「プロフィット・ピラミッド」浪江 一公著
投稿日 2017/03/22
本書は製造業を中心に事業戦略と技術マネジメントのコンサルタントである著者が、「超」高収益経営を実現する十四のシンプルな原則という副題通りに、高収益企業6社を分析し、その共通項を整理して解説したものです。
10年前に出版された本ですが、ここで挙げられたキーエンス、ローム、ファナック、シマノ、ヒロセ電機、マブチモーターの6社すべてが、今でも高収益企業であることから、単なる景況や偶然ではなく、必然的に高収益たる戦略を取っていると言えるでしょう。
本書で示される4つの本質的な基本要件、すなわち(1)顧客提供価値の最大化、(2)競争の徹底回避、(3)創出価値最大化のための自社能力設計、(4)高利益率追求の強い姿勢は、3C(顧客、競合、自社)をビジョンで結合した強固なピラミッド構造であり、必ずしも目新しさはありませんが、一つ一つを、前記の6社と数多くの他社事例で丁寧に裏付けているために、説得力があります。
それでは当社はどうすれば良いのかという応用問題と、その決定をどこまで徹底できるかという実行力が、実際には企業間の差異になって現われていると思われます。
皆で頑張っているにもかかわらず、低い利益率に悩む事業部の責任者や企画室担当者に一読をおススメします。