〜自動車メーカーとイノベーション企業の戦略の違いを浮き彫りにする〜
セミナー趣旨
世界の自動車メーカーはレベル3自動運転技術の活用によって、車両の所有者の付加価値を高める取り組みを始めている。それに対してWaymoなどの自動運転システム(ADS)事業者は、レベル3を飛び越えレベル4自動運転技術を活用したロボットタクシーなどの新たな移動手段をユーザーに提供することで、人々のライフスタイルにイノベーションを起こすためのチャレンジを続けている。Waymoなどソフトウェア開発を主業とする自動運転システム事業者は、ここ10年以内に設立された企業である。EV開発・販売を主に行うテスラにしても創業は2003年である。長い歴史を保有し、自動車の安全性など多岐に亘る指標によって車両開発を行ってきた自動車製造メーカーとは当然、考え方が異なる。自動車の大衆化、産業領域の拡張からモーターライゼーションは約100年間飛躍的な成長を見せた。今自動車産業は、大きな転換点を迎えていると言われる。CASEの一角を成す自動運転テクノロジーは、モーターライゼーションの転換・成長を促すためのテクノロジーとして成長して行くのか?それに対してWaymoなどのイノベーション企業は、創業時の事業目標に「ドライバーレスによる人間のドライバーを超える安全な自動運転車の運行」を挙げており、最終エンドユーザーを車両の購入者とは位置付けていない。両者は共に、自動運転技術開発に取り組んでいるが、それぞれの事業目標、取り組み方針、開発方法、走行テストなど自動運転の実用化に向けての計画は、自動車メーカーとは異なっている。自動運転開発に取り組む代表的な企業を、自動車製造メーカーから、そして自動運転システム(ADS)から選択して、各社の最新ニュースリリース、開発戦略、走行テストの公表データから各社の特徴を洗い出し、両者の違いを浮き彫りにしていく。それにより、自動運転テクノロジーがもたらす価値・未来を見通すことが可能になると考えるからである。
セミナープログラム
1.米国運輸省NHTSA「自動運転システム(ADS)の安全性に関するフレームワーク」から自動運転の分類を理解する
(1)“人間ドライバーが主体的に操縦するADAS(先進運転支援システム)”のAV(SAE定義でレベル2以下)
(2)“システムが主体的に操縦するADS(自動運転システム)”のAV(SAE定義でレベル3以上)
(3)Mobieye 自動運転開発ロードマップにおける上記の二つの分類の位置付け
2.メルセデス・ベンツが進めるレベル3自動運転システムの展開
(1)メルセデス・ベンツが、DrivePilotで目指すもの
(2)DrivePilot 2021年市場投入後、DrivePilotの機能のアップデート、そしてグローバル展開
3.フォルクスワーゲンの二元開発戦略
(1)オーナーカーの付加価値向上、安全性の向上の目的から、レベル2+ADAS、レベル3ADSの搭載
・Mobileyeとの提携。「Mobileye SuperVision」「Mobileye Chauffeur」モデル別の採用計画
(2)将来事業戦略として、SDV開発によるモノカルチャー企業からの脱皮を模索
・電気バン製造メーカーRivian提携に、巨額投資の真の目的とは?
・Ford合弁事業 ADS開発事業会社Arogo.aiの清算と保有資産の活用
・社内ソフトウェア開発部門Cariadの開発領域。vw.OS、ソフトウェアアーキテクチャーの進化
4.GMは何故、自動運転車(AV)開発を止めないのか?
(1)オーナーカー向けレベル3自動運転“Super Cruise”の展開。DMSによるドライバー状態監視を重視
(2)サンフランシスコでクルーズが起こした事故の真相とは?
カリフォルニアDMV公表のデータ“自動運転ディスエンゲージメントレポート”から見るADSの実力
(3)ホンダとの提携車両「クルーズ・オリジン」車両開発中止の真相
(4)GMが多額投資をしながらも、自動運転開発を続ける中長期戦略とは?
5.テスラは本当に自動運転車(AV)を開発するのか?話題と疑問のギャップを理解する
(1)「テスラの完全自動運転車市場投入は真近い!」は本当か?ロボットタクシー・デーのレビュー
(2)レベル2フルセルフドライビング(FSD)最新バージョンの改善ポイント
(3)EV拡販成功とは裏腹に、FSDが公道で起こしている数々の問題と、法規制当局のレッドカード
(4)それでもテスラがイノベーション企業として成長を期待される訳
6.ロボットタクシー開発道を爆走するWaymo。彼らが描く未来戦略とは?
(1)最新ニュース:サービスエリア拡張と、進化する車両開発
(2)他社を圧倒する累積走行距離(VMT)と公道における発生事故データ
(3)究極の目標「自動運転車(AV)は人間が運転する車より安全である。」をデータにより証明
(4)WaymoとSwiss-Reによる共同調査レポート。ロボットタクシーと人間ドライバー車両の安全性の比較
(5)自動運転実用化に向けた安全性の指標。NHTSA公表データを元にVSI-Labsが独自集計・分析
(6)定石を翻すイノベーション企業WaymoとCavnueが目指すものとは?
7.中国の自動運転開発企業の実態とは?
(1)中国の自動運転システム(ADS)開発企業の最新ニュースと、行政当局の動向
(2)中国の自動運転の開発進捗を領域別の累積走行距離(VMT)を集計し、米国と欧州と比較する
自動運転4つの領域とは、ロボットタクシー、ロボットトラック、ロボットバスやバン、配送ロボット
(3)SDV開発など、イノベーション企業としての強みと弱点
8.まとめ
(1)先進諸国において起こりつつあるヒトの移動手段のイノベーション。
ロボットタクシーは、市民の総移動距離の中で急速にシェアを伸ばしているUber、Lyftと競争関係あるか?協業関係にあるか?
(2)輸送需要の急激な増加と物流の混乱のグローバルな共通課題に、自動運転テクノロジーによる無人配送が期待される役割とは?
(3)レベル4自動運転の実用化における分岐点:自動車メーカーとイノベーション企業の姿勢の違い
・自動運転関連法規の重要事項:
(a)AVの安全性の定義、(b)AV走行の責任の所在。(c)車両と走行データの取り扱いと保護である
・英国の「ADS規制法」に見る(b)AV走行の責任の所在。日独との違い。
セミナー講師
Go2Marketing(同) 代表社員 / VSI-Labs ジャパンカントリーマネージャー
永井 達(ながい とおる) 氏
2000年からSalesforce.comのクラウド事業マーケティング戦略を支援。大手ティア1で次世代車載プラットフォームの研究開発に携わる。専門研究領域は、自動運転/モビリティ、スマートシティ、車載ソフトウェア等。海外スタートアップ企業との広範なネットワークを構築している。
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