接着の基礎と異種材料の接着・接合技術 ~接着剤の選定から表面処理技術、最新動向、強度・信頼性・耐久性向上と寿命予測法、トラブル対策まで~<東京会場セミナー>
○耐久性が大きく、信頼性の高い接着・接合を実現するために。豊富な実務経験を持つ講師が、事例を交えながら様々な視点で解説。
○特典として、故障確率の計算や耐久性評価・寿命予測の計算が可能なExcelシートをご提供します!
セミナー趣旨
信頼性が高く耐久性が大きく強い接着・接合継手を設計することを目的とする人に対し、接着力発現の原理、接着剤および表面処理法の理論的選定法、異種材料の接着、樹脂射出一体成形法、レーザ接合法、化学反応法など最新の接合法について、強度および耐久性向上のメカニズムとともに解説します。
また、各種継手に発生する応力分布、変形、および破壊条件の解析法(CZM法を含む)、それに基づく強い接着構造の設計法、負荷応力の時間的分布と接着強度のばらつきに基づいたストレス-強度モデルによる継手の希望破壊確率を与える安全率の計算法(直ちに計算可能なEXCEL関数計算シートを提供)、接着継手の劣化の主要原因である温度、湿度、機械的応力などのストレスと劣化速度との理論的関係(アイリングの式)およびそれに基づいた加速試験による寿命予測法について、実験結果とともに詳しく解説します(直ちに計算可能なEXCELの重回帰分析関数LINEST計算シートを提供)。
さらに、接着トラブルの原因別分類と対策(表)および具体的事例について概説し、最後に全講義範囲に関するご質問に対し講師の50年以上にわたる接着についての実務経験に基づき、ご回答いたします。
受講対象・レベル
・接着の原理、接着剤および表面処理など基礎的なことを学びたい方
・射出成形、レーザー接合、摩擦接合などの最新の異種材料接合法の原理別分類とその特長を知りたい方
・接着継手の応力分布および破壊条件、強度の大きい接着継手の設計法について知りたい方
・接着継手の安全率の取り方、故障確率計算法、耐久性評価法、および寿命予測法について知りたい方
・接着のトラブル事例およびその対策について知りたい方、具体的事例について相談したい方
など
必要な予備知識
・高校の化学および物理の知識。
習得できる知識
・接着強度発現の原理
・主な接着剤の種類とその特徴
・主な被着材に対する表面処理法
・接着剤を使用しない最新の異種材料接合法の原理別分類と特長
・主な接着継手の特長・応力分布・破壊条件・設計法
・接着継手の安全率の設定法と故障確率計算法(EXCEL関数計算シート提供)
・接着継手の耐久性評価法・寿命予測法(EXCEL関数計算シート提供)
・接着トラブルの原因別分類
・主なトラブル事例とその対策法
など
セミナープログラム
【前編】「異種材料接着・接合技術の基礎および応用」
1.接着力発現の原理
1-1 化学的接着説 (結合エネルギーと静的接着強度および耐久性との関係)
1)原子・分子間引力発生のメカニズム
2)ヤモリ(Gekko)の足の接着力に見るvan derWaals力
3)接着剤の役割
1-2 機械的接合説(アンカー効果)
1-3 からみ合いおよび分子拡散説
1-4 接着仕事から計算される理想接着強度と実際の接着強度の相違の理由
1-5 シーリング材の接着力発現の原理と役割
1-6 粘着剤の接着力発現の原理と役割(どのようなものが粘着剤になり得るのか)
2.各被着材に適した接着剤の選定法
2-1 Zismanの臨界表面張力による接着剤選定法
2-2 溶解度パラメータによる接着剤選定法
1)物質の溶解度パラメーター
2)2種類の液体が混合する条件(非結晶性材料に適用)
3)結晶性高分子が難接着性である理由とそれを解決するための表面処理法
2-3 被着材と接着剤との相互の物理化学的影響を考慮した接着剤選定法
1)被着材に含まれる可塑剤による接着剤の可塑化
2)接着剤に含まれる可塑剤による被着材の可塑化
3)粗度大な被着材表面への粘性接着剤の選択
3.接着剤の種類、特徴および最適接着剤の選定法
3-1 各接着剤の種類
1)耐熱航空機構造用接着剤
2)エポキシ系接着剤(液状)
3)ポリウレタン系接着剤(室温硬化型)
4)SGA(第2世代アクリル系接着剤)
5)耐熱性接着剤
6)吸油性接着剤
7)各種ゴム系接着剤
8)紫外線硬化形接着剤
9)シリコーン系接着剤
10)変成シリコーン系接着剤
11)シリル化ウレタン系接着剤
3-2 接着剤の耐薬品性および耐候性について
3-3 各種接着剤のせん断およびはく離接着強度特性
3-4 各種被着材に適した接着剤の選び方(選定のための接着剤性能表)
3-5 各種シーリング材の性能および用途
3-6 種々の接着剤の各種条件(米国連邦規格における接着強度)と変動係数
3-7 新構造材料技術研究組合 ISMA による接合技術開発状況
4.被着材に対する表面処理法の選定法
4-1 各種表面処理法およびその特徴
4-2 金属の表面処理法
1)洗浄および脱脂法
2)ブラスト法(空気式、湿式)
3)アルミニウム(エッチング法、陽極酸化法)
4)炭素鋼
5)ステンレス鋼
6)各種エッチング法
7)銅およびニッケル箔の表面処理状態とはく離エネルギーとの関係
4-3 プラスチックの表面処理法
1)洗浄および粗面化
2)コロナ放電処理法
3)プラズマ処理法
4)火炎処理法
5)紫外線/UV処理法
6)各種表面処理方法(JISK6848-3法、ふっ素樹脂に対するテトラエッチ液による表面処理法)
4-4 プライマー処理法
5.最新の異種材料接合法およびその実用化例
5-1 金属の湿式表面処理-接着法
1)ケミブラスト®
2)NAT
5-2 金属の湿式表面処理-樹脂射出一体成形法
1)NMT
2)新NMT
3)PAL-fit®
4)アマルファ®
5-3 被接合材表面のレーザー処理-樹脂射出一体成形法
1)レザリッジ®
2)D LAMP®
3)AKI-Lock
5-4 レーザー接合法
1)LAMP
2)レーザー接合法2
3)PMS処理-レーザー接合
4)インサート材使用のレーザー接合
5-5 摩擦接合法
1)摩擦重ね接合(FLJ)
2)摩擦撹拌接合(FSJ)
5-6 溶着法
1)電気抵抗溶着
2)高周波誘導加熱
3)超音波接合
4)熱板融着
5-7 分子接着剤利用法
1)分子接着剤
2)CB処理
3)TRI
5-8 ゴムと樹脂の架橋反応による化学結合法-ラジカロック®
5-9 接着剤を用いない高分子材料の直接化学結合法―カップリング反応および付加反応利用法
5-10 大気圧プラズマグラフト重合処理―接着技術
5-11 ガス吸着接合技術(シランガスおよび水蒸気利用法)
5-12 水蒸気VUV利用低温大気圧有機-無機材料ハイブリッド接合技術
5-13 トリアジンチオール処理金属インサート射出成形法
5-14 エポキシモノリスを用いる異種材料接合法
5-15 トリアジンチオール処理金属のインモールド射出一体成形法
6.エッチングまたはレーザー処理後の射出成形法または融着法における接着力発現の原理
6-1 エッチングまたはレーザー処理後の射出成形により接着・接合力が向上する原理
6-2 耐久性が向上するメカニズム
6-3 樹脂どうしの融着による接合の場合の接着強度発現の原理
【後編】「接着接合部の強度・信頼性・耐久性向上・寿命予測法およびトラブル対策」
7.接着継手形式および接着部に加わる外力の種類
7-1 接着接合の長所と短所
7-2 各種接着継手形式
7-3 接着部に加わる外力の種類
8.各継手の応力分布および強度評価
8-1 重ね合せ継手の応力分布(弾性解析解および弾性有限要素解析結果)
8-2 重ね合せ継手の弾塑性FEM応力解析結果に基づいた実験結果の検討例
8-3 Al重ね合せ継手の引張せん断試験結果およびFEM解析による検討例-1
8-4 CFRTP重ね合せ接着継手の引張せん断試験結果に対する結合力モデル(CZM)法による解析例
8-5 重ね合せ継手の接着層厚さと接着強度との関係(接着層が厚いほど強度が小さくなる理由)
8-6 バルク接着剤試験片厚さと引張強度との関係(試験片が厚いほど強度が小さくなる理由)
8-7 バルク接着剤および接着継手接着層における強度の測定法
8-8 スカーフ継手および突合せ(バット)継手の特徴、応力分布および破壊条件
8-9 接着接合部における特異応力場の強さおよび応力拡大係数を用いた接着強度の評価事例
8-10 接着層が硬化または温度低下により収縮した場合の応力解析および実測事例
8-11 スカーフおよびバット継手の接着層収縮応力解析例およびその強度への影響
8-12 バイメタル法および接着剤硬化収縮量測定装置による実測応力が予想より小さく、
温度低下による熱応力が硬化収縮応力より大きくなる理由
8-13 はく離応力の解析例/可撓性被着材のはく離による
応力分布/はく離角度による応力分布の変化に関する解析/接着層が厚い方がはく離強度が増加する理由
8-14 スポット溶接-接着併用継手の応力解析例(併用により強度が向上する理由)
8-15 FEMによる実際の接着接合構造物の強度計算法についてのまとめ
9.最適接合部の設計
9-1 強い接着接合部を設計するための一般的留意事項
9-2 接着接合部の設計
1) T継手の接合構造
2) ハット形補強材の接合構造
3) はく離力への対応策
10.着接合部の故障確率と安全率との関係
10-1 接着接合部の経年劣化による故障発生のメカニズム(ストレス-強度のモデル)
11.所定年数使用後の接着接合部に要求される故障確率確保に必要な安全率の計算法
11-1 正規分布について
11-2 ストレス(負荷応力)が一定の場合の故障確率確保のための安全率の決定法
(EXCEL関数計算シート提供)
11-3 ストレス(負荷応力)が変動する場合の接着継手の故障確率の確保のために必要な安全率の決定法
(EXCEL関数計算シート提供)
11-4 実構造物に発生するストレスの変動係数の測定法および必要な故障確率を確保するための方法
11-5 接着強度の変動係数実測値
11-6 航空機において安全率が小さく取られる理由
11-7 ストレス(負荷荷重)の変動係数の実例
11-8 加速劣化試験または疲労試験による寿命LまたはNにおける継手の接着強度の分布
(確率密度関数)の決定方法
12.接着接合部の劣化の要因ならびに加速試験と加速係数
12-1 接着接合部劣化の要因
12-2 加速試験と加速係数
12-3 加速試験条件の決定方法
13.アレニウス式(温度条件)による劣化、耐久性加速試験および寿命推定法(重回帰分析によるEXCEL計算シートを提供)
13-1 化学反応速度式と反応次数
13-2 濃度と反応速度および残存率との関係
13-3 材料の寿命の決定法
13-4 反応速度定数と温度との関係
13-5 アレニウス式を用いた寿命推定法
13-6 アレニウス式により倉庫保管中に劣化した粘着テープの納入時の接着強度を推定する方法
14.アイリングの式およびジューコフの式による応力、湿度などのストレス負荷条件下の耐久性加速試験および
寿命推定法ならびにウェッジテストによるボーイング社の航空機接着部の耐久性試験結果
(重回帰分析LINEST関数によるEXCEL計算シートを提供)
14-1 アイリングの式を用いた寿命推定法
14-2 アイリング式を用いた湿度に対する耐久性評価法
1)絶対水蒸気圧
2)相対湿度モデル1
3)相対湿度モデル2(Lycoudesモデル)
14-3 Sustained Load Testによる接着継手の温度、湿度、および
応力負荷条件下の耐久性評価結果およびLINEST関数を用いた寿命予測結果
14-4 加速劣化法により耐用年数分経過後の接着強度分布を得る方法
14-5 (公社)自動車技術会による回収市場経年実車接着部の残存接着強度実測値
14-6 市場経年自動車と同等の残存接着強度接着部を加速試験により作り出す方法
14-7 水蒸気存在下の材料の酸化反応促進メカニズムの第一原理分子動力学法解析結果
14-8 ジューコフ(Zhurkov)の式を用いた応力下の継手の寿命推定法
14-9 ジューコフの式による接着継手のSustained Load Test結果の解析
14-10 ウェッジテストによるボーイング社の航空機接着部の耐久性試験結果
15.接着継手の耐水性および耐油性に関する熱力学的検討および耐水性向上法
15-1 液体中における接着接合部の安定性の熱力学的検討
15-2 接着部の耐久性に水が及ぼす物理的および化学的影響の実例
15-3 接着接合部の耐水性向上法
16.繰返し応力(疲労)による加速耐久性評価法
16-1 接着継手の引張せん断疲労特性試験方法
16-2 アイリングの理論から誘導されるS-N曲線
16-3 マイナー則(線形損傷則)
16-4 スポット溶接-接着併用継手(ウェルドボンディング)のFEM解析結果および疲労試験結果
(クリープ変形防止策による強度向上法)
16-5 リベット-接着併用継手(リベットボンディング)の疲労試験結果(クリープ変形防止策による強度向上法)
17.接着接合部のクリープ破壊強度評価方法
17-1 大変形クリープの一般的特性
17-2 クリープ破壊強度、破壊時間、温度間の関係式(ラーソン-ミラーの式)
17-3 クリープ破断データからラーソン-ミラーの式を求める方法
17-4 プラスチックのクリープ試験におけるラーソン-ミラー線図
17-5 JIS K6859 接着剤のクリープ破壊試験方法
18.接着トラブルの原因別分類と対策および各トラブル事例とその対策
18-1 原因別分類とその対策(表の解説)
18-2 多数の具体的トラブル事例およびその原因と対策
<質疑応答>
※後日、講師にメール等でご質問いただけば、調査の上、回答書を作成してご送付いたします。
※途中、お昼休みと小休憩を挟みます。
■受講者特典
セミナー終了後、主として第5章 最新の異種材料接合法 に関する補足資料及び全般に関するQ&A集(文献付)等を、
前記の講師HPからパスワード入力によりダウンロードしていただけるようにいたします。
セミナー講師
鈴木接着技術研究所 所長 鈴木 靖昭 先生
技術士(機械部門)
■ご略歴
昭和40年3月 名古屋工業大学 工業化学科 卒業
昭和40年4月 日本車輌製造株式会社入社 技術研究所に配属~開発本部に所属
在職中、主として、高圧発電機・電動機絶縁用エポキシ樹脂の研究開発、
FRP・CFRPの応用、新幹線などの鉄道車両に関する有機材料の試験・研究・評価・故障解析、
接着接合部のFEM応力解析、破壊条件、強度、信頼性および耐久性に関する研究・評価、等に従事
昭和62年1月 工学博士(名古屋大学)
平成14年5月 技術士(機械部門 構造接着)
平成15年3月 日本車輌製造株式会社 定年退職(最終役職:開発本部部長)
平成15年4月~平成20年12月 日本車輌製造株式会社 開発本部勤務(非常勤)
平成21年1月~平成22年7月 日本車輌製造株式会社 鉄道車両本部 技術部勤務(非常勤)
平成15年4月~平成23年3月 名城大学 非常勤講師
平成15年4月~平成25年3月 中部大学 非常勤講師
平成26年4月~ 公益財団法人 名古屋産業振興公社 テクノアドバイザー
平成26年7月~ 公益財団法人 岐阜県産業経済振興センター アドバイザー
平成26年12月~ とよたイノベーションセンター アドバイザー
平成28年4月 一般社団法人 日本接着学会 構造接着・精密接着研究会 学術委員
平成31年6月~ 特定非営利法人 接着剤・接着評価技術研究会 理事 副代表幹事
<著書>
接着工学 異種材料接着・接合、強度・信頼性・耐久性向上と寿命予測法 (丸善出版)
(共著):38冊、学術論文(共同研究を含む):28報、
セミナー・講演:124件、学会発表(共同研究を含む):52件、受託技術相談:61件
詳細内容は鈴木接着技術研究所HPをご参照ください。
セミナー受講料
1名48,400円(税込(消費税10%)、資料付)
*1社2名以上同時申込の場合、1名につき37,400円
*学校法人割引;学生、教員のご参加は受講料50%割引。
受講について
- 感染拡大防止対策にご協力下さい。
- セミナー会場での現金支払いを休止しております。
- 新型コロナウイルスの感染防止の一環として当面の間、昼食の提供サービスは中止させて頂きます。
- 配布資料は、当日セミナー会場でのお渡しとなります。
- 希望者は講師との名刺交換が可能です。
- 録音・録画行為は固くお断り致します。
- 講義中の携帯電話の使用はご遠慮下さい。
- 講義中のパソコン使用は、講義の支障や他の方の迷惑となる場合がありますので、極力お控え下さい。
場合により、使用をお断りすることがございますので、予めご了承下さい。(*PC実習講座を除きます。)
講師のプロフィール
化学、高分子材料、材料力学、数学に関する幅広い理論的知識及びエポキシ樹脂、CFRP等有機材料、接着等の50年以上の実務経験に基づいて、接着を主とする講演、原稿執筆、技術相談に適切にご対応します。
鈴木 靖昭
すずき やすあき / 愛知県 / 鈴木接着技術研究所
大学において得た化学、高分子化学、物理化学、物理学、数学の知識、および会社において得た材料強度学、破壊条件、FEM応力解析、工業数学の知識、並びに会社等において50年以上にわたり経験した多種類にわたる樹脂製品、接着接合等の研究開...続きを読む