接着・接合部の強度評価,画像解析,その応用
★引張,はく離,せん断,割裂,衝撃,曲げ,クリープ破壊などの試験法の選び方,進め方
★画像診断を用いた,エレクトロニクス分野などにおける微細接合不良などへの応用
セミナープログラム
【10:00〜11:30】
第1部 接着接合の基礎および強度評価の種類とその勘どころ
●講師 (国研)産業技術総合研究所 ナノ材料研究部門 接着界面グループ 博士(工学) 北條 恵司 氏
【講座の趣旨】
接着接合の基本的事項の概要を説明し,続いて強度評価試験の詳細について解説する.実は接合部の強度は複雑な力学的因子の影響を受け発現している.これを理解したうえで試験をすれば,実験データからより深い情報が得られるようになる.
【セミナープログラム】
1.接着の基本
1.1 なぜ接着なのか.産業界への普及
1.2 接着の劣化因子と破壊の形態
1.3 接着の長所と短所
2.接着のメカニズムと被着体の表面処理
2.1 接着のメカニズム(機械的,物理的,化学的結合)
2.2 表面処理の種類と効果
3.強度試験の種類とその注意点
3.1 環境負荷の種類と強度評価の目的 (試験片+試験機)→測定内容
3.2 引張試験 (ラップジョイント,バルク)
3.3 破壊靭性試験(層間はく離;DCB)
3.4 疲労,クリープ試験
3.5 その他の試験(T-PEEL,IWP)
4.先進的試験の紹介
4.1 劣化加速試験;接着部解放のばく露試験(Open faced)
4.2 き裂進展速度測定→疲労
【質疑応答】
【11:40〜13:20】
第2部 接着接合部の画像解析,断面の三次元観察 〜樹脂−金属接合射出成形品のX線CT画像解析による接合状態評価を例にして〜
●講師 金沢工業大学 工学部 機械工学科 教授 工学博士 山部 昌 氏
【講座の趣旨】
樹脂—金属接合のニーズは高まっているが,その接合方法や評価方法は未確立である。 ここではインサート射出成形による接合方法を述べ,その接合状況をX線CTで撮影し, それより断面の3次元観察を行ったので解説する。
【セミナープログラム】
1.はじめに
1.1 マルチマテリアル化による車体軽量化
1.2 金属と樹脂の接合技術の分類
2.インサート射出成形の技術的課題
2.1 凹凸構造による課題
2.2 当研究室でのアプローチ
2.3 射出成形条件とせん断強度の関係
3.接合部の3D非破壊定量化手法の確立
3.1 手法構築のアプローチ
3.2 X線CT顕微鏡観察
3.3 接合部定量評価
3.4 分水嶺アルゴリズムによる領域分割
4.強化繊維が接合強度に及ぼす影響
4.1 CT撮影データを用いた繊維抽出方法
4.2 円柱フィッティングによる繊維抽出
5.凹凸深さが接合強度に及ぼす影響とそのメカニズムの解明
5.1 凹凸加工条件とせん断強度の関係
5.2 CTデータ画像解析による領域分割
5.3 強化繊維の凹凸ない繊維分布
6.まとめ
【質疑応答】
【14:10〜15:00】
第3部 接着接合部のモードI破壊じん性測定法,および温度・速度(衝撃〜クリープ)の影響について
●講師 東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 准教授 博士(工学) 関口 悠 氏
【講座の趣旨】
接着接合部の破壊を評価する指標として重要となる破壊じん性は,シミュレーションで結合力モデル(CZM)にも用いられる重要な評価パラメータである。本講演では,モードI破壊じん性の測定について,および試験条件がパラメータに及ぼす影響について解説する。
【セミナープログラム】
1.接着接合部の力学
1.1 接着接合部に生じる応力
1.2 強度と破壊じん性の違い
1.3 破壊力学の基礎
2.モードI破壊じん性の測定
2.1 代表的な測定方法
2.2 DCB試験法の理論
2.3 DCB試験片の作成
2.4 DCB試験の測定
2.5 試験結果のデータ処理
2.6 データ処理時の注意事項
3.試験環境が破壊じん性へ及ぼす影響
3.1 試験環境による破壊現象の変化
3.2 高分子材料の温度と速度の関係
3.3 破壊における温度と速度の影響
【質疑応答】
【15:10〜16:00】
第4部 熱弾性応力測定法と(接合部を含めた)その応用について
●講師 (株)ケン・オートメーション 代表取締役社長 矢尾板 達也 氏
【講座の趣旨】
1月に発生した東北新幹線の架線締結部の疲労破壊にみられるように疲労耐久試験における熱弾性応力測定は重要なテーマとなっている。ここでは赤外線サーモグラフィを使用した熱弾性応力測定法とその応用に関して解説する。
【セミナープログラム】
1.赤外線工学
1.1 赤外線サーモグラフィの進展
1.2 電熱工学
1.3 熱放射・放射率
2.赤外線サーモグラフィ
2.1 赤外線サーモグラフィの構成
2.2 赤外線サーモグラフィの温度測定
3.熱弾性応力測定法
3.1 熱弾性効果
3.2 熱弾性応力測定法の原理
3.3 熱弾性応力測定法の測定
3.4 自動車・航空機部品の(接合部を含めて)測定事例
4.散逸エネルギー測定
4.1 散逸エネルギー測定の原理
4.2 散逸エネルギーによる疲労限界点の予測測定
【質疑応答】
【16:10〜17:00】
第5部 接合強度の要因解析 −機器分析による表面界面の評価−
●講師 (株)東レリサーチセンター 小原田 一真 氏
【講座概要】
樹脂や金属などの接合物について,表面や界面の分析・評価を行う際のポイントを解説し, 親和性や組成,化学構造,形態など多角的な分析により強度発現の考察を行った事例を紹介する。
【セミナープログラム】
1.接着・剥がれ課題解決のための分析アプローチ
1.1 接着とは
1.2 接合不良・剥がれに対するアプローチ
2.被着体の表面状態と接合界面の組成
2.1 分子間力と濡れ
2.2 被着体の表面汚染
2.3 表面処理と劣化試験
3.溶着界面の解析と接合強度との関係
3.1 溶着界面の形態観察
3.2 溶着界面の構造解析
4.接合界面の化学構造情報
4.1 被着体と接着剤の官能基の相性
4.2 湿熱試験における高分子材料の劣化
5.異種金属接合材料における破断要因解析
5.1 破断面の組成評価
5.2 力学特性と組織観察
【質疑応答】
セミナー講師
【第1部】 (国研)産業技術総合研究所 ナノ材料研究部門 接着界面グループ 博士(工学) 北條 恵司 氏
【第2部】金沢工業大学 工学部 機械工学科 教授 工学博士 山部 昌 氏
【第3部】東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 准教授 博士(工学) 関口 悠 氏
【第4部】(株)ケン・オートメーション 代表取締役社長 矢尾板 達也 氏
【第5部】(株)東レリサーチセンター 小原田 一真 氏
セミナー受講料
1名につき66 ,000円(消費税込み,資料付)
〔1社2名以上同時申込の場合のみ1名につ60,500円〕
講師のプロフィール
機械設計製図教育と破壊力学を専門として、「海外機械図面(GPS幾何公差)を正確に読み書きしたい」「構造物の信頼性、耐久性を向上したい」「接着接合の信頼性評価を研究したい」などの分野でお役に立てます!
北條 恵司
ほうじょう けいじ / 栃木県 / 産業技術総合研究所
機械設計製図教育と破壊力学(金属、セラミックス、接着接合)を専門に研究を続けています。
▼こんな時お役に立てると思います!▼
●製造業で海外との取引をするときに機械図面(特にGPS幾何公差)を正確に読み書き...続きを読む