TRIZ/USIT活用法 : 企業の要求と技術者がやるべきこと (その5)
2016-08-30
実際のUSIT の進め方を図3 に示します。この各Stepについて以下に述べます。
図3 USIT の進め方 < そのステップ>
通常の技術問題は、複数の事象が絡み合っていることが多いが、USIT ではそれらを解きほぐして「一つの問題」に絞り込みます。一つに絞り込むことが出来ないときには、一つずつを複数回取り組みます。
簡単なスケッチを描き、何を解決したいのか、その問題を引き起こしている原因の種(中核原因)は何かを探り、それを解決すれば本当にOK となる課題(中核課題)は何かを出します。課題定義がきっちり出来れば7 割方対策が出来たと言っても過言ではありません。
問題分析には下記の「現行システム分析法」と「理想モデル法」の2 つと、それに続く「時間 ・ 空間的特性分析」があります。現行システム分析法と理想モデル法はどちらか1 つだけでも良いが、両方を使った方がBest解を得易い。
○ 現行システム分析法
現行システムの構成因子(モノ)と働き、およびモノが持っている性質を列挙する。現行システムの改良を行うアプローチに向いている。
○ 理想モデル法
「理想解」を考えることからスタート。「こうありたい」「こうあってほしい」状況を列挙する。現行システムや明確なモデルが無い場合にも使える。 発想を広げやすい。
○ 時間・空間的特性分析
問題の起こっている時間や空間を捉えることで、対処すべきタイミングや場所を考える。これにより解決策の方向の示唆が得られる。
図4 にアイデアを出す視点を示します。
図4 アイデア発想の視点-簡略版-
【第一次アイデア発想】:下記3 つの方法を繰り返して用いる。
1)モノからの発想法:モノ(構成因子)を変える。 → モノを無くす/増やす/分割する など。
2)性質からの発想法:性質を変える。 → 性質を抑える/強調する/変える など。
3)機能からの発想法:機能(働き)を変える。 → 機能を抑える/追加する/分ける など。
【第二次アイデア発想】:次の2 つの方法によってより良い多くの解決策を得る。
4)解決策の体系化による発想法
上記で得られた解決策を体系化し、解決策の抜け/モレを補う。更に、一般的な解決策をより具体的な形にする。
5)解決策の組み合わせによる発想法
各具体案を組み合わせて更に強力な解決策にする。または上位システムに移行させる。
1)~ 5)によって、通常数百の解決策が生まれます。
次回、その6では、3.4 優先順位の決定から解説します。