 酸化物固体電解質系全固体電池への展望
【10:15-11:30】
国立研究開発法人物質・材料研究機構 エネルギー・環境材料研究拠点 拠点長 エネルギー・環境材料研究拠点 固体電池材料グループ グループリーダー 高田 和典 氏
【講演主旨】
固体電解質中における拡散種は特定のイオンに限られており,この特徴が全固体電池に様々な利点をもたらし,今日では次世代の蓄電池としてその実現に高い期待が寄せられている。このような全固体電池の開発において、硫化物系固体電解質を使用した系ではすでに現行リチウムイオン電池に匹敵する性能が達成されているのに対し、酸化物系材料を用いた全固体電池の性能は実用水準に遠く及ばない段階にとどまっている。当日は、この違いをもたらす固体電解質材料間の差異と、その克服に向けた取り組みについて講演する。
【キーワード】
固体電解質,蓄電池
【講演ポイント】
全固体電池の開発が本格化する以前より全固体電池の研究に取り組んでおり,今日の全固体電池を実現するために行われた研究開発に精通する。
【習得できる知識】
全固体電池と従来の液体電解質系電池の相違点
全固体電池の開発現状と課題
【プログラム】
- リチウムイオン電池の課題
- 全固体電池の特徴
- 全固体電池の開発現状
- 酸化物型全固体電池への期待と課題
- 薄膜電池の開発と薄膜電池が示す全固体電池の特徴
- バルク型電池実現への取り組み
【質疑応答】
第2部 酸化物系固体電解質を用いたバルク型全固体電池の基礎と課題
【12:30-13:45】
長崎大学 大学院工学研究科 准教授 山田 博俊 氏
【講演主旨】
ポストリチウムイオン電池の一つとして注目されている全固体電池として、酸化物系固体電解質を用いた全固体電池について、
材料の特性から開発の現状、課題について説明します。特に全固体電池のキーとなる界面に重点を置き、課題の理解を目指します。
【キーワード】
全固体電池、酸化物系固体電解質、界面接合、ガーネット型固体電解質、NASICON型固体電解質
【講演ポイント】
高エネルギー密度の全固体電池の開発に向けた,酸化物系固体電解質を用いた全固体電池の研究について照会します。材料,プロセス,構造を連成させながら最適化することで,実用化に向けて取り組んでいます。
【習得できる知識】
・酸化物系固体電解質の基礎と応用
・バルク型全固体電池の課題と取組例
・国内外の動向
【プログラム】
- 酸化物系固体電解質の種類と特徴
- 電池用途として求められる電解質の特性
- 酸化物系固体電解質の特性
a. ペロブスカイト型固体電解質
b. NASICON型固体電解質
c. ガーネット型固体電解質
- 酸化物系固体電解質を用いたバルク型全固体電池の課題と取組み例
- 合剤電極内部の分極要因
- 活物質・電解質の界面形成
- 国内外の研究動向と特徴
- ガーネット型固体電解質を用いたバルク型全固体電池
a. リチウム負極(濡れ性、耐短絡性)
b. 正極合剤電極 - NASICON型固体電解質を用いた全固体電池
- ガーネット型固体電解質を用いたバルク型全固体電池
- まとめ
【質疑応答】
第3部 全固体二次電池向け酸化物系固体電解質開発
【14:00-15:00】
株式会社 オハラ 材料生産センター 研究開発部 素材研究課 小笠 和仁 氏
【講演主旨】
安全で高容量な二次電池として、酸化物系固体電解質を用いた全固体二次電池は開発が進められている。本講座では、酸化物系固体電解質が全固体二次電池の固体電解質として機能することを電極材料と電解質を焼結させた半電池評価や積層全固体二次電池などについて説明しながら示していきます。つぎに全固体二次電池に必要となる低温焼結用のリチウムイオン伝導性ガラス、耐還元性固体電解質および低温焼結する高イオン伝導性固体電解質について材料メーカとして開発のポイントなどを踏まえて解説します。
【キーワード】
酸化物系固体電解質、焼結助剤、全固体二次電池、ガラス、リチウムイオン伝導
【講演ポイント】
酸化物系全固体二次電池について電解質材料から積層構造までを材料メーカの視点から解説します。
【習得できる知識】
・酸化物系全固体二次電池について基礎的な背景
・酸化物系全固体二次電池向け固体電解質に必要とされる条件について
・酸化物系固体電解質の基礎試験方法
【プログラム】
- 全固体電池の背景とリチウムイオン伝導性ガラスセラミックス LICGCについて
- 酸化物系固体電解質を用いた全固体二次電池の基礎試験
- 酸化物系固体電解質を用いた積層全固体二次電池
- 低温焼結用リチウムイオン伝導性ガラス
- 耐還元性固体電解質
- 低温焼結高イオン伝導性固体電解質
【質疑応答】
セミナー講師
第1部 国立研究開発法人物質・材料研究機構 エネルギー・環境材料研究拠点 拠点長 エネルギー・環境材料研究拠点 固体電池材料グループ グループリーダー 高田 和典 氏
【経歴】
1986年3月 大阪大学大学院 理学研究科 物理学専攻 博士前期課程修了
1986年4月 松下電器産業中央研究所
1991年12月 大阪市立大学より博士(工学)
2002年4月 物質・材料研究機構 主幹研究員
2018年4月 現職
【受賞】
2019年 市村地球環境学術賞 貢献賞
【著作】
2021 高田 和典. Solid-State Batteries with Oxide-Based Electrolytes. Springer, 2021, 6.
2019 高田 和典, 菅野 了次, 鈴木 耕太. 全固体電池 入門. 日刊工業新聞社, 2019, 168.
2017 高田 和典. 全固体リチウムイオン電池. リチウムイオン電池の開発と市場 2018. , 2017, 129-137.
他多数
第2部 長崎大学 大学院工学研究科 准教授 山田 博俊 氏
【経歴】
2011年4月 – 現在
長崎大学大学院工学研究科 准教授
2007年4月 – 2011年3月
長崎大学大学院生産科学研究科 准教授
2002年10月 – 2007年3月
長崎大学工学部助教
2004年9月 – 2005年9月
マックスプランク固体研究所 客員研究員
2004年 – 2005年
Visiting Researcher,Max-Planck-Institute for Solid State Research
2001年4月 – 2002年9月
独立行政法人 産業技術総合研究所 特別研究員
【著作】
“Grain Boundary Engineering for High Short-Circuit Tolerance”, Solid Electrolytes for Advanced Applications
R. Hongahally Basappa, H. Yamada, (担当:共著)
Springer 2019年11月 (ISBN: 9783030315818)
“Influence of Strain on Garnet-Type Electrolytes”, Solid Electrolytes for Advanced Applications
Hirotoshi Yamada (担当:共著, 範囲:Chapter 4)
Springer 2019年11月 (ISBN: 9783030315818)
全固体電池の製造プロセスと作製ノウハウ,「全固体電池開発の現状と産業化へのアプローチ」
山田 博俊 (担当:共著, 範囲:第2章第1節第1項)
情報機構 2018年11月 (ISBN: 9784865021615)
酸化物系固体電解質における界面設計技術とその評価,「全固体電池開発の現状と産業化へのアプローチ」
山田 博俊 (担当:共著, 範囲:第2章第1節第2項)
情報機構 2018年11月 (ISBN: 9784865021615)
酸化物固体電解質の界面構造と界面抵抗低減,「全固体電池の開発動向と実用化への課題」,車載テクノロジー
山田 博俊 (担当:共著)
技術情報協会 2018年10月
他多数
第3部 株式会社 オハラ 材料生産センター 研究開発部 素材研究課 小笠 和仁 氏
【経歴】
2001年長岡技術科学大学博士前期課程修了、2003年株式会社KRI入社、固体酸化物形燃料電池の開発に従事。2008年長岡技術科学大学にて博士(工学)取得、2008年株式会社オハラに転職、酸化物系全固体二次電池向け固体電解質の開発業務に従事。現在に至る。
【受賞】
日本化学会第78春季年会(2000) ポスター賞
【著作】
・セラミックデータブック2022 10項
・金属・空気二次電池の開発と最新技術 第16章
セミナー受講料
【1名の場合】44,000円(税込、テキスト費用を含む)
2名以上は一人につき、11,000円が加算されます。