TRIZ によるロジカルアイデア創造法(その7)
2016-07-26
前回のその6に続いて解説します。「39の特性パラメータ」を使って固有の矛盾を抽象化した矛盾に言い換えると、1通りの組合せにきっちりと決まる場合は少なく、幾つかの組合せとなる場合がほとんどです。基本的には、その組合せでの発明原理すべてでアイデアを考えるべきでしょう。ここでは問題解決の方向性を狭めることはよくないのです。
さて、前回の掃除機の改善に話を戻します。工学的矛盾を考えた結果、改善する特性として「圧力」「物質の量」、悪化する特性として「操作の容易性」「物体が発する有害要因」を選びました。図8の「矛盾解決マトリックス」から発明原理を導き出すイメージを挿入 それぞれの関係のマトリックスを組んで当てはまる発明原理を記載してみます。
図8 矛盾解決マトリックスからの抜粋
図9 「矛盾解決マトリックスから発明原理を導く」
図10 発明原理抽出表
たとえば、事前保護原理を使えば、「絨毯にあらかじめ埃が絡まらないようなコーティングを施しておく」とか、「吸い口の先端が滑りやすいようにテプロン加工する」とかが考えられます。
また、機械的振動原理では、「吸引力を周期的に与える」が出ます。ほかにも流体利用原理とかパラメータ変更原理では、面白いアイデアが出そうですね。実際にアメリカの企業では、機械的振動原理を利用して、吸引力を変動させる仕組みを取り入れた掃除機でこの問題を解決した商品が存在します。
図11 発明原理の例
このように、問題に隠れている矛盾を明らかにすることで、その解決方向性を提案してくれるのが発明原理...
なのです。従来の問題解決のアイデア出しと比べていかがですか。 先人の知恵に基づいて解決策を考えることが近道になるということがご理解いただけたと思います。
次回は、TRIZ によるロジカルアイデア創造法(その7)として、技術システムの進化の流れ(トレンド)を活用する方法を解説します。