商品説明
今多くの企業やブランドが感性価値を高めるために、製品やパッケージの外観表現に気を配り、視覚的・触覚的な価値を演出しようとしている。さらに、製品の価値を高められる、色・形・素材の施し方を知っているデザイナーや、デザインの分かる人材(企画者、開発設計者など)の存在は重要となっている。
本書では、高級感や高品質感を考えるとき、今日注目されている感性価値から解説し、感性側面としての高級感がどのような要因によって規定されているのかを見える化するとともに高級感を表現する要素技術について解説しております。
製品開発における高級感の付加価値向上を目的とした技術書籍として少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
発刊日
2021年02月26日(金)
発刊にあたって
著者
井上 勝雄 (株)ホロンクリエイト / 元広島国際大学
中務 亜紀 Office N(元 パナソニック)
稲葉 隆 日本カラーデザイン研究所
坂本 真樹 電気通信大学
田中 由浩 名古屋工業大学
佐伯 光哉 兵庫県立工業技術センター
秋山 庸子 大阪大学
神宮 英夫 金沢工業大学
佐藤 孝 元 ポーラ化成工業(株)
橋田 規子 芝浦工業大学
秋元 英郎 秋元技術士事務所
長田 典子 関西学院大学
飛谷 謙介 長崎県立大学
桐谷 佳惠 千葉大学
服部 守悦 静岡文化芸術大学
山本 義政 (株)ピクセルエー
福井 信行 マツダ(株)
安岡 義彦 Color With
川澄 未来子 名城大学
吉田 茂 (株)CMF Design Lab
添田 喜治 産業技術総合研究所
岩宮 眞一郎 日本大学
吉田 準史 大阪工業大学 /(株)Bettervibes Eng.
内容紹介
第1章 高級感とは
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第1節 高級感・高品質感を感じる要素
1.感性工学の誕生と展開
1.1 感性価値
1.2 人間中心の視点
1.3 心理学からのアプローチ
1.4 商品の感性分析
1.5 感性計測(官能評価)
1.6 感性デザイン 6
1.7 日本感性工学会の設立
1.8 経験価値と感性価値
2.感性工学の方法
2.1 感性の知覚プロセス
2.2 感性計測を用いた感性工学の事例
2.3 マーケティング視点の感性工学の事例
2.4 感性ワードの求め方
3.感性デザインの方法
3.1 デザインの評価
3.2 認知モデルを用いた評価階層構造
3.3 評価階層構造の分析手法
3.4 事例による説明
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第2章 高級感の評価・測定・定量化
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第1節 人間中心設計を用いた高級感へのアプローチ
1.はじめに
2.高級感の開発にあたって
3.人間中心設計とは
4.HCDプロセスを踏まえた高級感開発
4.1 ターゲットの設定(人間中心設計プロセスの計画)
4.2 ターゲットユーザーの深堀とペルソナの作成(利用状況の把握と明示)
4.3 アイデア出しとニーズの明確化(ユーザー要求事項の明示)
4.4 高級感の開発(ユーザー要求事項を満たす設計案の作成)
4.5 仕上がりの確認(要求事項に対する設計の評価)
5.まとめ
第2節 製品の高級感を表現するための色彩と質感
1.はじめに
2.色彩による“高級感”表現
2.1 色彩の属性とイメージ
2.2 色彩が喚起する“高級感”
2.3 具体的なものの色彩にみる“高級感”
3.質感による“高級感”表現
3.1 質感(表面の状態)の属性
3.2 表面加工と“高級感”
3.3 質感が喚起する“高級感”
4.“高級感”の主要なタイプ
4.1 高級イメージのタイプ分類
4.2 4タイプの“高級感”
4.3 新たな“高級感”の表現へ向けて
第3節 質感を表現するオノマトペと高級感の関係
1.はじめに
2.高評価時にオノマトペが想起されやすい可能性
2.1 実験
2.2 結果
2.3 考察
3.高級感はオノマトペに表れるか
3.1 実験
3.2 結果
3.3 考察
4.おわりに
第4節 触知覚メカニズムの基礎と捉え方
1.触覚の基本特性
1.1 機械受容器と皮膚構造
1.2 機械受容器の時空間特性
2.触覚感度と力学
2.1 皮膚構造と触覚感度
2.2 感覚運動制御
3.触知覚の捉え方
3.1 基本的な感覚
3.2 現象的な触知覚
3.3 触感デザインの事例紹介
第5節 触感の可視化と質感の制御
1.はじめに
2.ゴムの粘着感の評価
2.1 目的
2.2 実験方法と手順
2.3 結果
2.4 結論
3.プラスチック表面への凹凸の付与による質感制御技術
3.1 目的
3.2 実験方法
3.3 結果と考察
3.4 結論
4.まとめ
第6節 製品開発に活かす風合い・肌触りの定量化
1.はじめに
2.低次感覚から高次感覚へ
2.1 五感における触覚の特徴と位置づけ
2.2 低次感覚と高次感覚の関係
2.3 触対象の種類と触り方
3.触感の官能評価と機器測定の関係づけ
3.1 官能評価結果の統計解析
3.2 機器測定の手法
3.3 機器測定と官能評価の関係づけ
4.快・不快の定量化
4.1 触覚の快・不快の特徴
4.2 快・不快と機器測定との関係
5.製品の触感評価における人工知能の役割
5.1 人工知能による素材判別
5.2 人工知能を利用した製品の快適性設計
6.おわりに
第7節 官能評価による高級感の見える化
1.“〇〇感”を考える
2.高級感とは
3.偽薬効果を考える
4.高級感の見える化
5.SEMによる高級感の見える化
6.おわりに
第8節 香りにおける高級感の評価と設計
1.香りを感じる(評価する)前に
2.高級感を評価するうえでの基礎知識
2.1 香りの表現
2.2 香りの構成表現(トップノート・ミドルノート・ラストノート)
2.3 香水の支持率
2.4 香りにおける、人種性による食文化の違い
3.香りにおける高級感とは
3.1 今までの基礎知識を踏まえて
3.2 香りの場合、高級感を感じる個人差が大きい
3.3 個人の体験、興味、価値観によって高級感のイメージが違う
3.4 年齢層による高級感および嗜好性の違い
3.5 フルーティ系の香り
3.6 柑橘系の香り
4.高級感のイメージを持たせた製品化への取り組み
4.1 目的、狙いに合った製品への取り組み
5.香りそのものではなく、素材に付加価値を持たせる行為
5.1 あくまでも香りのフォローとして、香りの素材に付加価値を持たせる
5.2 香りそのものではなく、素材に付加価値を持たせることの考え方
5.3 その他の香りの付加価値を持たせる方法
5.4 日本と欧米の香りの考え方の違いと歴史
6.まとめ
6.1 香りにおける高級感とその設計とは
6.2 香りの高級感と重要性
6.3 香りにおける高級感とその設計と将来の展望
7.おわりに
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第3章 高級感を表現する要素技術
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第1節 製品開発に求められる高級感・高品質感
1.高級感を感じるデザイン要素と開発事例
1.1 求められる高級感
1.2 高級感を感じる形(平面)
1.3 高級感を感じる形(立体)
2.高級感ある水切りトレイのデザイン開発
2.1 商品の目的とコンセプト
2.2 デザインモチーフの決定
2.3 メイン案と対抗案の比較検証
2.4 まとめ
第2節 [高級感と加飾技術]加飾による高級感の考え方と付与技術
1.加飾とは
2.加飾の目的
3.加飾技術の分類
3.1 造膜する技術
3.2 塗る技術(塗装・コーティング)
3.3 貼る
3.4 色をつける
3.5 形状をつける
4.高級感を付与する加飾技術のトピックス
4.1 高級感あるめっき技術
4.2 本物感を追求するインクジェット加飾
4.3 金属のような光沢を示す金属調塗装
4.4 塗膜の厚みや表面状態が制御できる金型内塗装
4.5 電子回路を同時に形成するフィルムインサート成形
4.6 高転写成形技術で実現する高品質なテクスチャー加飾
5.加飾技術の今後
第3節 [高級感とパッケージデザイン(1)]
パッケージデザインにおける高級感印象のモデル化
1.はじめに
2.方法
2.1 高級感評価用語の選定
2.2 高級感評価実験
2.3 画像特徴量の算出
3.結果
3.1 高級感印象の分析
3.2 高級感印象クラスタと画像特徴量
3.3 高級感評価のモデル化
4.考察
4.1 高級感印象の分析に対する考察
4.2 高級感印象と画像特徴量の関係に対する考察
4.3 高級感評価のモデル化に対する考察
5.まとめ
第4節 [高級感とパッケージデザイン(2)]
パッケージデザインが与える影響とその評価
1.はじめに
1.1 パッケージデザインの重要性
1.2 本節の構成
2.パッケージの色が与える影響
2.1 香水の例
2.2 日本酒の例
2.3 色にまつわる認知機能
2.4 パッケージの色を決める際に注意すること
3.パッケージデザインの評価法
3.1 物理的特徴を整理する方法
3.2 印象評価をするには
3.3 パッケージデザインを印象評価する際に注意すること
4.ターゲットに合わせたデザインへのヒント
4.1 ニッチを探る
4.2 まだないデザインの特徴を探る
5.おわりに
第5節 [高級感と自動車デザイン(CMFデザイン)(1)]
デザインの立場からみた自動車内装の役割と質感
1.はじめに
2.自動車のインテリアデザインとは
2.1 人を中心とした空間デザイン
2.2 機能を押さえた上で感覚的価値を追求
2.3 対象部品の種類の多さ
3.主な部品の役割とその変化
3.1 インストルメントパネル
3.2 ステアリング
3.3 シート
3.4 ドアトリム
4.CMFの重要性
5.コンセプトカーに見る質感表現
6.おわりに
第6節 [高級感と自動車デザイン(CMFデザイン)(2)]
自動車内装における質感デザインの動向
1.近年のモーターショーによる質感動向
1.1 フランクフルトモーターショー2020
2.CES2020
2.1 HMIを中心にした空間デザイン
2.2 透過素材によるHMIデザイン
3.進化するテクスチャーデザイン
3.1 テクスチャーデザインの時代背景
3.2 テクスチャーデザインの今後の流れ
第7節 [高級感と自動車デザイン(CMFデザイン)(3)]
自動車に求められる内装材の質感・感性価値と表現事例
1.はじめに
2.以前のマツダ車の状況
2.1 クラフトマンシップ評価の指標化
2.2 クラフトマンシップのコンセプトと戦略
2.3 感性領域の技術の向上
3.表面質感の定量化
3.1 評価軸設定
3.2 物理量計測と官能評価
3.3 相関取り
4.金属加飾の「本物感」
4.1 調和・バランス
4.2 輝き感
4.3 素材感
5.高触感ステアリング
5.1 触れ心地
5.2 握り心地
5.3 心地よい形状
6.操作感―操作系ユニットの操作感の統一―
7.おわりに
第8節 [高級感と自動車デザイン(CMFデザイン)(4)]
自動車内装材の高級感表現と今後の方向性
1.はじめに
2.高級とは
2.1 高級品について
2.2 情緒としての高級
3.CMFの高級について
3.1 色の高級
3.2 素材の高級
3.3 仕上げの高級
3.4 パターンの高級
4.高級から高次元へ、豊かさの変化について
4.1 オールドエリートとニューエリート
4.2 シェアリングとケアリング
4.3 サブスクリプリクション(販売⇒所有から提供⇔契約による価値観の転換)
5.サスティナビリティによる内装材の高次元の豊かさのヒント
5.1 積層杢
5.2 人工皮革の進化
5.3 構造発色
5.4 海洋廃プラスチックのリサイクルシューズ
5.5 BMWi3内装
5.6 愛犬にとっての快適性
5.7 企業活動全体のサスティナビリティ
6.SDGs(持続可能な開発目標)について
第9節 [高級感と自動車デザイン(CMFデザイン)(5)]自動車における高級感の評価
1.自動車の高級感
2.フロントグリルの高級感
2.1 感性構造の日タイ比較
2.2 写真画像を用いた感性評価実験
2.3 3DCGを用いた感性評価実験
2.4 視覚評価実験のまとめ
3.リアランプの高級感
3.1 リアランプの色彩と表情
3.2 テールランプ赤色灯光に対する感性評価実験
3.3 リアランプデザインの感性構造の昼夜比較
3.4 感性評価実験のまとめ
第10節 [高級感と自動車デザイン(CMFデザイン)(6)]高級感とCMFデザイン
1.CMFで表現する高級感と製品開発への応用
1.1 ブランディング戦略
1.2 トレンド分析から学ぶCMF素材開発
2.おわりに
第11節 [高級感とサウンドデザイン(1)]高級感を感じる音のメカニズム
1.はじめに
2.音の心理評価属性
3.音の物理評価指標
3.1 音質評価指標
3.2 相関指標
4.自動車エンジン音の高級感
5.おわりに
第12節 [高級感とサウンドデザイン(2)]工業製品における音のデザイン
1.デザインの諸様相、音のデザインの諸様相
2.工業製品におけるサウンド・ブランディング
3.受け身の騒音制御から攻めの音のデザインへと発想を転換する
4.コピー機の商品イメージを左右する音のチカラ
5.魅力あるドア閉め音に対する意識構造を探る
6.音の付加価値でいくら儲かる?
7.ライダーはオートバイの音にもこだわる
8.実体感の喪失を音のチカラで補う
9.工業製品におけるサイン音のデザイン
10.シートベルト・リマインダに求められる警報感、高級感、快適感をデザインする
11.工業製品における視聴覚融合デザインの可能性
第13節 [高級感とサウンドデザイン(3)]自動車外装デザインが音質評価に及ぼす影響
1.自動車の車内音と高級感
2.自動車の外装デザインと音の高級感について
2.1 自動車外装デザインを用いた主観評価(視覚実験)
2.2 自動車外装デザイン画像を用いた音質評価(視聴覚実験)
2.3 考察
3.まとめ