Advanced 40の発明原理: 05 組合せ原理(結びつける、連結する:Merging)

 前回の04 非対称原理に続いて解説します。今まで、何処でも誰でも使えるTRIZツールづくりを試行してきました。その過程で、抽象化思考の苦手な人が、意外に多いようです。現場では、課題だけでなく、発明原理の活用にも抽象化思考が求められます。この最新版は、各々の感性に合せ、無意識的に拡大(抽象化)/縮小(具体化)できるよう工夫しました。つまり、原理名、言い換えた分かり易い文言、サマリー、サブ原理の図解、異分野適用例の5段階の視点でアイデア出しします。
◆40の発明原理、キーワード説明ページへのリンク
 

1. 組合せ原理の概要

 
 この原理は、1. 分割原理、2. 分離原理とは逆に、連結することで効果を上げる考え方です。例えば、鉛筆と消しゴムを組合せると、消しゴム付鉛筆となります。
 
                                                  
図1. 05 組合せ原理のイメージ図
 

2. サブ原理の種類と図解事例

 

a.複数の物体の操作や機能を、物理的に連結あるいは組合せる考え方

 
 遠近両用メガネは、遠視用、近視用レンズの機能をつなぎ合わせて組合せて作られたものです。
 
                                             
図2. 遠近両用メガネ(参考文献:金栄堂 HP)
 

 

 b.作業が並行処理できるように連結あるいは組合せる考え方

 
  長いライン生産方式から、複数人数やワンマンのセル生産方式と組み合わせることで、生産数の変動に柔軟に対応できるようになります。
 
                                             
図3. セル生産方式
 

3. HW、SW及びビジネス等分野での適用例

 
   ・多色インクカートリッジ
   ・システムテストの例外処理テスト
   ・シナジー効果
 

4. 40の発明原理の主な活用法

 

a.慣習的に使われている方法

 
 問題が発生したときは、パニックになったりして精神的な余裕がないようです。矛盾問題として捉え、課題を抽象化してから矛盾表から発明原理を検索するには、かなりの訓練が必要です。推薦したいのは,40の発明原理に日ごろから親しんでおくこと。あるいは、発明原理を全部スキャンして発想すること。TRIZそのものを理解していなくても、藁にもすがりたい人には、強力なヒントとなります。
 

b.矛盾Matrixから発明原理を抽出する方法

 
 矛盾 Matrix表の縦横の軸には、39×39の特性(パラメータ)が配置されています。課題を抽象化して、縦軸から「改善する特性」、横軸から「悪化する特性」を選ぶと、両者の交点に「発明原理(principle)」が提示されます。 この発明原理をヒントに解決策を発想します。例えば,改善する特性で「移動物体の体積」,悪化する特性で「移動物体の面積」を選ぶと,矛盾 Matrix表の交点に、「01分割原理」「04非対称原理」「07入れ子原理」「17他次元移行原理」を確認できます。
 
参考文献
  1. Darrell Mann 他:TRIZ実践と効用(1)体系的技術革新(創造開発イニシアチブ)
  2. 粕谷茂:図解これで使えるTRIZ/USIT(日本能率協会)
  3. 粕谷茂:SEのスピード発想術(技術評論社)
 
 

◆関連解説『TRIZとは』

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