ペロブスカイト太陽電池の最新動向と耐久性向上技術・環境リサイクル対応・評価・各種応用事例
★炭素電極やを活用した耐久性および大型化などの動向!モジュールとしての性能は?環境やリサイクル性を考慮するには?
★ドーパントを用いないで高効率化と耐久性の向上が実現できる新規有機ホール輸送材料の最新研究動向!
★ペロブスカイト太陽電池の作製方法及び耐久性試験結果等、製品形態に近いモジュールデバイスにおける技術動向とは?
★実例として、6直列太陽電池制作の実例や性能とデモンストレーション、耐久性評価なども紹介!
セミナープログラム
※当初予定から第一部と第二部を入れ替えました。
第1講 炭素電極を用いたペロブスカイト太陽電池の作製と耐久性向上
【11:00-12:15】
講師: 兵庫県立大学 大学院工学研究科 材料・放射光工学専攻 教授 伊藤 省吾 氏
【講座主旨】
印刷プロセスで作製できるペロブスカイト太陽電池であるが,一般的な薄膜型ペロブスカイト太陽電池では太陽光エネルギー変換効率が20%を超えるものの,非常に湿度に弱いという欠点があった.それに対し,貴金属を使用しない炭素電極を使用した多層多孔質電極を使用したペロブスカイト太陽電池(multi-porous-layered electrode perovskite solar cells: MPLE-PSC)は非常に高い耐久性を示し,通常大気下(グローブボックスやドライルームを使用しない)で製造出来る事から,今後の実用性の高いエネルギーデバイスであると期待される.本発表では,ペロブスカイト太陽電池の歴史的発明経緯から,ペロブスカイト太陽電池の一般的な知識,およびMPLE-PSCの作製,耐久性および大型化について解説を行う.また,ペロブスカイト太陽電池のリサイクル性についても解説を行う.
【講演プログラム】
1.ペロブスカイト太陽電池の歴史
1.1 ペロブスカイト結晶について
1.2 ペロブスカイト太陽電池の発見
1.3 炭素電極を使用した多層多孔質電極を使用したペロブスカイト太陽電池
2.炭素電極を使用した多層多孔質電極を使用したペロブスカイト太陽電池の耐久性向上について
3.炭素電極を使用した多層多孔質電極を使用したペロブスカイト太陽電池の変換効率向上について
4.炭素電極を使用した多層多孔質電極を使用したペロブスカイト太陽電池の大型化(モジュール作製)について
5.ペロブスカイト太陽電池のリサイクルについて
【質疑応答】
第2講 ペロブスカイト太陽電池の高性能化と実用化・環境対応への課題
【13:00-14:15】
講師:桐蔭横浜大学 医用工学部 教授 博士(理学)池上 和志 氏
【講演キーワード】
ペロブスカイト太陽電池、フレキシブル太陽電池、再生可能エネルギー、BIPV、脱炭素社会
【講演のポイント】
ペロブスカイト太陽電池の特長を理解するうえでの、基本的は物理、化学の知識から解説する。ペロブスカイト太陽電池の製造方法、必要部材の要求特性、さらに実用化に向けた課題について解説する。
【習得できる知識】
ペロブスカイト太陽電池の技術的な特徴、実用化に向けた課題について把握できる。
【講演趣旨】
ペロブスカイト太陽電池は、フレキシブル・軽量基板にも印刷法で作製できることで、今、最も注目される太陽電池です。
本講座では、ペロブスカイト太陽電池を世界で最初に報告した桐蔭横浜大学宮坂研究室で、その研究の歴史を目の当たりにしてきた研究者が、ペロブスカイト太陽電池の基礎から、最新の研究動向として、JAXAとの共同研究による放射線耐久性・気球飛翔実験の概要などの研究成果を紹介します。また、本講座では、実用化に向けたペロブスカイト太陽電池の環境への影響、リサイクルに関するトピックスも紹介します。
【講演プログラム】
1. ペロブスカイト太陽電池とは
1-1.ペロブスカイト化合物とは
1-2. ハロゲン化鉛系ペロブスカイトの太陽電池への応用
1-3.有機系太陽電池の開発の歴史とペロブスカイト化合物
1-4.ペロブスカイト太陽電池の注目点は?
1-5.ペロブスカイト太陽電池の発電機構と特長
2. ペロブスカイト太陽電池の製造の実例
2-1. 必要部材と作製方法、太陽電池の構成
2-2. スピンコート法
2-3. バーコート法
2-4. インクジェット法
2-5. 耐久性向上と高効率化に向けた研究
3. 桐蔭横浜大学における6直列太陽電池制作の実例
3-1. 東急田園都市線青葉台駅における展示
3-2. 作製した太陽電池の構成、制作計画
3-3. 制作場所の環境配慮
3-3. 性能とデモンストレーション
3-4. 耐久性評価
4. ペロブスカイト太陽電池の実用化動向
3-1.ペロブスカイト太陽電池に取り組む企業・大学
3-2. 環境への取組
3-3. 非鉛系ペロブスカイト太陽電池
3-4. ペロブスカイト太陽電池のリサイクル
5. 将来展望とまとめ
【質疑応答】
第3講 ペロブスカイト太陽電池の新規有機ホール輸送材料の開発と耐久性向上
【14:30-15:45】
講師: 国立研究開発法人産業技術総合研究所 ゼロエミッション国際共同研究センター 有機系太陽電池研究チーム 小野澤 伸子 氏
【講演キーワード】
ペロブスカイト太陽電池、ホール輸送材料、ドーパントフリー、グリーンソルベント
【講演のポイント】
ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けて、その耐久性に関する研究開発は非常に重要である。現在広く用いられている有機ホール輸送材料は高い性能を与えることが知られているが、一般的にはドーパント類を添加して使用する場合が多く、ドーパントを用いないで高い性能を与えるホール輸送材料は少ない。ドーパントを用いないで高効率化と耐久性の向上が実現できる新規有機ホール輸送材料の研究について紹介する。
【習得できる知識】
ペロブスカイト太陽電池の劣化要因と高耐久化に向けた課題
有機ホール輸送材料の研究開発動向
グリーンソルベントを用いたホール輸送材料の成膜技術
【講演趣旨】
ペロブスカイト太陽電池は、シリコン系の太陽電池に必要な半導体の処理の設備やプロセスが不要であり、原料となる材料を塗布や印刷等により積層させて製造することが可能であるため、低コスト化が実現できる太陽電池として期待されている。ペロブスカイト太陽電池の構成要素の一つであるホール輸送層は、高い性能を得るための重要な役割を果たしている。一方、そのホール輸送材料がペロブスカイト太陽電池の耐久性に大きな影響を与えることが知られている。近年のホール輸送材料の開発動向、及びペロブスカイト太陽電池の高耐久化に向けた研究成果を紹介する。
【講演プログラム】
1.ペロブスカイト太陽電池について
1-1 ペロブスカイト太陽電池の動作原理
1-2 ペロブスカイト太陽電池の特徴
1-3 ペロブスカイト太陽電池の今後の課題
2.ペロブスカイト太陽電池の高効率化に向けての界面制御
2-1 界面制御によるペロブスカイト太陽電池の高効率化
3.ペロブスカイト太陽電池用高耐久性ホール輸送材料の開発
3-1 ドーパントフリー有機ホール輸送材料について
3-2 新規有機ホール輸送材料の合成
3-3 新規有機ホール輸送材料を用いたペロブスカイト太陽電池の作成
3-4 ドーパントフリー有機ホール輸送材料を用いたペロブスカイト太陽電池の耐久性について
4.非ハロゲン系溶媒に可溶なドーパントフリー有機ホール輸送材料の開発
4-1 非ハロゲン系溶媒(グリーンソルベント)に可溶なホール輸送材料について
4-2 非ハロゲン系溶媒に可溶な新規有機ホール輸送材料を用いたペロブスカイト太陽電池の作成
4-3 非ハロゲン系溶媒に可溶な新規有機ホール輸送材料を用いたペロブスカイト太陽電池の効率と耐久性について
5. まとめ
【質疑応答】
第4講 ペロブスカイト太陽電池の開発・性能評価と応用展開
【16:00-17:00】
講師: (株)リコー 先端技術研究所 IDPS研究センター PV-PT エキスパート 田中 裕二 氏
【講演キーワード】
太陽電池、ペロブスカイト、宇宙
【講演のポイント】
固体型色素増感太陽電池の研究開発提案から量産販売や営業活動含めて、有機系太陽電池が事業化するまでの全てのプロセスを経験してきた。ペロブスカイト太陽電池における事業化に至るまでの課題やハードル等を伝えられるように講演したい。
【講演趣旨】
リコーにおけるペロブスカイト太陽電池の作製方法及び耐久性試験結果等、製品形態に近いモジュールデバイスにおける技術紹介を致します。また、JAXA共同研究開発プロクラムで実施された宇宙耐久性試験結果や、宇宙産業に関する昨今の外部情報等の提供を想定しております。
【講演プログラム】
1. ペロブスカイト太陽電池の製膜技術
1.1 ペロブスカイト太陽電池の1ステップ法を用いた製膜技術
1.2 モジュール化技術検討
1.3 ペロブスカイト太陽電池の耐久性検証
2. ペロブスカイト太陽電池の宇宙応用
2.1 宇宙実証実験の概要
2.2 宇宙実証実験に向けた耐久性試験
2.2.1 セル作製
2.2.2 紫外線耐久性評価
2.2.3 放射線耐久性評価
2.2.4 熱サイクル耐久性評価
2.2.5 熱真空耐久性評価
【質疑応答】
セミナー講師
第1部 兵庫県立大学 大学院工学研究科 材料・放射光工学専攻 教授 伊藤 省吾 氏
第2部 桐蔭横浜大学 医用工学部 教授 博士(理学)池上 和志 氏
【経歴】
2002年筑波大学大学院化学研究科修了 博士(理学)
2005年ペクセル・テクノロジーズ株式会社博士研究員 プラスチック色素増感太陽電池の実用化、太陽電池の評価装置開発に従事。2006年より桐蔭横浜大学助手、講師、准教授を経て2020年より教授。2022年より桐蔭横浜大学大学院工学研究科・研究科長。2009年よりペクセル・テクノロジーズ株式会社取締役を兼務。
専門は、有機光化学、色素増感太陽電池、ペロブスカイト太陽電池
第3部 国立研究開発法人産業技術総合研究所 ゼロエミッション国際共同研究センター 有機系太陽電池研究チーム 小野澤 伸子 氏
【経歴】
1996年大阪大学大学院理学研究科修了 博士(理学)
1996年物質工学工業技術研究所(現産総研)入所。現在産業技術総合研究所・ゼロエミッション国際共同研究センター・主任研究員。
専門は、有機化学、錯体化学、色素増感太陽電池、ペロブスカイト太陽電池
第4部 (株)リコー 先端技術研究所 IDPS研究センター PV-PT エキスパート 田中 裕二 氏
【経歴】
2002年:株式会社リコーに入社。有機感光体材料の研究開発に従事。2004年:電子写真プロセス×ナノテクノロジーの先端技術開発に従事。2008年:獲得した技術を実用化開発に従事。2013年:固体型色素増感太陽電池の研究開発をスタート。2014年:技術リリース(室内光に適した高性能の完全固体型色素増感太陽電池の開発に成功)。2020年:製品リリース(世界初、固体型色素増感太陽電池モジュールの販売開始)。 2021年:次世代製品リリース(発電量、従来比20%向上「RICOH EH DSSCシリーズ」の新製品を提供開始)。同年より、ペロブスカイト太陽電池テーマの開発業務を兼任。
セミナー受講料
【1名の場合】55,000円(税込、テキスト費用を含む)
2名以上は一人につき、11,000円が加算されます。