書評検索結果

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TRIZ 実践と効用 (5) イノベーションを成功させる組織の力―ICMM入門

投稿日 2021/05/12

本書はTRIZを核とした創造性研究で知られるDarrell Mannの著書を、国内のTRIZ権威である中川徹先生が翻訳され、TRIZ実践と効用シリーズ第5巻として先月出版されました。

イノベーションは難しいから価値があるとはいえ、成功率は少しでも高くしたいものであり、それは組織能力に大きく依存します。著者は、カーネギーメロン大学が提唱した後に普及した
ソフトウェア開発組織の能力レベル判定法であるCMMI(Capability Maturity Model Integration)に類似する
「イノベーションを成功させる組織の力」5段階判定法ICMM(Innovation Capability Maturity Model)を提案します。

読者は第7章で示される25の質問に回答することで、自分たちがどのレベルにあるかを知り、業界内でのポジションや競合他社との比較だけでなく、これからどのように組織を作っていくかの指針も示されます。

「基礎から学ぶjulia ~基本文法からデータサイエンスまで」石井一夫著

投稿日 2021/03/03

AIやデータサイエンスで、よく使われるプログラミング言語にPythonやRがありますが、これらは、さまざまなデータ分析手法に使える一方、動作が遅いという欠点があります。

本書で紹介するJuliaは実行時コンパイラ(JIT)という技術を用いて、高速計算を実現させたプログラミング言語です。
また、型推論という技術を使い、数式やコードの記述性にも優れています。
数式をそのまま関数に使う感覚でサクサクとプログラミングできることから、データサイエンスに非常に優れています。

本書は、はじめてプログラミングをする人やJulia にはじめて触れる方を想定した入門書で、読者がすんなり入っていけるように、基本文法からデータサイエンスまでを対話的な操作で、ひととおり経験できるように解説されています。

R やPython に満足できず、Julia の使用を考えていらっしゃる方やこれからJuliaを使ってデータサイエンス力を向上させたい方におススメです。

「石橋を叩けば渡れない」西堀栄三郎著

投稿日 2021/02/04

本書は戦後初期の品質管理大家でありながら、第1次南極越冬隊長でもあった著書による、創造性と人材管理の名エッセイ集です。

西堀栄三郎は品質管理分野では有名人なので、名前を聞いたことがあるかもしれません。
本書では品質管理の話はほんの少しだけで、多くが南極越冬の時のエピソードです。

しかし本邦初の越冬プロジェクトは未知への挑戦の連続であり、新技術開発に通じる考え方が多く、特に隊員達が自発的に行動してもらうくだりは、49年前の出版でありながら、全く古さを感じず、苦笑いしながら引き込まれます。

新しいものを生み出す時にはタイトルのように、「石橋を叩きすぎず」思い切ってスタートし、臨機応変な対応を重視することは、イノベーションの真髄と共感できます。

チームの創造性発揮に腐心している新技術開発・研究部門のリーダーにおススメです。

「中小製造業復活7つの改革」濱田金男著

投稿日 2021/01/21

本書は40年間製造業でのプロセス改革に従事し、その後一貫して工業経営を指導してきた著者による中小企業革新の指南書です。

中小企業は中小であるがために、人材や資金などが潤沢とはいえず、一般的に次の7つの課題を背負っています。
(1)人材育成改革
(2)組織改革、
(3)生産プロセス改革
(4)品質改革、
(5)生産性改革
(6)デジタル改革
(7)意識改革

本書ではそれぞれの課題を、現代の社会背景に合せて解説し実現に向けての考え方と、具体的方策を示します。
170ページの中にあらゆる情報を盛り込むことは不可能ですが、活動を始めるヒントが必ず得られるでしょう。

社会や産業が大変革を起こしているこの機会に、現在の自社事業運営を見直してみたい中小企業経営者におススメです。