環境マネジメントシステム : システム転換で便益実現へ

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◆環境マネジメントシステムの目的・目標

 環境マネジメントシステムのISO14001は、2015年9月15日に大幅な改定が実施されました。このタイミングを活かして管理のための管理を脱して、財務上、及び運用上に便益を実現するシステムに転換することが良いでしょう。
 
 改定されたISO14001序文の「環境マネジメントシステムの狙い」では「市場における組織の位置付けを強化し、かつ、環境にも健全な代替案を実施すること」が望まれているからです。
 
 またJIS Q 14004の序文では、次の成果を得ることも環境マネジメントシステムに含めるべきと提起しています。
 
  (1)環境マネジメントシステムを実施することによって経済的利益が得られる。
  (2)顕著な競争上の優位性を獲得することができる。
 
 環境マネジメントシステムの運用にあたっては、管理のし易さから、紙・電気の使用量削減やゴミの分別を成果指標にする例が多いようですが、そこからは上記のような経営的な成果を得ることが難しいでしょう。
 
 これを機会に、用語の定義を再確認することを勧めます。“環境”とは下図のように「大気、水、土地、天然資源、植物、動物、人及びそれらの相互関係を含む組織の活動を取り巻くもの」です。また”環境影響”は「有害か有益かを問わず、全体的に又は部分的に組織の環境側面から生じる、環境に対する変化」であり、”環境側面”とは「環境と相互に作用する、又は作用する可能性のある、組織の活動又は製品又はサービスの要素」です。
 
          ISO14001
 
 経済的利益や競争上の優位性は、有益な環...

◆環境マネジメントシステムの目的・目標

 環境マネジメントシステムのISO14001は、2015年9月15日に大幅な改定が実施されました。このタイミングを活かして管理のための管理を脱して、財務上、及び運用上に便益を実現するシステムに転換することが良いでしょう。
 
 改定されたISO14001序文の「環境マネジメントシステムの狙い」では「市場における組織の位置付けを強化し、かつ、環境にも健全な代替案を実施すること」が望まれているからです。
 
 またJIS Q 14004の序文では、次の成果を得ることも環境マネジメントシステムに含めるべきと提起しています。
 
  (1)環境マネジメントシステムを実施することによって経済的利益が得られる。
  (2)顕著な競争上の優位性を獲得することができる。
 
 環境マネジメントシステムの運用にあたっては、管理のし易さから、紙・電気の使用量削減やゴミの分別を成果指標にする例が多いようですが、そこからは上記のような経営的な成果を得ることが難しいでしょう。
 
 これを機会に、用語の定義を再確認することを勧めます。“環境”とは下図のように「大気、水、土地、天然資源、植物、動物、人及びそれらの相互関係を含む組織の活動を取り巻くもの」です。また”環境影響”は「有害か有益かを問わず、全体的に又は部分的に組織の環境側面から生じる、環境に対する変化」であり、”環境側面”とは「環境と相互に作用する、又は作用する可能性のある、組織の活動又は製品又はサービスの要素」です。
 
          ISO14001
 
 経済的利益や競争上の優位性は、有益な環境影響を人々に及ぼす製品又は活動又はサービスの要素から生まれます。環境マネジメントシステムを2015年版へ移行するのならば、このような成果を得るために有益な環境側面に着目し、著しい環境影響を特定して、明確な経営的目標設定の下で活動することが必須となります。
 
 この文書は、 2016年6月9日の日刊工業新聞掲載記事を筆者により改変したものです。
 

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この記事の著者

竹田 将文

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