積層セラミックコンデンサ(MLCC)の材料およびプロセス技術入門
■本セミナーの主題および状況
→MLCC(多層セラミックコンデンサ)は、電気信号を一時的に貯蔵する目的で使用されるコンデンサの一種であり、その小型化、高い電気容量、高い耐圧、低インダクタンスなどの特性から、電子機器や電子回路において幅広い用途で使用されています。
→スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、家電製品など、さまざまな電子機器にはMLCCが多数使用されており、今後もMLCC市場の成長が期待されています。
■注目ポイント
★積層セラミックコンデンサなどセラミック電子部品に関する基礎知識関係するプロセッシング技術について解説!
★積層セラミックコンデンサの構成部材、材料設計、積層セラミックコンデンサに関わる今後の課題についても解説!
セミナー趣旨
積層セラミックコンデンサは、電子回路において欠かせない受動部品であり、近年その小型化・高性能化の進展が著しく、スマートフォンをはじめとした様々な機器に搭載される代表的な電子部品として注目されている。本セミナーでは、従来の誘電体セラミックス材料と製造工程、現在進められている新材料開発について触れた後に、原料の合成法、成形体の作製(テープ成形中心)・乾燥過程から積層型の素子とするための積層・焼成過程に至る製造プロセス(水系および有機溶媒系)に関わる重要な諸因子について様々な角度から得られたデータをもとに議論し、さらに還元雰囲気焼結のための技術についても解説する。ここでは、原料粉体の分散状態と焼結後のセラミックスの微構造、脱バインダ過程が製品の各種特性へ及ぼす影響、またプロセスウィンドウに与える機能元素のドープ効果、電極層(材料)による効果、積層型成形体の製造プロセスと構造欠陥・信頼性との関係などについて紹介する。また、従来の製造方法に代わる新規の製造プロセスに関する研究例の説明も行う。本セミナーの内容は、誘電体セラミックスに限らず幅広い(他の)セラミック材料系へも展開が期待でき、経験的な要素ばかりでなく積極的にサイエンスを導入することにより、今後の開発に大きな効果を見出す入門講座となるようにしたい。
【キーワード】
材料設計、製造に関わるプロセス因子、還元雰囲気焼成技術、信頼性向上
【講演のポイント】
積層セラミックコンデンサ開発の経緯、原料および成形体の作製・乾燥過程から積層型の素子とするための積層・還元雰囲気焼成過程に至る製造プロセスに関わる重要な諸因子について様々な角度から得られたデータをもとに解説し、課題と展望について紹介が可能。
習得できる知識
・積層セラミックコンデンサなどセラミック電子部品に関する基礎知識
・積層セラミックコンデンサに関係するプロセッシング技術
・積層セラミックコンデンサの構成部材、材料設計
・積層セラミックコンデンサに関わる今後の課題
セミナープログラム
- 電子部品業界と積層セラミックコンデンサ
- 電子部品に関わる動向と積層セラミックコンデンサ
- 誘電体材料に求められる各種特性
- 従来の積層セラミックコンデンサ用誘電体材料開発
- 現在研究が進められている誘電体セラミックス材料
- 積層セラミックコンデンサの製造に関係するプロセス因子
- 積層セラミックコンデンサの製造工程
- 誘電体セラミックス原料粉体の合成法
- 機能元素の微量添加がプロセスウィンドウに及ぼす効果
- 成形助剤の選定を含めた製造プロセス技術
(水系と有機溶媒系との比較を含めたテープ成形技術を中心とした積層成形体のプロセッシング) - 成形助剤、脱脂過程が信頼性に与える影響
- 誘電体セラミックス-金属電極同時焼成プロセスの設計
- 誘電体セラミックスの低温焼結技術
- 卑金属電極使用のための還元雰囲気焼成技術
(誘電体セラミックスへの耐還元性の付与技術を含む) - 積層型セラミックス素子用電極材料の開発例
- 積層型セラミックス素子の微構造と特性との関係
- 誘電体セラミックス成形時における原料粉体の分散状態の重要性
- 積層成形体の作製と構造欠陥および格子欠陥・信頼性との関係
- 素子中の結晶粒内・粒界・電極界面と信頼性との関係
- 今後に向けた積層セラミックコンデンサ関連研究の状況
- まとめ
【質疑応答】
セミナー講師
中部大学 工学部 応用化学科 教授 坂本 渉 氏
【経歴】
1991年3月 名古屋大学大学院工学研究科・応用化学専攻・博士課程前期課程修了
1991年4月 松下電器産業(株)部品デバイス研究センター・材料部品研究所(積層セラミックコンデンサの製造プロセス技術開発に従事)
1994年9月 松下電子部品(株)セラミック事業部(積層セラミックコンデンサの製造プロセス技術開発に従事)
1995年1月 名古屋大学工学部・助手
2000年5月 博士(工学) 学位取得
2002年2月 名古屋大学理工科学総合研究センター・助教授
2007年4月 名古屋大学エコトピア科学研究所・准教授
2018年4月 中部大学工学部応用化学科・教授 現在に至る
【専門内容】
無機材料化学、無機材料・物性、薄膜材料
セミナー受講料
【1名の場合】39,600円(税込、資料作成費用を含む)
2名以上は一人につき、11,000円が加算されます。